公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

臨床リレーセッション

現地発表+ライブ配信(オンデマンド配信あり)

臨床リレーセッション2
歯根破折からの歯の再植・移植,その診断と治療方針

2024年7月6日(土) 10:40 〜 12:10 第2会場 (幕張メッセ国際会議場 2F 国際会議室)

座長:秋葉 陽介(新潟大)、峯 篤史(大阪大)

ライブ配信のご視聴はこちら

[CLS2-1] 垂直破折歯根の長期治療成績と予後因子

*菅谷 勉1 (1. 北海道大学)

[Abstract]
 垂直歯根破折を治療する際には,保存した場合の予後を知っておくことが必要である.しかし,治療後の予後については不明な点が多く,歯種や術前の歯周組織破壊の程度,接着治療法の選択,補綴方法など,多くの予後因子が影響すると考えられる.当教室でこれまで治療した症例537人の686歯の予後を解析した結果(承認番号:自019-04600),生存率に対するハザード比が高かった予後因子は,術前のプロービングデプスや骨レベル,接着治療法,支台築造法,歯冠補綴方法,対合歯の種類,患歯が最後方の咬合接触歯であるか,などであった.さらに,層別解析を行って予後を比較したところ,術前にプロービングデプスが3 mm以下で骨吸収が見られなかった症例に対して,根管内から非外科的に治療を行った症例では10年後の生存率が90%を超えていたが,再植法で治療した症例は20%程度であった.また,術前のプロービングデプスが7 mm以上であったり,歯頸部から根尖部まで骨欠損が生じていたりした症例では,治療法にかかわらず2年以内に70%の歯が抜歯されていた.
 これらの結果から,垂直歯根破折治療の適応は,術前の歯周組織の喪失状態や,術後に負荷される咬合力を十分に検討して決定すべきと言える.さらに,長期的な予後が期待できない症例では,抜歯のタイミングと次の治療法を想定しておくことも大切と考えている.

トピックス
●垂直歯根破折
●長期予後
●予後因子