公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

有床義歯

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-23] 部分床義歯設計における支台装置の種類の予測

*権田 知也1、高橋 利士1、豆野 智昭1、野崎 一徳2、池邉 一典1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座、2. 大阪大学歯学部附属病院医療情報室)

[Abstract]
【目的】
 我々はこれまで,患者情報に基づいて部分床義歯を自動設計するシステムを開発し,欠損部位の認識,残存歯の状態の認識を達成し,支台歯部位を自動選択するシステムの開発を行なってきた.そこで本研究では,歯の欠損部位から支台装置の種類を予測することを目的に検討を行った.
【方法】
 本学歯学部附属病院咀嚼補綴科にて2003年4月〜2022年12月に日本補綴歯科学会専門医が設計し装着した部分床義歯のうち657床の設計データを使用し,歯の欠損部位から,部分床義歯の支台歯の部位に加えて支台装置の種類(Akersクラスプ,鋳造双子鉤,ワイヤークラスプ,その他)を深層学習により予測するモデル(以後,予測モデルとする)を作成した. 上記の義歯設計データをランダムに2つのデータセット(学習用455床,テスト用202床)に分類した.予測モデルの実装にはPython 3とKerasライブラリを使用し,バックエンドにはTensorFlowを使用した.すべての学習はGoogle Colaboratory環境下(GPUあり)で行った. 作成した予測モデルのmean absolute error (MAE)とlossの2項目を評価した.また,テスト用データにおいて,予測モデルを使用して予測した支台装置の部位と種類と実際の義歯の支台装置の部位と種類を比較し,評価した.
【結果と考察】
 ハイパーパラメータチューニングの結果,本研究で作成した予測モデルの中間層は1層,学習率は0.01,batch sizeは128,学習回数は1000回となった.上記の条件下で学習を行った結果,MAE, lossはそれぞれ0.21,0.23となった.また,上記予測モデルを用いて予測した支台装置の部位と種類が一致した割合は57.7%であった.前回発表時の義歯の支台歯部位の予測の一致率が77.8%であったのに対し,支台装置の部位と種類の予測の一致率が57.7%と低かったことは,支台装置の種類だけでなく,部位も完全に一致させる必要があり,より学習が複雑になったことによると考えられる.今後はさらにデータ数を増やし,支台歯の部位と支台装置の種類の予測精度の向上を目指す.
 以上のことから,深層学習により歯の欠損部位から支台装置の種類を予測できる可能性が示された.