公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-79] DC/TMD患者の心理社会的評価とその傾向

*小川 晃奈1、櫻井 萌絵1、小出 恭代1,2、大久保 昌和1,2、内田 貴之2、石井 智浩1,2、飯田 崇2、下坂 典立2、西村 均2、小宮山 道2 (1. 日本大学松戸歯学部 有床義歯補綴学、2. 日本大学松戸歯学部付属病院口・顔・頭の痛み外来)

[Abstract]
【目的】
 DC/TMD を有する患者のⅡ軸評価インストゥルメントである健康質問票のうち心理社会的評価(PHQ-9, PHQ-15),全般性不安障害(GAD-7)と患者の診断結果との関連性の検討を目的としてスクリーニング調査を行った。
【方法】
 被験者は口腔顔面痛を主訴として日本大学松戸歯学部付属歯科病院の口・顔・頭の痛み外来を受診した53人の患者(男性16人、女性37人、平均年齢53.7±21.4歳)。
 すべての患者は、初診時に DC/TMD のⅡ軸評価インストゥルメントとして、PHQ9 (うつ病)、PHQ15 (身体症状)、GAD7 (全般性不安障害)に回答し、その結果と最終診断(顎関節症、口腔灼熱症候群、三叉神経痛、頭痛、歯痛など)との関連性を検討した。統計解析は多変量解析を使用した(一元配置分散分析、相関比、SPSS)。
【結果と考察】
 男性では、年齢と最終診断 (eta2=0.324)、GCPS (eta2=0.105)、PHQ-9 (eta2=0.118)、PHQ-15 (eta2=0.116) の間に有意な相関が見られた。女性では、年齢と最終診断 (eta2=0.438)、PHQ-9 (eta2=0.165)、GAD-7 (eta2=0.106)、および PHQ15 (eta2=0.110) の間に有意な相関があった。特に、年齢と最終診断の間に強い相関関係が認められた。
以上の結果から、男性と女性の両方において、年齢は最終診断、うつ病、身体症状と相関関係が認められた。これにより口腔顔面痛を主訴とする患者は好発年齢が明確な病態を有している可能性が高く、それに伴ううつや身体症状との関連も高いと考えられた。更に、男性では長期にわたる痛みの持続パターン(障害の日数と痛みの強さ)、女性では不安による生活障害との関連性があると示唆された。