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[2F04] 我が国の地熱開発の現状と課題
地熱エネルギーは国内に豊富に賦存し、環境負荷が小さく天候に左右されない安定電源として期待されてきました。世界の地熱蒸気タービンの70%近くを国内メーカが占有しており、日本は発電に関わる高い技術力を有しています。東日本大震災以降、国の支援も再開され、現在多くの地域で地熱調査が開始されています。しかし太陽光発電等他の再生可能エネルギーに比較すると開発の進捗度は低く、2030年目標である設備容量150万kW相当を達成するにはまだ長い道のりが必要です。開発が進まない原因のひとつに資源リスクがあり、日本特有の地質構造の複雑さに起因した探鉱の難しさがあります。石油探査法の応用等、地熱貯留層への逢着確度を向上させる技術の更なる進展を期待しています。資源リスクに加えて、法規制上の制約や送電線確保の問題も地熱開発に難しさを与えています。多くの課題はありますが、貴重な国産エネルギーである地熱の開発は将来の備えとして益々必要とされることに変わりはなく、これまで以上に人々の理解と共感を得ることが重要と考えています。