[0230] Tergumed@700を用いた体幹可動域および筋力測定
キーワード:トルクマシーン, 再現性, 表面筋電図
【はじめに】
Tergumed@700は,欧州の病院・リハビリテーション施設・保健所・スポーツ医学等の様々な施設において腰痛評価およびトレーニング機器として用いられている。本邦においては高価で繁雑なトルクマシーンを保有できる施設は少ないのが現状である。しかし,正確で再現性の高い評価機器であることは明らかであり,その正確性・再現性は臨床評価に重要であることは言うまでもない。
本研究の目的は,Tergumed@700を用いて体幹屈曲・伸展・側屈・回旋の可動域測定および筋力測定の再現性を検証することである。さらにTergumed@700の可動域測定は日本整形外科学会制定の測定方法との関係,筋力測定は表面筋電図を用いて体幹筋の筋活動を検証し,臨床での評価・治療に応用する基礎データを示すことである。
【対象と方法】
対象は,腰背部に疼痛を有しない健常成人男性42名(効果量:0.4,検定力:0.6)とした。平均年齢32.4歳,平均身長168.6cm,平均体重66.7kgであった。方法は,Proxomed@社製Tergumed@700(Back flexion,Back stretcher,Lateral flexion,Rotation)を用いて,体幹屈曲・伸展・側屈・回旋それぞれの体幹可動域測定および体幹筋力測定を測定した。日本整形外科学会制定の可動域測定は検者2人で測定し,3回の平均を測定値とした。また,体幹筋力測定は体幹正中位における最大等尺性収縮として測定した。なお,表面筋電図はTELEMYO DTS(EM-801;Noraxon社製)を用いて,両側の胸部傍脊柱筋,腰部傍脊柱筋,多裂筋,腹直筋,外腹斜筋,大殿筋,大腿二頭筋,大腿直筋の8筋を導出筋として測定した。
統計的解析は,再現性には級内相関係数ICC(1.1),可動域測定には相関係数,%IEMGの比較には多重比較法を用いた。
なお,福島県立医科大学会津医療センター倫理委員会の承認を受けて実施した。
【結果】
Tergumed@700の体幹可動域測定ICC(1.1)が0.973,体幹筋力測定ICC(1.1)が0.982であった。
Tergumed@700と日本整形外科学会制定の可動域測定は,屈曲がr=0.842,伸展がr=0.827,側屈r=0.762,回旋r=0.771であり,各々高い相関があった。筋力測定時の%MVCは,屈曲時が両側の腹直筋と外腹斜筋,伸展時が両側胸・腰部傍脊柱筋および多裂筋,側屈時は同側の胸部・腰部傍脊柱筋,回旋時は非回旋側の外腹斜筋と回旋時は回旋側の胸部傍脊柱筋が高値であった。
また,筋力測定において体幹伸展時が大殿筋40%,回旋時が非回旋側の大殿筋40%,側屈時が非側屈側の大腿二頭筋40%の%IEMGとなっていた。
【考察】
Tergumed@700の体幹可動域測定および体幹筋力測定はShroutらの基準を用いると高い再現性が得られた。Tergumed@700は,臨床における評価機器として用いる可能性が示された。さらに,Tergumed@700の可動域測定は日本整形外科学会制定の測定方法と相関関係があり,有効に活用できることが示された。体幹筋力測定は屈曲・伸展・側屈・回旋各々の主動作筋とされる筋群の筋収縮を示す結果であり,有効に体幹筋力の測定が可能であることが示された。なお,体幹筋力測定時に伸展では大殿筋,回旋では非回旋側の大殿筋,側屈では非側屈側の大腿二頭筋が骨盤の固定のために筋活動していると考えられる。体幹筋力測定において骨盤固定の筋活動も含めて評価意義を捉えることが重要である。
このようなトルクマシーンは高価であり,操作等の繁雑さが問題となっているのが現実である。今後の臨床応用のためには,トルクマシーンによる正確な評価と安価で簡易的な評価との関連を明らかにして,代用可能な評価方法を検討することが課題である。
【理学療法学研究としての意義】
有訴受診率で上位である腰痛症は,これからも評価・治療・予防の質を向上が求められる。トルクマシーンは高価で操作が繁雑と言われているが,正確で再現性の高いことは明らかであり,評価・治療への活用は客観的評価を実施するための一つの手段である。
Tergumed@700は,欧州の病院・リハビリテーション施設・保健所・スポーツ医学等の様々な施設において腰痛評価およびトレーニング機器として用いられている。本邦においては高価で繁雑なトルクマシーンを保有できる施設は少ないのが現状である。しかし,正確で再現性の高い評価機器であることは明らかであり,その正確性・再現性は臨床評価に重要であることは言うまでもない。
本研究の目的は,Tergumed@700を用いて体幹屈曲・伸展・側屈・回旋の可動域測定および筋力測定の再現性を検証することである。さらにTergumed@700の可動域測定は日本整形外科学会制定の測定方法との関係,筋力測定は表面筋電図を用いて体幹筋の筋活動を検証し,臨床での評価・治療に応用する基礎データを示すことである。
【対象と方法】
対象は,腰背部に疼痛を有しない健常成人男性42名(効果量:0.4,検定力:0.6)とした。平均年齢32.4歳,平均身長168.6cm,平均体重66.7kgであった。方法は,Proxomed@社製Tergumed@700(Back flexion,Back stretcher,Lateral flexion,Rotation)を用いて,体幹屈曲・伸展・側屈・回旋それぞれの体幹可動域測定および体幹筋力測定を測定した。日本整形外科学会制定の可動域測定は検者2人で測定し,3回の平均を測定値とした。また,体幹筋力測定は体幹正中位における最大等尺性収縮として測定した。なお,表面筋電図はTELEMYO DTS(EM-801;Noraxon社製)を用いて,両側の胸部傍脊柱筋,腰部傍脊柱筋,多裂筋,腹直筋,外腹斜筋,大殿筋,大腿二頭筋,大腿直筋の8筋を導出筋として測定した。
統計的解析は,再現性には級内相関係数ICC(1.1),可動域測定には相関係数,%IEMGの比較には多重比較法を用いた。
なお,福島県立医科大学会津医療センター倫理委員会の承認を受けて実施した。
【結果】
Tergumed@700の体幹可動域測定ICC(1.1)が0.973,体幹筋力測定ICC(1.1)が0.982であった。
Tergumed@700と日本整形外科学会制定の可動域測定は,屈曲がr=0.842,伸展がr=0.827,側屈r=0.762,回旋r=0.771であり,各々高い相関があった。筋力測定時の%MVCは,屈曲時が両側の腹直筋と外腹斜筋,伸展時が両側胸・腰部傍脊柱筋および多裂筋,側屈時は同側の胸部・腰部傍脊柱筋,回旋時は非回旋側の外腹斜筋と回旋時は回旋側の胸部傍脊柱筋が高値であった。
また,筋力測定において体幹伸展時が大殿筋40%,回旋時が非回旋側の大殿筋40%,側屈時が非側屈側の大腿二頭筋40%の%IEMGとなっていた。
【考察】
Tergumed@700の体幹可動域測定および体幹筋力測定はShroutらの基準を用いると高い再現性が得られた。Tergumed@700は,臨床における評価機器として用いる可能性が示された。さらに,Tergumed@700の可動域測定は日本整形外科学会制定の測定方法と相関関係があり,有効に活用できることが示された。体幹筋力測定は屈曲・伸展・側屈・回旋各々の主動作筋とされる筋群の筋収縮を示す結果であり,有効に体幹筋力の測定が可能であることが示された。なお,体幹筋力測定時に伸展では大殿筋,回旋では非回旋側の大殿筋,側屈では非側屈側の大腿二頭筋が骨盤の固定のために筋活動していると考えられる。体幹筋力測定において骨盤固定の筋活動も含めて評価意義を捉えることが重要である。
このようなトルクマシーンは高価であり,操作等の繁雑さが問題となっているのが現実である。今後の臨床応用のためには,トルクマシーンによる正確な評価と安価で簡易的な評価との関連を明らかにして,代用可能な評価方法を検討することが課題である。
【理学療法学研究としての意義】
有訴受診率で上位である腰痛症は,これからも評価・治療・予防の質を向上が求められる。トルクマシーンは高価で操作が繁雑と言われているが,正確で再現性の高いことは明らかであり,評価・治療への活用は客観的評価を実施するための一つの手段である。