公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-118] 新規開発したバイトデバイスを用いた口腔リハビリテーションの検討

*石井 優貴1、飯田 崇1、吉田 一央1、山川 雄一郎1、江橋 葵1、小黒 裕之1、岩崎 正敏1、岩田 好弘1、小見山 道1 (1. 日本大学松戸歯学部 クラウンブリッジ補綴学講座)

[Abstract]
【緒言】 
 高齢者における口腔機能低下の早期予防は,フレイル予防や生活の質の向上においても重要である.これまでに口腔リハビリテーションとしてガムを用いた咀嚼訓練が高齢者の口腔機能維持,改善に有用と報告されている1)が,認知機能や嚥下機能が低下した高齢者において窒息,誤嚥性肺炎のリスクを伴うとともに訓練方法の定量化が困難である.したがって,本研究は,高齢者を対象とした,非侵襲的で定量化可能な口腔リハビリテーション方法の確立を目的とした.
【方法】
 被験者はインフォームドコンセントを得た口腔顔面領域に異常を認めない健常男性 40名(若年者群24名;平均年齢28.1±2.3歳,中高年者群16名;平均年齢60.5±3.5歳)とした.本実験では,新規に開発した3種類の強度が異なるバイトデバイス(高強度の板バネ,低強度の板バネ,板バネなし)を用いた.運動課題は右側小臼歯または大臼歯の咬合面にバイトデバイスを設置し,1 秒に1 回の頻度による 50回連続の咀嚼様運動をする形とし,各運動課題間に30秒の休憩時間を設定した.全被験者の両側咬筋,両側側頭筋の筋活動を筋電計にて測定し,運動課題開始前に咬頭嵌合位で3 秒間の最大噛みしめ100%MVC を3回行った.100 %MVCにおける実効値(RMS値),各運動課題中における両側咬筋,両側側頭筋のRMS値より両側咬筋,両側側頭筋の咀嚼筋筋活動を相対比率にて算出した.算出された各運動課題中における相対比率より両側咬筋,両側側頭筋の筋活動の変動係数(CV値)を算出した.
【結果ならびに考察】
 両年齢群において,高強度,低強度の板バネを含むデバイス使用時における右側側頭筋のRMS値の相対比率は,板バネを含まないデバイス使用時と比較して有意に大きい値を示した(P < 0.05)(図1).両側咬筋,両側側頭筋のCV値は,使用部位間,年齢群間に有意差を認めなかった(図2).以上の結果より,バイトデバイスを用いることで年齢や使用部位に関係なく口腔リハビリテーションの内容を定量化できる可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Kim HJ, Lee JY, Lee ES, et al. Simple oral exercise with chewing gum for improving oral function in older adults. Aging Clin Exp Res 2021; 33: 1023-1031