公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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一般口演

現地発表

一般口演5
ニューロサイエンス

2024年7月6日(土) 15:20 〜 15:50 第3会場 (幕張メッセ国際会議場 2F 201)

座長:松香 芳三(徳島大)

[O1-13] 睡眠状態が睡眠時ブラキシズムに及ぼす影響

*山川 雄一郎1、飯田 崇1、岩﨑 正敏1、岩田 好弘1、石井 優貴1、吉田 一央1、江橋 葵1、小黒 裕之1、小見山 道1 (1. 日本大学松戸歯学部 クラウンブリッジ補綴学講座)

[Abstract]
【目的】睡眠時ブラキシズムは,失活歯の歯根破折,補綴装置の破壊といった歯科的問題を引き起こす因子の1つとされている1).本研究では,意図的に睡眠状態を変化させることで,その変化による睡眠状態の変化様相を評価し,その変化様相が睡眠時ブラキシズムの発現に及ぼす影響を検討する.

【方法】顎口腔領域に異常を認めない20名の被験者が4日間で構成する測定に参加した.初日の通常睡眠をBaseline睡眠(BL睡眠)とし,2日目の夜は夜間に睡眠を取らない全断眠を指示した.3日目の夜,4日目の夜は通常の睡眠を指示し,それぞれ,断眠後睡眠,回復睡眠とした.測定開始前にピッツバーグ睡眠質問票(PSQI),各日にエプワース眠気尺度(ESS)を聴取し,主観的な睡眠評価とした.睡眠中は貼付型簡易式筋電計と睡眠評価装置を装着するよう指示し,貼付型簡易式筋電計より1時間ごとの睡眠時ブラキシズムイベント数を算出した.睡眠評価装置にて各日における総睡眠時間,睡眠効率,睡眠段階比率,微小覚醒指数を計測した.

【結果と考察】
 全被験者のPSQIスコアは睡眠障害があるとされる6未満であった.断眠中のESSスコアはBL睡眠後および断眠後睡眠後と比較し,有意に高い値を示した(P<0.05).総睡眠時間はBL睡眠,断眠後睡眠,回復睡眠間に有意な差を認めなかった.断眠後睡眠の睡眠効率はBL睡眠および回復睡眠と比較し,増加傾向を示した.断眠後睡眠の微小覚醒指数はBL睡眠および回復睡眠と比較して有意に低い値を示した(P<0.05).断眠後睡眠のN1はBL睡眠および回復睡眠と比較し,低い傾向を示した.断眠後睡眠のN2はBL睡眠と比較し,有意に低い値を示した(P<0.05).断眠後睡眠のN3はBL睡眠および回復睡眠と比較し,高い傾向を示した.断眠後睡眠の1時間ごとの睡眠時ブラキシズムイベント数はBL睡眠および回復睡眠と比較して有意に低い値を示した(P<0.05).以上より,睡眠の質の改善が睡眠時ブラキシズムの抑制に寄与する可能性が示唆された.

【参考文献】
 1) Lobbezoo F, Ahlberg J, Glaros AG, et al. Bruxism defined and graded: an international consensus. J Oral Rehabil. 2013 ;40(1):2-4.