公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-115] 80歳における口腔機能の10年間の世代間差について:SONIC study

*木村 綾花1、三原 佑介1、室谷 有紀1、萩野 弘将1、東 孝太郎1、明間 すずな1、岡田 佳恵1、武内 聡子1、豆野 智昭1、高阪 貴之1、権田 知也1、和田 誠大1、高橋 利士1、前田 芳信1、池邉 一典1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座)

[Abstract]
【目的】
 身体機能は同年代でも以前の高齢者世代と比較すると向上しているが,口腔機能の世代間での差は明らかでない.そこで本研究では,自立した地域在住高齢者を対象に,約10年間の世代間の歯数および口腔機能の違いについて検討した.
【方法】
 本研究では,研究内容に同意の得られたSONIC研究参加者のうち,69-71歳(70歳群,男性265名,女性269名)に対して2010年にベースライン調査,2019年に追跡調査(70歳群80歳時)し,79-81歳(80歳群,男性445名,女性497名)には2011年に調査した.
 口腔内検査により残存歯数と歯周ポケット深さを記録した.また,デンタルプレスケール(ジーシー社,東京,日本)を用いて最大咬合力を測定した.身体機能として握力を,認知機能として日本語版Montoreal Cognitive Assessment(MoCA-J)を調査した.
 70歳群の2010年調査と2019年調査での個人内変化を検討するために対応のあるt検定とWilcoxon検定を用い,2019年調査(70歳群80歳時)と2011年調査(80歳群)との世代間差を検討するためにt検定とMann-WhitneyのU検定を用いた.統計学的有意水準は5%とした.
【結果と考察】
 70歳群の2010年と2019年の80歳時の個人内変化については,残存歯数と最大咬合力の中央値は25本と23本,506Nと296Nであり,いずれも有意に低下していた.また,70歳群の2010年と80歳時の握力の平均値は25.7kgfと25.3kgfであり有意に低下していたが,MoCA-Jスコアの中央値は24.0と24.0であり有意差は認められなかった.
 一方,80歳時の2011年調査と2019年調査の残存歯数,MoCA-Jスコアの中央値はそれぞれ18本と23本,22と24,握力の平均値は21.3kgfと25.2kgfであり,いずれも2019年の方が大きく,有意な世代間差を認めた.しかし,2011年と2019年の調査の最大咬合力の中央値は279Nと295Nであり,有意な差を認めなかった.
 本研究より,80歳時の残存歯数は2019年と2011年で有意な差を認め,世代間差がみられたが,80歳時の最大咬合力は2019年と2011年で有意な差はなく,約10年間の世代間差はみられないことが示唆された.