公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-112] 閉塞性睡眠時無呼吸患者の睡眠状況調査と口腔機能低下の検討

*李 宙垣1、槙原 絵理1、大楠 弘通1、渡辺 崇文1、八木 まゆみ1、有田 正博1、鱒見 進一1 (1. 九州歯科大学顎口腔欠損再構築学分野)

[Abstract]
【目的】
 オーラルフレイルの主要症状の1つに舌圧低下があり,食物の送り込みや嚥下に関わる口腔周囲筋の活動性の低下が関係している.一方,睡眠中に上気道閉塞が生じる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)でも上気道開存性の維持に口腔周囲筋が関与していることから,OSA患者は口腔機能が低下している可能性が高いと考え,OSA患者と健常者の睡眠状況と口腔機能について比較検討することとした.
【方法】
 被験者は,口腔内装置療法を目的に九州歯科大学附属病院義歯科を受診したOSA患者29名(男性20名,女性9名,50.8 ± 10.68歳),対照群29名(男性21名,女性10名,47.8 ± 9.97歳)とした.除外基準は,矯正治療の既往のある者,有床義歯適用となる連続欠損歯を有する者とした.各被験者に,睡眠状況アンケートに回答してもらうとともに,舌圧測定器(TPM-02,JMS,広島)による舌圧測定を3回行いその最大値を最大舌圧とした.また,2群間の比較検討には,対応のないt検定またはχ検定を用いて有意差検定を行った.なお,本研究は九州歯科大学研究倫理委員会の承認を得て行った(承認番号21-38).
【結果と考察】
 睡眠アンケートにおいて,睡眠時間や寝つきは有意差を認めなかったが,寝起きおよび熟睡感が悪い割合はいずれもOSA群で有意に高かった(p < 0.01).日中傾眠傾向はOSA群で有意に高かった(p < 0.05).また睡眠中の開口および口腔乾燥を自覚している割合はいずれもOSA群で有意に高かった(p < 0.01).舌圧はOSA群が有意に低かった(p < 0.05). OSA患者は,睡眠時間や寝つきに不便は感じていないが熟睡感に問題があり,寝起きの困難性や高い日中傾眠傾向が生じている可能性が示唆された.また,睡眠中に開口や口腔乾燥を自覚している割合が有意に高く,舌圧が有意に低いことから,健常者と比較して口腔機能が低下していることが示唆された.