公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

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口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-108] オーラルフレイルチェックリストの質問項目と口腔機能低下症の検査項目との関連

*田畑 友寛1、畑中 幸子1、寺岡 正譜1、古屋 純一1 (1. 昭和大学大学院歯学研究科口腔機能管理学分野)

[Abstract]
【目的】
 オーラルフレイルは高齢者の身体的フレイルや要介護・死亡リスクとの関連が明らかになっており,高齢者が早期から口腔機能の低下を自分事として捉え,口腔衛生と同様に口腔機能のセルフケアを行うことが重要である.オーラルフレイルチェックリスト(OFI-8)は8つの質問からなる口腔機能のセルフチェックであり,高齢者健診において採用する自治体も多い.一方,OFI-8でリスクありと判定された場合,歯科を受診し,口腔機能低下症の検査・管理を受けることになるが,OFI-8の判定結果と口腔機能低下症の検査項目との関連についての報告は少ない。そこで本研究では,OFI-8の各質問項目が口腔機能低下症のどの検査項目と関連を示すのかを解明することで,OFI-8を用いた簡便な口腔機能評価の可能性について検討した.
【方法】
 本学歯科病院外来通院患者のうち,1回目の口腔機能低下症の検査を行った高齢患者227名(平均年齢80.5±6.3歳)が研究に参加した.年齢,性別,口腔機能低下症の各検査項目の判定(口腔衛生,口腔乾燥,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能)およびOFI-8の各質問項目(OF1-OF8)の該当状況について診療録より抽出した。統計解析は,OFI-8の各質問項目の該当状況を目的変数として,説明変数に年齢,性別,口腔機能低下症の各検査項目の判定結果を用い,二項ロジスティック解析を行った.有意水準は5%とした.
【結果と考察】
 OF1は年齢,咬合力低下,嚥下機能,OF2は嚥下機能,OF3は咬合力,OF4は口腔乾燥,嚥下機能,OF5は性別,嚥下機能,OF6は咀嚼機能,嚥下機能,OF7は性別,OF8は咬合力,咀嚼機能と有意な関連を示した.OFI-8の質問項目はそれぞれ特性があり,3つは咬合力,2つは咀嚼機能,5つは嚥下機能と有意な関連を示し,口腔不潔,舌口唇運動機能,舌圧と有意な関連を示すものはなかった.以上より,OFI-8は咬合力低下,咀嚼機能低下,嚥下機能低下についての検出力が高く,口腔衛生や舌機能の低下の検出力が弱い可能性が示唆され,近年発表された舌の運動機能を含めた新しいオーラルフレイルチェック(OF-5)とも合致する結果であった.