公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

クラウンブリッジ

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-35] 大臼歯用CAD/CAMブロックと接着したレジンセメントの摩耗特性

*竹中 広登1、吉田 圭一2、澤瀬 隆1 (1. 長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 口腔インプラント学分野、2. 長崎大学病院 保存・補綴歯科 冠補綴治療室)

[Abstract]
【目的】
 CAD/CAMインレーを製作する場合に,口腔内スキャナを用いた印象採得・咬合採得が2024年4月に保険収載され,今後臨床例が増大すると考えられる.今回大臼歯用CAM/CAMブロックをレジンセメントで接着した試験片の摩耗量を評価し,レジンセメントの摩耗特性について検討した.
【方法】
 使用したレジンセメントはジーセムONE EM(GCOEM, ジーシー),SAルーティングMulti(SALM, クラレノリタケデンタル),ブロックHCセム(BHCC, 松風),エステセムII(ECII, トクヤマデンタル),リライエックスユニバーサル(RXU, 3M ESPE),スーパーボンドC&B(SB, サンメディカル)の6製品である.使用したCAD/CAMブロックはセラスマート300(CS300, ジーシー),カタナアベンシアP(KAP, クラレノリタケデンタル),ブロックHCスーパーハード(BHCSH, 松風),エステライトP(ELP, トクヤマデンタル)の4製品である.CAD/CAMブロックを厚さ2 mmに切断・研削し,アルミナブラスティング後セメントと同じメーカーのプライマーを塗布した.次に,2枚のブロックを各レジンセメントで接着し光照射した.ブロックとセメントの組合せは,GCOEM/CS300, SALM/KAP, BHCC/BHCSH, ECII/ELP, ECII/CS300, RXU/KAP, RXU/ELP, SB/BHCSHの8つとした.摩耗試験は試験片を即時重合レジンで包埋後,PMMA懸濁液中で最大荷重75.6 Nの垂直に捻る10万回の臼磨運動を行った.3D光学プロファイラー(VR-5000, キーエンス)で測定した圧痕の最大深さを摩耗量とし,摩耗前後の接着界面のSEM観察も行った.結果はANOVAとTukey-Kramer tests(α=0.05)で分析し,ピアソンの相関係数(α=0.01)も求めた.
【結果と考察】
 結果を図に示した.比較的大きいフィラーのBHCCとRUXはフィラー脱落が多数認められたのに対し,ナノサイズフィラーのGCOEMとECⅡはフィラー脱落が少なかった.接着試験片の摩耗量とレジンセメント単独の摩耗量は強い相関係数(r=0.943, p<0.0001)を示した.フィラー脱落後さらにセメントの摩耗が進行するため,フィラーのマトリックスレジンとの結合が摩耗量に大きく影響すると考えられた.