症例

[P-137] 若年者の連続2歯欠損にジルコニアカンチレバー接着ブリッジで審美回復した症例

*森 圭右¹、大川 友成¹、中村 健太郎¹、山本 司将¹ (1. 東海支部)

[Abstract]
【緒言】
　若年者の4歯先天性欠如に対する審美回復は，矯正歯科治療では困難である．また，インプラント治療では，埋入後の顎骨発育によるリスクが高い．したがって，ジルコニアカンチレバー接着ブリッジ（Resin-Bonded Fixed Dental Prostheses以下，RBFDPs）が適応されることが多い．今回，上顎両側の連続2歯欠損に対して，RBFDPsのポンティック隣接面デザインを考慮し，審美回復を行った症例を報告する．
【症例の概要・治療内容】
　患者は初診時19歳の女性．主訴はCの動揺と審美不良である．4334に先天性欠如が認められた．矯正歯科治療による補綴空隙の確保，RBFDPsと22に対するラミネートベニアによる補綴歯科治療を計画し，患者の同意を得た．また，発表に際して患者の同意を得た．
　矯正治療後，54322345の診断用ワックスアップを行った．口腔内で即時重合レジンに置き換え，審美性と口腔感覚に問題がないことを確認した．色調選択も行った．
　続いて欠損部歯槽堤の形態修正を行った．オベイト型ポンティックの形状を形成するため，スプリントタイプの装置にて，基底面形態を圧迫して付与した．
　支台歯形成を欠損隣接歯に行い，その形成量はエナメル質内に限定した．
　その後印象採得を行い，模型を咬合器に装着した．
　RBFDPsと22のラミネートベニア，それを口腔内に精確に復位するためのポジショニングスプリント¹⁾を作製した．RBFDPsのフレームワークには3Y-TZPのジルコニアを使用した.　
　口腔内に試適する際には，ポジショニングスプリントを使用し，支台歯との適合を確認した．接着は，接着性レジンセメントで接着した.
【結果ならびに考察】
　4歯先天性欠如の審美不良に対し，RBFDPsを用いた補綴歯科治療の結果，審美性の回復は，術前後のOHIPによって確認できた．また，術後６か月間経過時において，ポンティック隣接面は保たれている．以上より，若年者の多数歯先天性欠損に対し，RBFDPsは患者のQOL向上に寄与することが示唆された．
【参考文献】
1)Kern M. RBFDPs Resin-Bonded Fixed Dental Prostheses. Quintessense Publishing Co. Ltd; 140-163, 2018.