[0666] 介護サービス利用者におけるリハビリテーション評価指標の妥当性
キーワード:リハビリテーション評価指標, 生活期リハビリテーション, 介護度
【はじめに,目的】
介護サービス実施において,利用者の評価を定期的に行っていく必要があるが,実状ではサービス提供時間の中で身体機能評価を十分に行う時間を確保する事も困難である。リハビリテーション評価指標(以下,評価指標)とは,病期・職種を問わず使用できるリハビリテーション評価指標として,平成25年3月,公益社団法人日本理学療法士協会が作成したものである。今回,通所リハビリテーション(以下,通所リハ)・訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ),特別養護老人ホーム(以下,特養)の各施設利用者に対し,生活期リハビリテーションにおけるリハビリテーション評価指標(以下,評価指標)の妥当性について検討した。
【方法】
対象は,当院併設通所リハ80名(平均年齢84.01・平均介護度1.9)・訪問リハ24名(平均年齢79.58,平均介護度2.7),当院関連施設である特養の入所者71名(平均年齢87.00・平均介護度4.2),合計171名とした。通所リハ・訪問リハでは,理学療法士(以下,PT),特養ではリハビリテーション担当の看護師により評価を行った。同時に通所リハ・訪問リハでは機能的自立度評価法(Functional Independence Measure,以下FIM)も実施した。その得られた数値に対し,相関関係は介護度でSpearman,FIMに対してはPearsonを用いて統計処理を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施した。また本研究は当病院倫理審査委員会の承認を受けて施行し,患者への説明と同意を得た上で評価を行った。
【結果】
全利用者の各介護度で評価指標平均値・標準偏差は,要支援1:実行値31.47±1.23・機能値27.12±1.73,要支援2:実行値30.50±1.89・機能値25.39±2.17,要介護1:実行値28.08±3.01・機能値23.24±2.60,要介護2:実行値27.20±3.21・機能値22.00±3.09,要介護3:実行値19.60±7.38・機能値20.24±3.88,要介護4:実行値12.88±6.05・機能値15.21±4.60,要介護:5実行値7.19±4.90・機能値13.27±3.73であった。通所リハ・訪問リハ利用者の各介護度でFIM平均値・標準偏差は,要支援1:123.53±5.44,要支援2:118.39±7.13,要介護1:106.39±12.72,要介護2:99.79±15.46,要介護3:79.82±24.60,要介護4:78.80±21.11,要介護5:41.60±19.39であった。全利用者の介護度と評価指標の実行値では0.878,介護度と機能値では0.822,評価指標の実行値とFIM合計で0.926,評価指標の機能値とFIM合計で0.743の高い相関が得られた。各施設間で横断的に要介護3を比較してみると,実行値は通所リハ:21.70±6.06,訪問リハ:22.14±8.43,特養:14.75±6.23。機能値は通所リハ:21.30±3.23,訪問リハ22.57±3.26,特養:16.88±3.00であり,同介護度において特養で明らかな低値が認められた。評価指標の実行状況細項目を検証してみると,実行値では移動・機能値では疼痛以外の項目で,点数が低かった。
【考察】
評価指標作成事業調査報告書によると「評価指標はPT,OT,STが10分以内で患者・利用者の状態像を病期・疾患を問わず評価でき,その結果を他の医療・介護専門職種と共有できる評価指標作成を目指した。」とされており,実際に,簡便に評価を行えた。且つ,今回はPTだけでなくリハビリテーション担当の看護師も同様に適切な評価結果が得られた。結果より,評価指標は介護度・FIMと高い相関が得られ,信頼出来る評価ツールとして有用である。FIMは“しているADL”の評価を基本としている為,実際の能力(残存機能)を評価する事が不十分であり,セラピスト以外の職種による評価では,点数が異なる事もある。しかし,評価指標においては実行・能力の2つの側面を評価する事が可能である。評価指標の項目数はFIMと比較すると少なく,細かな評価は不十分である。従って,臨床場面では評価指標をセラピスト以外の職種が評価し,その結果を基にセラピストがその他の選択的な評価を行っていく事で,情報の共有化と効率的なリハビリテーションの遂行が可能となってくる。同介護度で各施設間の値に差異が生じたのは,住環境と介護力の相違に則した身体機能の表出と考えられる。全体的には介護度と高い相関関係にあるが,必ずしも評価点数が介護度を示さないのは,FIMやその他の評価においても同様である。
【理学療法学研究としての意義】
今回の結果に基づき,評価指標の有用性が立証された。今後,介護サービスの場面で評価指標を使用する事で,他職種との情報共有化・効率的なリハビリテーションを遂行が可能となると思われる。
介護サービス実施において,利用者の評価を定期的に行っていく必要があるが,実状ではサービス提供時間の中で身体機能評価を十分に行う時間を確保する事も困難である。リハビリテーション評価指標(以下,評価指標)とは,病期・職種を問わず使用できるリハビリテーション評価指標として,平成25年3月,公益社団法人日本理学療法士協会が作成したものである。今回,通所リハビリテーション(以下,通所リハ)・訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ),特別養護老人ホーム(以下,特養)の各施設利用者に対し,生活期リハビリテーションにおけるリハビリテーション評価指標(以下,評価指標)の妥当性について検討した。
【方法】
対象は,当院併設通所リハ80名(平均年齢84.01・平均介護度1.9)・訪問リハ24名(平均年齢79.58,平均介護度2.7),当院関連施設である特養の入所者71名(平均年齢87.00・平均介護度4.2),合計171名とした。通所リハ・訪問リハでは,理学療法士(以下,PT),特養ではリハビリテーション担当の看護師により評価を行った。同時に通所リハ・訪問リハでは機能的自立度評価法(Functional Independence Measure,以下FIM)も実施した。その得られた数値に対し,相関関係は介護度でSpearman,FIMに対してはPearsonを用いて統計処理を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施した。また本研究は当病院倫理審査委員会の承認を受けて施行し,患者への説明と同意を得た上で評価を行った。
【結果】
全利用者の各介護度で評価指標平均値・標準偏差は,要支援1:実行値31.47±1.23・機能値27.12±1.73,要支援2:実行値30.50±1.89・機能値25.39±2.17,要介護1:実行値28.08±3.01・機能値23.24±2.60,要介護2:実行値27.20±3.21・機能値22.00±3.09,要介護3:実行値19.60±7.38・機能値20.24±3.88,要介護4:実行値12.88±6.05・機能値15.21±4.60,要介護:5実行値7.19±4.90・機能値13.27±3.73であった。通所リハ・訪問リハ利用者の各介護度でFIM平均値・標準偏差は,要支援1:123.53±5.44,要支援2:118.39±7.13,要介護1:106.39±12.72,要介護2:99.79±15.46,要介護3:79.82±24.60,要介護4:78.80±21.11,要介護5:41.60±19.39であった。全利用者の介護度と評価指標の実行値では0.878,介護度と機能値では0.822,評価指標の実行値とFIM合計で0.926,評価指標の機能値とFIM合計で0.743の高い相関が得られた。各施設間で横断的に要介護3を比較してみると,実行値は通所リハ:21.70±6.06,訪問リハ:22.14±8.43,特養:14.75±6.23。機能値は通所リハ:21.30±3.23,訪問リハ22.57±3.26,特養:16.88±3.00であり,同介護度において特養で明らかな低値が認められた。評価指標の実行状況細項目を検証してみると,実行値では移動・機能値では疼痛以外の項目で,点数が低かった。
【考察】
評価指標作成事業調査報告書によると「評価指標はPT,OT,STが10分以内で患者・利用者の状態像を病期・疾患を問わず評価でき,その結果を他の医療・介護専門職種と共有できる評価指標作成を目指した。」とされており,実際に,簡便に評価を行えた。且つ,今回はPTだけでなくリハビリテーション担当の看護師も同様に適切な評価結果が得られた。結果より,評価指標は介護度・FIMと高い相関が得られ,信頼出来る評価ツールとして有用である。FIMは“しているADL”の評価を基本としている為,実際の能力(残存機能)を評価する事が不十分であり,セラピスト以外の職種による評価では,点数が異なる事もある。しかし,評価指標においては実行・能力の2つの側面を評価する事が可能である。評価指標の項目数はFIMと比較すると少なく,細かな評価は不十分である。従って,臨床場面では評価指標をセラピスト以外の職種が評価し,その結果を基にセラピストがその他の選択的な評価を行っていく事で,情報の共有化と効率的なリハビリテーションの遂行が可能となってくる。同介護度で各施設間の値に差異が生じたのは,住環境と介護力の相違に則した身体機能の表出と考えられる。全体的には介護度と高い相関関係にあるが,必ずしも評価点数が介護度を示さないのは,FIMやその他の評価においても同様である。
【理学療法学研究としての意義】
今回の結果に基づき,評価指標の有用性が立証された。今後,介護サービスの場面で評価指標を使用する事で,他職種との情報共有化・効率的なリハビリテーションを遂行が可能となると思われる。