[0351] 若年男性におけるロコモ25の身体活動と疼痛,運動機能および運動歴との関係
Keywords:ロコモティブシンドローム, 若年男性, 足関節関節弛緩
【はじめに,目的】ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とは運動器の障害によって,日常生活に困難をきたすリスクが高い状態である。ロコモの判定は,疼痛(ロコモP),ADL(ロコモA)および健康感に関する25項目で構成されたロコモ25が用いられており,100点満点中16点以上でロコモに該当する。また,ロコモの早期発見と予防を目的としたロコモーションチェック(ロコチェック)では,7項目のうちひとつでも該当した場合,ロコモ予備群としてロコモーショントレーニングが必要な場合がある。2005年の調査では,児童,生徒の体力および運動能力は全体的に低下しており,現在の若年者ではロコモ予備群が存在する可能性がある。本研究は,若年者のロコモ予備群の割合と,ロコモ25と運動機能および運動歴との関係について調査した。
【方法】対象は,一般若年者男性17名(平均年齢21.2±1.6歳)であった。調査項目は,ロコチェック,ロコモ25,学童期の運動歴(運動歴)とした。ロコモPおよびロコモAは,ロコモ25より算出した。測定項目は,長座体前屈,東大式関節弛緩テストおよび等速性筋力測定を行った。等速性筋力測定は,BIODEX SYSTEM5(BIODEX)を使用し,膝関節屈曲,伸展筋力を角速度60deg/sec,180deg/secで行った。統計学的分析は,SPSS Statistics 21.0(IBM)を使用し,ロコモ25および運動歴と各測定項目との関係は,Spearman順位相関分析を用い,有意水準5%未満とした。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は国際医療福祉大学倫理委員会の承認(承認番号13-Io-73)を得た後,対象者には事前に研究内容を説明し,書面にて同意を得た上で実施した。
【結果】ロコチェックの該当者は,17名中2名(11.8%)であった。ロコモ25は1.9±2.8点であり,ロコモ16点以上のものは1名であった。運動歴は4.7±1.4年であった。ロコモAは,運動歴(r=-0.49,p<0.05),長座体前屈(r=-0.55,p<0.05),膝関節屈曲トルク180deg/sec(r=-0.68,p<0.01),屈曲パワー60deg/sec(r=-0.65,p<0.01),180 deg/sec(r=-0.65)と有意な負の相関があり,東大式関節弛緩テストの足関節(r=0.65,p<0.01)と有意な正の相関があった。ロコモPは,膝関節トルク180deg/sec(r=-0.62,p<0.01),屈曲パワー60deg/sec(r=-0.57,p<0.05),180 deg/sec(r=-0.65,p<0.01)と有意な負の相関があり,東大式関節弛緩テストの足関節(r=0.49,p<0.05)と有意な正の相関があった。
【考察】本研究の結果,男性におけるロコチェックの該当者は2名,ロコモ該当者は1名であった。また,ロコモAは,学童期の運動歴と負の相関があった。小学5,6年生を対象とした1日歩数と体力テストとの関連について,男子では握力,20mシャトルラン,50m走,立ち幅跳び,総得点が関連すると報告されている(戸田ら,2007)。またNational Association for Sport and Physical Education(NASPE)やDepartment of Healthでは,身体活動の中に速歩かそれ以上の強度の身体活動を含むべきであると報告されていることから,学童期の運動が青年期のADLに影響する可能性が示された。男性のロコモAは,長座体前屈および膝関節屈曲トルクおよびパワーと負の相関があり,関節弛緩足関節と正の相関があった。膝関節屈曲筋力低下と足関節の関節弛緩性を有することで下肢での支持性が低下し,身体の支持性を腰背部の抗重力筋に依存したことで身体後面の柔軟性が低下するとこが推察される。その結果,ロコモAの下位項目である立ち上がり,歩行,階段昇降,スポーツなどで困難さが生じたと考えられる。運動歴は,男性が女性より学童期の運動期間が長く,ロコモAと相関があった。子どもの身体活動について,速歩あるいはそれ以上の活動強度の身体活動が推奨されており,学童期の運動が青年期のADLに影響する可能性が示された。本研究の結果,若年男性においてもロコモ予備群が散見された。また,ロコモのADLおよび疼痛はそれぞれ長座体前屈,膝関節屈曲筋力および筋パワーと負の相関があり,足関節の不安定と正の相関があり,将来のロコモ予防には柔軟性,膝屈曲筋力および筋パワーの向上と足関節の安定性を高めることが重要な可能性がある。今後は対象数を増やし,若年者におけるロコモ予備群およびロコモに関連する因子について調査する。
【理学療法学研究としての意義】若年男性におけるロコモティブシンドローム予備群について調査することは,将来のロコモティブシンドローム予防のための介入を検討する上で重要である。
【方法】対象は,一般若年者男性17名(平均年齢21.2±1.6歳)であった。調査項目は,ロコチェック,ロコモ25,学童期の運動歴(運動歴)とした。ロコモPおよびロコモAは,ロコモ25より算出した。測定項目は,長座体前屈,東大式関節弛緩テストおよび等速性筋力測定を行った。等速性筋力測定は,BIODEX SYSTEM5(BIODEX)を使用し,膝関節屈曲,伸展筋力を角速度60deg/sec,180deg/secで行った。統計学的分析は,SPSS Statistics 21.0(IBM)を使用し,ロコモ25および運動歴と各測定項目との関係は,Spearman順位相関分析を用い,有意水準5%未満とした。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は国際医療福祉大学倫理委員会の承認(承認番号13-Io-73)を得た後,対象者には事前に研究内容を説明し,書面にて同意を得た上で実施した。
【結果】ロコチェックの該当者は,17名中2名(11.8%)であった。ロコモ25は1.9±2.8点であり,ロコモ16点以上のものは1名であった。運動歴は4.7±1.4年であった。ロコモAは,運動歴(r=-0.49,p<0.05),長座体前屈(r=-0.55,p<0.05),膝関節屈曲トルク180deg/sec(r=-0.68,p<0.01),屈曲パワー60deg/sec(r=-0.65,p<0.01),180 deg/sec(r=-0.65)と有意な負の相関があり,東大式関節弛緩テストの足関節(r=0.65,p<0.01)と有意な正の相関があった。ロコモPは,膝関節トルク180deg/sec(r=-0.62,p<0.01),屈曲パワー60deg/sec(r=-0.57,p<0.05),180 deg/sec(r=-0.65,p<0.01)と有意な負の相関があり,東大式関節弛緩テストの足関節(r=0.49,p<0.05)と有意な正の相関があった。
【考察】本研究の結果,男性におけるロコチェックの該当者は2名,ロコモ該当者は1名であった。また,ロコモAは,学童期の運動歴と負の相関があった。小学5,6年生を対象とした1日歩数と体力テストとの関連について,男子では握力,20mシャトルラン,50m走,立ち幅跳び,総得点が関連すると報告されている(戸田ら,2007)。またNational Association for Sport and Physical Education(NASPE)やDepartment of Healthでは,身体活動の中に速歩かそれ以上の強度の身体活動を含むべきであると報告されていることから,学童期の運動が青年期のADLに影響する可能性が示された。男性のロコモAは,長座体前屈および膝関節屈曲トルクおよびパワーと負の相関があり,関節弛緩足関節と正の相関があった。膝関節屈曲筋力低下と足関節の関節弛緩性を有することで下肢での支持性が低下し,身体の支持性を腰背部の抗重力筋に依存したことで身体後面の柔軟性が低下するとこが推察される。その結果,ロコモAの下位項目である立ち上がり,歩行,階段昇降,スポーツなどで困難さが生じたと考えられる。運動歴は,男性が女性より学童期の運動期間が長く,ロコモAと相関があった。子どもの身体活動について,速歩あるいはそれ以上の活動強度の身体活動が推奨されており,学童期の運動が青年期のADLに影響する可能性が示された。本研究の結果,若年男性においてもロコモ予備群が散見された。また,ロコモのADLおよび疼痛はそれぞれ長座体前屈,膝関節屈曲筋力および筋パワーと負の相関があり,足関節の不安定と正の相関があり,将来のロコモ予防には柔軟性,膝屈曲筋力および筋パワーの向上と足関節の安定性を高めることが重要な可能性がある。今後は対象数を増やし,若年者におけるロコモ予備群およびロコモに関連する因子について調査する。
【理学療法学研究としての意義】若年男性におけるロコモティブシンドローム予備群について調査することは,将来のロコモティブシンドローム予防のための介入を検討する上で重要である。