公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-103] 口腔機能評価のための当院の取り組み(歯ブラシコンセイエ)に関する報告

*久保 敦史1、西村 紗稀子1、富野 ゆかり1、薗部 悠司郎1、清水 統太1、濵野 奈穂1、井野 智1 (1. 神奈川歯科大学附属病院)

[Abstract]
【目的】
 近年の超高齢化において,歯科における健康寿命の延伸は重要であり,2018年4月には「口腔機能低下症」の検査と管理が保険診療として導入され,その効果が期待されている1).しかし,口腔機能評価の実施率は低く,検査件数は伸び悩んでいるという.実施に至らない理由として,歯科医師が検査に時間をとれないこと等が考えられる.当院では,『横須賀市歯及び口腔の健康づくり推進条例』施行を契機に,日常の口腔ケアに関するアドバイザーとなるべく『歯ブラシコンセイエ』認定制度が設立され,所属する歯科衛生士のほとんどが資格を取得し,市民の口腔ケア推進に取組んでいる2).今回,口腔機能評価の実施率向上を図る目的で『歯ブラシコンセイエ』による検査実施にむけた当院の取組みを報告する.
【方法】
 『歯ブラシコンセイエ』に検査を実施させるため,口腔機能評価に用いる7項目の検査;咀嚼機能検査(グルコース溶出量)・舌圧測定・咬合圧検査・舌苔付着度・サクソンテスト・オーラルディアドコキネシス・嚥下スクリーニング検査(EAT-10)について,各検査項目の基準値を記載した口腔機能評価シートを作成し,患者ごとに検査結果とその評価を記録できるようにした.準備する器材と診療室での保管場所,検査手順を画像付きで記載してあり,検査に不慣れな『歯ブラシコンセイエ』でも容易に実施できるよう配慮した.
【結果と考察】
 歯科医師の指示の下,『歯ブラシコンセイエ』が歯周組織検査やプラーク・歯石の染出し検査と同様に口腔機能評価をできれば,診療の効率化とともに,患者が客観的に自身の口腔機能状態を認識する機会を得られる.また,当院で口腔ケア商品を患者にお勧めする際に使用する『歯ブラシ処方箋』により,口腔機能低下症と診断された患者に対して,歯ブラシや口腔衛生用品だけでなく,トレーニング器具の選定・使用方法・取得(購入)までをシームレスに提供することが可能になる.これにより,検査の実施率だけでなく,多職種連携で口腔機能低下項目が効率的に改善される可能性があると考察した.
【参考文献】
1) 佐藤裕二,北川 昇,七田俊晴.口腔機能低下症の検査と管理.日補綴会誌2020;12: 144-149.
2) 井野 智.ハブラシコンセイエの認定と病院職員の意識変化.日補綴会誌2023;14・西関東支部学術大会特別号23.