公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-117] 静電容量型感圧センサーシートを用いた咬合力測定装置の検者内及び検者間信頼性の検討

*釘宮 嘉浩1、村上 正治1、中村 純也1 (1. 国立長寿医療研究センター歯科口腔外科部)

[Abstract]
【目的】
 咬合力は高齢期の健康状態と関連することが明らかとなっている.口腔機能の重要な客観指標である咬合力を定量的に評価するため,現在さまざまな咬合力測定装置や咬合圧分布測定装置が活用されている.そのような中,静電容量型感圧センサーシートにより咬合力を評価する咬合力測定装置が一般医療機器として承認された.本咬合力測定装置は測定値の妥当性1)が報告されている一方で,実際の患者に使用した場合の信頼性については未だに報告がない.本研究の目的は,高齢者を対象として静電容量型感圧センサーシートを用いた咬合力測定装置の検者内信頼性と検者間信頼性を明らかにすることとした.
【方法】
 本研究では,65歳以上の38名(女性23名,平均年齢79.3 ± 6.1歳)を対象として,現在歯と機能歯を視診し,口腔機能モニター Oramo-bf(住友理工株式会社)にて咬合力を評価した.検者内信頼性を検討するため,歯科医師1名が対象者の咬合力を3回測定し級内相関係数Case 1と変動係数を算出した.また,検者間信頼性を検討するため,歯科医師3名が咬合力を1回ずつ計3回測定し級内相関係数Case 2を算出した.
【結果と考察】
 対象者の現在歯数は20.6 ± 8.3本,機能歯数は26.7 ± 2.7本だった.単一検者が3回測定した咬合力は547.0 ± 258.7Nだった.ICC (1.1)は0.982(95%信頼区間0.969-0.990),ICC (1.3)は0.994(0.990-0.997)だった.変動係数は0.052 ± 0.046だった.ICC (2.1)は0.950(0.917-0.972)だった.本研究により,静電容量型感圧センサーシートを用いた咬合力測定装置による測定結果に高い検者内信頼性と検者間信頼性が示された.本咬合力測定装置は検者によらず1回の測定で再現性の高い結果が得られると考えられる.
【参考文献】
1) Iwasaki M, Maeda I, Kokubo Y, et al. Standard Values and Concurrent Validity of a Newly Developed Occlusal Force-Measuring Device among Community-Dwelling Older Adults: The Otassha Study. Int J Environ Res Public Health 2022; 19