[P-52] スチーム洗浄によるPEEK材変色改善効果およびせん断接着強さの評価
[Abstract]
【目的】
2023年12月よりPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材が,CAD/CAM冠用材料(Ⅴ):大臼歯部への適用として保険収載された.
このCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)では,サンドブラスト処理(以下,SB処理)が必須要件とされている.SB処理は,PEEK表面を粗造にし,接着強度を向上させるが,処理面が黒く変色する.この変色の除去には,スチーマー洗浄が効果的である.
本研究では,スチーマー洗浄によるサンドブラスト変色の改善効果および接着強さへの影響を検討した.
【方法】
CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)松風ブロックPEEKを実験に供した.PEEK用接着材料として,プライマー:CAD/CAMレジン用アドヒーシブ,レジンセメント:ビューティーリンクSAを用いた.
・測色
PEEK試料を①~③のサンプル群に分類し,①群は未処理(#600研磨面),②群はSB処理,③群はSB処理+スチーマー洗浄(以下,SC処理)を行った.SB処理の条件は,噴霧材:アルミナ,噴霧圧力:0.1-0.4MPa,噴霧時間:15秒,噴霧距離:10mm,SC処理の条件は,噴霧水温85.8℃,噴霧時間:30秒,噴霧距離:10mmである.
作製した各試料に対し,分光測色計を用い測色した.
・せん断接着強さ
PEEK試料の被着面にプライマーを塗布,乾燥後,10秒間光照射を行った.被着体のSUS棒にはビュティーボンドXtremeを塗布,乾燥後,5秒間光照射した.SUS棒にレジンセメントを塗布後,PEEK材に合着し,200gfの荷重をかけた.余剰セメント除去後, 5秒間の光照射を行った.作製した接着試験体をサーマルサイクルを5000回行った後,万能材料試験機(インストロン5967)を用い,荷重速度1mm/minでせん断接着強さを測定した.
【結果と考察】
・SB処理の噴霧圧力でPEEK材の変色度合いが異なった.圧力が高いほど変色度合いが大きかった.
・SC処理による変色除去は,SB処理の噴霧圧力が高いと不十分であった.
・せん断接着強さについて,②群(SB処理)と③群(SC処理)間に統計学的な有意差は認められなかった(p>0.05;Two-way ANOVA,Tukey法).
本検討より,PEEK材の変色抑制には,低噴霧圧力のサンドブラスト処理後にスチーマー洗浄を実施することが有効であり,接着強度も十分に確保できることが示唆された.
【目的】
2023年12月よりPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材が,CAD/CAM冠用材料(Ⅴ):大臼歯部への適用として保険収載された.
このCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)では,サンドブラスト処理(以下,SB処理)が必須要件とされている.SB処理は,PEEK表面を粗造にし,接着強度を向上させるが,処理面が黒く変色する.この変色の除去には,スチーマー洗浄が効果的である.
本研究では,スチーマー洗浄によるサンドブラスト変色の改善効果および接着強さへの影響を検討した.
【方法】
CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)松風ブロックPEEKを実験に供した.PEEK用接着材料として,プライマー:CAD/CAMレジン用アドヒーシブ,レジンセメント:ビューティーリンクSAを用いた.
・測色
PEEK試料を①~③のサンプル群に分類し,①群は未処理(#600研磨面),②群はSB処理,③群はSB処理+スチーマー洗浄(以下,SC処理)を行った.SB処理の条件は,噴霧材:アルミナ,噴霧圧力:0.1-0.4MPa,噴霧時間:15秒,噴霧距離:10mm,SC処理の条件は,噴霧水温85.8℃,噴霧時間:30秒,噴霧距離:10mmである.
作製した各試料に対し,分光測色計を用い測色した.
・せん断接着強さ
PEEK試料の被着面にプライマーを塗布,乾燥後,10秒間光照射を行った.被着体のSUS棒にはビュティーボンドXtremeを塗布,乾燥後,5秒間光照射した.SUS棒にレジンセメントを塗布後,PEEK材に合着し,200gfの荷重をかけた.余剰セメント除去後, 5秒間の光照射を行った.作製した接着試験体をサーマルサイクルを5000回行った後,万能材料試験機(インストロン5967)を用い,荷重速度1mm/minでせん断接着強さを測定した.
【結果と考察】
・SB処理の噴霧圧力でPEEK材の変色度合いが異なった.圧力が高いほど変色度合いが大きかった.
・SC処理による変色除去は,SB処理の噴霧圧力が高いと不十分であった.
・せん断接着強さについて,②群(SB処理)と③群(SC処理)間に統計学的な有意差は認められなかった(p>0.05;Two-way ANOVA,Tukey法).
本検討より,PEEK材の変色抑制には,低噴霧圧力のサンドブラスト処理後にスチーマー洗浄を実施することが有効であり,接着強度も十分に確保できることが示唆された.