一般口演4
クラウンブリッジ

[O1-10] PEEK製支台築造用ポストの臨床応用の検討

*石川 曉美¹、木村 峻輔¹、平野 瑞穂¹、笠原 正彰²、四ツ谷 護¹、野本 俊太郎¹、関根 秀志¹、服部 雅之² (1. 東京歯科大学水道橋病院クラウンブリッジ補綴学講座、2. 東京歯科大学歯科理工学講座)

[Abstract]
【目的】
　従来，ファイバーポスト（FRCポスト）はレジン支台築造用材料として臨床応用されている．FRCポストは金属製ポストと比較し歯根破折のリスクが低減すると報告されている．近年，エンジニアリングプラスチックであるポリエーテルエーテルケトン（以下PEEK）は生体親和性を有することから，歯科臨床応用の拡大が期待されている．本研究ではPEEKのレジン築造体の既製ポストとしての可能性を模索するため，PEEKポストとFRCポストを用いたレジン支台築造の破壊強度を比較した．
【方法】
　実験試料として牛歯を用いた．根管充填後，根管窩洞を直径3 mm・深さ10 mmに形成し，全周高さ2 mm・幅1mmのフェルールを付与した．PEEKポストは切削加工用レジン材料（KZR-CAD PEEK，YAMAKIN）を長さ2 mm，φ1.6 mmに加工し，前処理材（Nu:leコート，YAMAKIN）で表面処理を行い，支台築造用レジン（DCコア，Kuraray Noritake Dental）を併用し，直接法でレジン支台築造を行った．対照試料はFRCポスト（直径1.6 mm，ファイバーポスト，GC）を用いた．両者に対し全周ディ―プシャンファーの支台歯形成を行い, 銅亜鉛合金（Kメタル，石福金属興業）で製作し頬側咬頭内斜面に半円状のくぼみを付与したクラウンを接着性レジンセメント（レジセム，松風）で接着した．試料を歯軸に対し30°傾斜させ，万能材料試験機（Autograph AG-I 20kN，島津製作所）でクロスヘッドスピード1 mm/minの荷重を負荷し，破壊試験を行った．得られた最大荷重値を破壊荷重値とし比較を行った．また破壊試験後の試料の破折様相を金属顕微鏡（BX51 VH-500, Olympus）で観察した．
【結果と考察】
　両者の破壊荷重値は，PEEKポストで1734±394N，FRCポストで1782±441Nであり，両者に有意差は認められなかった（Wilcoxson, P>0.05）．本結果は，以前我々が報告した PEEKポストがFRCポストと同程度の支台築造用レジンに対する接着強さを有するとした報告を補完しただけではなく，両材料のポスト自体が同程度の強度を持つ可能性も示したことから，PEEKポストはレジン支台築造用ポスト材として有用であることが示唆された．