[0950] 心臓リハビリテーションが運動習慣に及ぼす影響
Keywords:心臓リハビリテーション, 運動習慣, 疾病管理
【はじめに,目的】心血管疾患患者において心臓リハビリテーション(以下心リハ)は重要な治療プログラムのひとつであり,運動療法は中心となる治療である。外来患者では外来心リハ参加で充分な運動量を確保することは難しい面があり,患者自身が運動習慣を身につけ,疾病管理することがQOLの維持・向上,再発予防に有効である。入院中に心リハを開始し外来心リハ移行後1か月(以下入院開始群)及び,外来から心リハを開始して1か月後(以下外来開始群)にどの程度の症例が自宅での運動習慣を身につけることができたのか調査した。
【方法】アンケートにて調査を実施した。当院は2011年9月より心リハを開始した。心リハ開始当初より2013年11月までに入院開始群38名(男性30名,女性8名,平均年齢69.24歳±12.09),及び外来開始群51名(男性41名,女性10名,平均年齢69.39歳±5.59)を対象とした。入院開始群は心リハ開始時と外来移行1か月後に実施。外来開始群は心リハ開始時と1か月後に実施。両群とも心リハ開始時には「心リハ開始前の運動習慣の有無」を調査し,外来心リハ1か月後には「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」を回答,どの程度の症例数が心リハ開始時に「運動習慣なし」から外来心リハ1か月後には「運動習慣あり」と回答したのか,開始時に「運動習慣あり」と回答した症例がどの程度運動習慣を維持しているのかを調査した。また外来心リハ1か月後の「1週間の運動頻度」「運動時間」「運動内容」を調査した。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき,対象者に十分な説明と同意を得たもとで,不利益が生じないよう配慮したうえでおこなった。
【結果】入院開始群は入院前に「運動習慣なし」22名(58%),「運動習慣あり」16名(42%)であった。外来心リハ移行1か月後には「運動習慣なし」9名(24%),「運動習慣あり」29名(76%)であった。入院前の「運動習慣なし」22名中で外来心リハ移行後1か月に「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と回答した症例数は16名(73%)であった。また入院前に「運動習慣あり」と回答した16名のうち13名(81%)が外来心リハ移行1か月後に「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と運動習慣を維持できている。外来開始群は心リハ開始前の「運動習慣なし」24名(47%),「運動習慣あり」27名(53%)であった。1か月後には「運動習慣なし」15名(29%),「運動習慣あり」36名(71%)であった。心リハ開始前の「運動習慣なし」24名中で1か月後には「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と回答した症例数は12名(50%)であった。また心リハ開始前に「運動習慣あり」と回答した27名のうち24名(89%)が外来心リハ1か月後に「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と運動習慣を維持できている。両群合わせて外来心リハ1か月後の「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」65名であった。「1週間の運動頻度は」3日以上56名(86%)であった。「運動時間」は30分以上50名(77%)であった。「運動内容」はウォーキング-41名(63%)であった。
【考察】両群ともに「運動習慣なし」と回答した症例が外来心リハ1か月後に自宅での「運動習慣あり」と回答した症例が増加したこと,特に入院群では外来移行後73%であり外来群50%と比較して,入院時は多職種の連続的な疾病管理教育等が効果的であった可能性が示唆される。『心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)』では週3回以上の運動を推奨しているが,週3日以上の運動習慣があると回答した症例は56名(86%)であるということは,心リハ参加が運動習慣の動機付けに効果をもたらすものであると示唆される。しかし1か月程度の指導では「運動習慣なし」と回答している症例もあることに対しては検討していかなくてはならない。また心リハ開始時に「運動習慣あり」と回答していた症例が,外来心リハ継続1か月後に「運動習慣なし」と回答し,運動習慣をやめてしまったということにも注意しなくてはならない。この点を踏まえて心リハ指導内容を今後とも質の高いものにしていくために検討が必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】心血管患者に対して心リハを継続し,運動習慣を身につけ,QOLの維持・改善,再発予防軽減を自己管理できるように指導していくことが理学療法士の役割である。心リハは理学療法士だけでなく多職種の協力のもと治療を実施していくものであり,本研究結果も多職種の関わりがあったからである。また施設間でも統一した内容の指導が実施でき,連携して治療・疾病管理教育に関わっていくということが未来に向けて大切なことであると考える。
【方法】アンケートにて調査を実施した。当院は2011年9月より心リハを開始した。心リハ開始当初より2013年11月までに入院開始群38名(男性30名,女性8名,平均年齢69.24歳±12.09),及び外来開始群51名(男性41名,女性10名,平均年齢69.39歳±5.59)を対象とした。入院開始群は心リハ開始時と外来移行1か月後に実施。外来開始群は心リハ開始時と1か月後に実施。両群とも心リハ開始時には「心リハ開始前の運動習慣の有無」を調査し,外来心リハ1か月後には「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」を回答,どの程度の症例数が心リハ開始時に「運動習慣なし」から外来心リハ1か月後には「運動習慣あり」と回答したのか,開始時に「運動習慣あり」と回答した症例がどの程度運動習慣を維持しているのかを調査した。また外来心リハ1か月後の「1週間の運動頻度」「運動時間」「運動内容」を調査した。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき,対象者に十分な説明と同意を得たもとで,不利益が生じないよう配慮したうえでおこなった。
【結果】入院開始群は入院前に「運動習慣なし」22名(58%),「運動習慣あり」16名(42%)であった。外来心リハ移行1か月後には「運動習慣なし」9名(24%),「運動習慣あり」29名(76%)であった。入院前の「運動習慣なし」22名中で外来心リハ移行後1か月に「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と回答した症例数は16名(73%)であった。また入院前に「運動習慣あり」と回答した16名のうち13名(81%)が外来心リハ移行1か月後に「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と運動習慣を維持できている。外来開始群は心リハ開始前の「運動習慣なし」24名(47%),「運動習慣あり」27名(53%)であった。1か月後には「運動習慣なし」15名(29%),「運動習慣あり」36名(71%)であった。心リハ開始前の「運動習慣なし」24名中で1か月後には「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と回答した症例数は12名(50%)であった。また心リハ開始前に「運動習慣あり」と回答した27名のうち24名(89%)が外来心リハ1か月後に「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」と運動習慣を維持できている。両群合わせて外来心リハ1か月後の「心リハ以外に自宅での運動習慣の有無」で「運動習慣あり」65名であった。「1週間の運動頻度は」3日以上56名(86%)であった。「運動時間」は30分以上50名(77%)であった。「運動内容」はウォーキング-41名(63%)であった。
【考察】両群ともに「運動習慣なし」と回答した症例が外来心リハ1か月後に自宅での「運動習慣あり」と回答した症例が増加したこと,特に入院群では外来移行後73%であり外来群50%と比較して,入院時は多職種の連続的な疾病管理教育等が効果的であった可能性が示唆される。『心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)』では週3回以上の運動を推奨しているが,週3日以上の運動習慣があると回答した症例は56名(86%)であるということは,心リハ参加が運動習慣の動機付けに効果をもたらすものであると示唆される。しかし1か月程度の指導では「運動習慣なし」と回答している症例もあることに対しては検討していかなくてはならない。また心リハ開始時に「運動習慣あり」と回答していた症例が,外来心リハ継続1か月後に「運動習慣なし」と回答し,運動習慣をやめてしまったということにも注意しなくてはならない。この点を踏まえて心リハ指導内容を今後とも質の高いものにしていくために検討が必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】心血管患者に対して心リハを継続し,運動習慣を身につけ,QOLの維持・改善,再発予防軽減を自己管理できるように指導していくことが理学療法士の役割である。心リハは理学療法士だけでなく多職種の協力のもと治療を実施していくものであり,本研究結果も多職種の関わりがあったからである。また施設間でも統一した内容の指導が実施でき,連携して治療・疾病管理教育に関わっていくということが未来に向けて大切なことであると考える。