[P-138] ジルコニア接着カンチレバーブリッジを用いて下顎左側中切歯欠損補綴を行った一症例
[Abstract]
【緒言】
低侵襲な少数歯欠損補綴法の一つに，接着ブリッジが挙げられる．1リテーナー型の接着カンチレバーブリッジは，従来の2リテーナー型接着ブリッジと比較して良好な臨床成績が報告されている．中でもジルコニアフレームを用いたオールセラミック接着カンチレバーブリッジは，審美性，強度面でも優れた補綴装置として注目されている1）．
今回はそのジルコニアセラミック接着カンチレバーブリッジを用いて，
1欠損に対して補綴修復した症例を報告する．
【症例の概要・治療内容】
患者は65歳女性． 1クラウン脱離による審美障害を訴え来院した．同部は歯肉縁下深くでファイバーポストごと水平破折しており，保存不可能と診断した．抜歯後の欠損補綴に，患者は固定性補綴装置を望んだが，インプラント治療は希望しなかった．そこで，ジルコニアフレームを用い，ポーセレンをレイヤリングした1リテーナー型の接着ブリッジを提案したところ，患者の同意を得た．
まず保存不可能と診断した 1抜歯を行い，抜去歯を接着性レジンセメントで両隣在歯に固定し，暫間補綴装置として利用した．その後，診断用模型上で支台歯の評価を行った．支台歯の候補として，
1か2が考えられたが，後者は捻転しておりフレーム装着が不可能であったため，前者を支台歯とすることとした．また，前歯部が正常被蓋であることを確認した．
実際の形成では，Kernの方法に従い，舌側基底結節付近のピンホール，隣接面ボックス，ショルダーを付与することでフレームの位置付けを容易にした．シリコーン印象材にて印象採得を行い，試適時に色調の調和とフレームの適合を確認した．装着の際は，フレーム内面をアルミナサンドブラスト処理後，MDP含有プライマーで表面処理を行い，ラバーダム防湿下で接着性レジンセメントにて装着した．
【経過ならびに考察】
装着後3年が経過したが，脱離や破損などの合併症は起こっていない．下顎前歯は上顎の様に突き上げられる力がかからないことや，支台歯の歯冠長が比較的長く，十分な接着面積を確保できたことが良好な結果に繋がっていると考察している．
【参考文献】
1) 矢谷博文．オールセラミックカンチレバーブリッジの生存率と合併症:文献レビュー．日補綴会誌 2020；12:220．
(発表に際して患者・被験者の同意を得た.)
【緒言】
低侵襲な少数歯欠損補綴法の一つに，接着ブリッジが挙げられる．1リテーナー型の接着カンチレバーブリッジは，従来の2リテーナー型接着ブリッジと比較して良好な臨床成績が報告されている．中でもジルコニアフレームを用いたオールセラミック接着カンチレバーブリッジは，審美性，強度面でも優れた補綴装置として注目されている1）．
今回はそのジルコニアセラミック接着カンチレバーブリッジを用いて，
1欠損に対して補綴修復した症例を報告する．【症例の概要・治療内容】
患者は65歳女性．
1クラウン脱離による審美障害を訴え来院した．同部は歯肉縁下深くでファイバーポストごと水平破折しており，保存不可能と診断した．抜歯後の欠損補綴に，患者は固定性補綴装置を望んだが，インプラント治療は希望しなかった．そこで，ジルコニアフレームを用い，ポーセレンをレイヤリングした1リテーナー型の接着ブリッジを提案したところ，患者の同意を得た．まず保存不可能と診断した
1抜歯を行い，抜去歯を接着性レジンセメントで両隣在歯に固定し，暫間補綴装置として利用した．その後，診断用模型上で支台歯の評価を行った．支台歯の候補として，1か2が考えられたが，後者は捻転しておりフレーム装着が不可能であったため，前者を支台歯とすることとした．また，前歯部が正常被蓋であることを確認した．実際の形成では，Kernの方法に従い，舌側基底結節付近のピンホール，隣接面ボックス，ショルダーを付与することでフレームの位置付けを容易にした．シリコーン印象材にて印象採得を行い，試適時に色調の調和とフレームの適合を確認した．装着の際は，フレーム内面をアルミナサンドブラスト処理後，MDP含有プライマーで表面処理を行い，ラバーダム防湿下で接着性レジンセメントにて装着した．
【経過ならびに考察】
装着後3年が経過したが，脱離や破損などの合併症は起こっていない．下顎前歯は上顎の様に突き上げられる力がかからないことや，支台歯の歯冠長が比較的長く，十分な接着面積を確保できたことが良好な結果に繋がっていると考察している．
【参考文献】
1) 矢谷博文．オールセラミックカンチレバーブリッジの生存率と合併症:文献レビュー．日補綴会誌 2020；12:220．
(発表に際して患者・被験者の同意を得た.)