[P-80] 睡眠呼吸障害患者の覚醒時舌圧の特徴について
[Abstract]
【目的】
舌筋が弛緩することで舌根沈下が起こり，睡眠時無呼吸のトリガーとなることが知られている1)． 本研究の目的は，いびきなどの睡眠呼吸障害（SDB）患者の覚醒時の舌圧（舌の筋力）について，その特徴を明らかにすることである．
【方法】
対象者は，いびきがあり睡眠時無呼吸を疑い2017年10月～2021年10月に日本歯科大学新潟病院睡眠歯科センターを受診し，睡眠ポリグラフ検査（PSG）を受け，本研究について承諾の得られた128名（男性80名，女性48名）．本研究は日本歯科大学新潟生命歯学部倫理委員会の承認を得た後に行った.
方法：
①舌圧の計測：舌圧測定器®（JMS社）を用いた．舌圧プローブを口腔内に挿入し，舌尖端挙上圧を5回測定し，最大値を舌圧値とした．②PSG：入院下で施行．覚醒指数 (ArI), 無呼吸低呼吸指数 (AHI), SpO290%未満比率 (CT90%) を算出した．③舌骨位の計測：側面頭部エックス線規格写真を用いた．撮影は，通法通りで，舌骨から下顎下縁平面まで垂線を下ろした距離（MPH）を計測した．
分析方法：各項目の平均値と標準偏差を算出．舌圧値に対する年齢，肥満度 (BMI), ArI, AHI, CT90%, MPHとの関係を調べるためにSpearmanの順位相関を用いた．
【結果と考察】
対象者の平均年齢は55.1±13.4（歳）, 舌圧は38.1±9.3 (kPa), BMIは25.4±3.9 (㎏/㎡)，ArIは32.1±16.4 (回/時)，AHIは28.9±20.2 (回/時)，CT90％は3.6±7.3 (％)，MPHは19.0±13.8 (mm)．統計分析で，舌圧と年齢 (r=-0.492, P＜0.01)（図），舌圧とBMI (r=0.268, P＜0.01)との間で有意な相関関係がみられた．以上から，SDB患者の舌圧は年齢やBMIに関係を認め，無呼吸との間には有意な関係は見られなかった．
【参考文献】
1) Sauerland EK, Harper RM. The human tongue during sleep. Electromyographic activity of the genioglossus muscle. Experimental Neurology 1976 ; 51: 160-170.
【目的】
舌筋が弛緩することで舌根沈下が起こり，睡眠時無呼吸のトリガーとなることが知られている1)． 本研究の目的は，いびきなどの睡眠呼吸障害（SDB）患者の覚醒時の舌圧（舌の筋力）について，その特徴を明らかにすることである．
【方法】
対象者は，いびきがあり睡眠時無呼吸を疑い2017年10月～2021年10月に日本歯科大学新潟病院睡眠歯科センターを受診し，睡眠ポリグラフ検査（PSG）を受け，本研究について承諾の得られた128名（男性80名，女性48名）．本研究は日本歯科大学新潟生命歯学部倫理委員会の承認を得た後に行った.
方法：
①舌圧の計測：舌圧測定器®（JMS社）を用いた．舌圧プローブを口腔内に挿入し，舌尖端挙上圧を5回測定し，最大値を舌圧値とした．②PSG：入院下で施行．覚醒指数 (ArI), 無呼吸低呼吸指数 (AHI), SpO290%未満比率 (CT90%) を算出した．③舌骨位の計測：側面頭部エックス線規格写真を用いた．撮影は，通法通りで，舌骨から下顎下縁平面まで垂線を下ろした距離（MPH）を計測した．
分析方法：各項目の平均値と標準偏差を算出．舌圧値に対する年齢，肥満度 (BMI), ArI, AHI, CT90%, MPHとの関係を調べるためにSpearmanの順位相関を用いた．
【結果と考察】
対象者の平均年齢は55.1±13.4（歳）, 舌圧は38.1±9.3 (kPa), BMIは25.4±3.9 (㎏/㎡)，ArIは32.1±16.4 (回/時)，AHIは28.9±20.2 (回/時)，CT90％は3.6±7.3 (％)，MPHは19.0±13.8 (mm)．統計分析で，舌圧と年齢 (r=-0.492, P＜0.01)（図），舌圧とBMI (r=0.268, P＜0.01)との間で有意な相関関係がみられた．以上から，SDB患者の舌圧は年齢やBMIに関係を認め，無呼吸との間には有意な関係は見られなかった．
【参考文献】
1) Sauerland EK, Harper RM. The human tongue during sleep. Electromyographic activity of the genioglossus muscle. Experimental Neurology 1976 ; 51: 160-170.