[0216] 回復期リハビリテーション病棟退院後自宅訪問のリハビリテーションスタッフに対する教育的効果
Keywords:回復期, 自宅訪問, 教育
【はじめに,目的】回復期リハビリテーション病棟(以下回復期)に入院中の患者を,円滑に退院後の生活に繋げるためには,患者の退院後の生活を想定したリハビリテーション(以下リハ)を展開する必要がある。しかし,経験が少ないスタッフの多くは,退院後の生活を具体的に想定することが困難である。そのため,回復期に配属されているリハスタッフが,回復期から自宅に退院した患者の自宅を訪問する取り組み(以下退院後訪問)を実施した。本研究の目的は,退院後訪問のリハスタッフに対する教育的効果を明らかにすることである。
【方法】当院回復期に所属し,退院後訪問に関するアンケートを実施した28名の内,実際に退院後訪問を実施した10名(PT7名,OT3名,経験平均年数2.9年)を対象とした。アンケートは5つの質問で構成されており,質問1は退院後訪問実施の有無と回数,質問2は退院後訪問を行ってリハに関する考え方が変わったか否か,質問3は退院後訪問を行って学んだことがあったか否か,質問4は退院後訪問を行って学んだ知識を入院中の患者に応用できたか否か,質問5は今後も退院後訪問に行きたいと思うか否かとした。各問について二者択一の選択式で回答を得て,その回答数をカウントした。質問2から5については,その具体的な内容,理由を自由に記述してもらった。本研究では退院後訪問の教育的効果を明らかにするために,学んだ内容を直接的に尋ねている質問3に関して,学んだことがあったと回答した者の記述内容を分析対象とした。質問3の自由記述にて得られた回答は,2名の理学療法士(経験年数9年目と5年目)が記述内容をコード化し,KJ法を用いて類似したコードをサブカテゴリーとして分類した。さらに類似したサブカテゴリーをカテゴリーとして分類した。サブカテゴリーごと,カテゴリーごとに度数をカウントした。
【倫理的配慮,説明と同意】対象者に対して,本研究の趣旨やデータの処理方法等を口頭にて説明し,同意を得た。なお,本研究は当院の臨床研究倫理審査機関の承認を受け実施した(承認番号122)。
【結果】質問1に関して,実施回数1回の者は8名,2回の者は2名であった。質問2に関して,リハに関する考え方が変わった者は8名,変わらなかった者は2名であった。質問3に関して,学んだことがあった者は9名,なかった者は1名であった。質問4に関して,応用できた者は4名,応用できなかった者は6名であった。質問5に関して,今後も退院後訪問に行きたいと思う者は9名,思わない者は1名であった。質問3に関して,学んだことがあったと回答した9名の自由記述から11件のコードが得られ,次の2つにカテゴリー化された。「回復期入院中にリハスタッフが留意すべき内容」が6件,「病院と自宅の環境の違い」が5件であった。「回復期入院中にリハスタッフが留意すべき内容」にカテゴリー化されたサブカテゴリーは〈退院後の生活を想定しながら支援することの重要性〉が3件,〈退院後の支援体制を構築しておくことの重要性〉が2件,〈病院で自宅の生活を想定することには限界があるため,実際に自宅を評価することが重要〉が1件であった。「病院と自宅の環境の違い」にカテゴリー化されたサブカテゴリーは〈病院では心理的に不安定な患者が自宅では安定〉が4件,〈自宅と病院の生活リズムに違いがある〉が1件であった。
【考察】質問3に関して退院後訪問から学んだことがあったと回答したスタッフは対象者の90%であった。本研究では対象が10名と少数であるが,退院後訪問は回復期に所属しているリハスタッフに対して教育的効果があると考える。具体的な効果としては,質問3に関する記述内容より,「回復期入院中にリハ担当者が留意すべき内容」や「病院と自宅の環境の違い」に関して学んだことが伺える。これらの知識は,実際に退院後の生活を見たからこそ学ぶことができたと考えられる。質問4に関して,退院後訪問から学んだ知識を入院中の患者に応用できたと回答したスタッフは対象者の40%に留まり,退院後訪問によって得た知識を入院中の患者に応用できるようになっていないと考えられる。知識を得るだけでは,入院中の患者に応用することは困難である。従って,退院後訪問によって得た知識を応用することを入院中の患者を通じて指導することが必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】退院後訪問は,患者の退院後の生活を想定するために必要な知識を向上させるための一助となる可能性があることが示唆され,理学療法学研究としての意義があるものと考える。
【方法】当院回復期に所属し,退院後訪問に関するアンケートを実施した28名の内,実際に退院後訪問を実施した10名(PT7名,OT3名,経験平均年数2.9年)を対象とした。アンケートは5つの質問で構成されており,質問1は退院後訪問実施の有無と回数,質問2は退院後訪問を行ってリハに関する考え方が変わったか否か,質問3は退院後訪問を行って学んだことがあったか否か,質問4は退院後訪問を行って学んだ知識を入院中の患者に応用できたか否か,質問5は今後も退院後訪問に行きたいと思うか否かとした。各問について二者択一の選択式で回答を得て,その回答数をカウントした。質問2から5については,その具体的な内容,理由を自由に記述してもらった。本研究では退院後訪問の教育的効果を明らかにするために,学んだ内容を直接的に尋ねている質問3に関して,学んだことがあったと回答した者の記述内容を分析対象とした。質問3の自由記述にて得られた回答は,2名の理学療法士(経験年数9年目と5年目)が記述内容をコード化し,KJ法を用いて類似したコードをサブカテゴリーとして分類した。さらに類似したサブカテゴリーをカテゴリーとして分類した。サブカテゴリーごと,カテゴリーごとに度数をカウントした。
【倫理的配慮,説明と同意】対象者に対して,本研究の趣旨やデータの処理方法等を口頭にて説明し,同意を得た。なお,本研究は当院の臨床研究倫理審査機関の承認を受け実施した(承認番号122)。
【結果】質問1に関して,実施回数1回の者は8名,2回の者は2名であった。質問2に関して,リハに関する考え方が変わった者は8名,変わらなかった者は2名であった。質問3に関して,学んだことがあった者は9名,なかった者は1名であった。質問4に関して,応用できた者は4名,応用できなかった者は6名であった。質問5に関して,今後も退院後訪問に行きたいと思う者は9名,思わない者は1名であった。質問3に関して,学んだことがあったと回答した9名の自由記述から11件のコードが得られ,次の2つにカテゴリー化された。「回復期入院中にリハスタッフが留意すべき内容」が6件,「病院と自宅の環境の違い」が5件であった。「回復期入院中にリハスタッフが留意すべき内容」にカテゴリー化されたサブカテゴリーは〈退院後の生活を想定しながら支援することの重要性〉が3件,〈退院後の支援体制を構築しておくことの重要性〉が2件,〈病院で自宅の生活を想定することには限界があるため,実際に自宅を評価することが重要〉が1件であった。「病院と自宅の環境の違い」にカテゴリー化されたサブカテゴリーは〈病院では心理的に不安定な患者が自宅では安定〉が4件,〈自宅と病院の生活リズムに違いがある〉が1件であった。
【考察】質問3に関して退院後訪問から学んだことがあったと回答したスタッフは対象者の90%であった。本研究では対象が10名と少数であるが,退院後訪問は回復期に所属しているリハスタッフに対して教育的効果があると考える。具体的な効果としては,質問3に関する記述内容より,「回復期入院中にリハ担当者が留意すべき内容」や「病院と自宅の環境の違い」に関して学んだことが伺える。これらの知識は,実際に退院後の生活を見たからこそ学ぶことができたと考えられる。質問4に関して,退院後訪問から学んだ知識を入院中の患者に応用できたと回答したスタッフは対象者の40%に留まり,退院後訪問によって得た知識を入院中の患者に応用できるようになっていないと考えられる。知識を得るだけでは,入院中の患者に応用することは困難である。従って,退院後訪問によって得た知識を応用することを入院中の患者を通じて指導することが必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】退院後訪問は,患者の退院後の生活を想定するために必要な知識を向上させるための一助となる可能性があることが示唆され,理学療法学研究としての意義があるものと考える。