[0994] 当訪問看護ステーションのセラピストが介入したがんの利用者の特徴
キーワード:訪問リハビリテーション, がん, ターミナル
【目的】訪問のリハビリテーションの「がん」に関するセラピストの知見は症例報告が多く,セラピストの対象となる利用者の特徴や特性を示した報告は本邦では見当たらない。そこで,当訪問看護ステーションのサービスを利用したがんの利用者で,セラピストが介入した利用者と未介入者を比較し,当事業所のセラピストが介入したがんの利用者の特徴を明らかにするための検討を行った。
【方法】対象は,平成22年4月~平成25年3月末までの当事業所の新規利用者201名のうち,主病名が悪性新生物の利用者69名である。方法はカルテからの遡及的分析で,調査期間は平成25年9月1日~30日。調査内容は,基本属性,開始時の①利用保険②医療機器の装着③オピオイドの使用④化学療法などの治療中の有無,日常生活動作のレベルとして⑤Performance Status(以下PS),および転帰,訪問期間である。対象者をセラピスト介入者(以下,介入群)と未介入者(以下,未介入群)に分類し分析を行った。統計処理は,単純集計,Pearsonのχ2検定およびMann-Whitneyのu検定を用い有意水準は5%未満とした。統計ソフトはSPSS11.OJを使用した。
【倫理的配慮,説明と同意】事業所の倫理規定に基づき,個人が特定されないよう個人情報の保護に配慮し実施した。
【結果】対象者は,介入群15名(21.7%)未介入群54名(78.3%)であった。性別,男性が介入群7名(46.7%)未介入群28名(51.9%),女性が介入群8名(53.3%)未介入群26名(48.1%)。年齢の平均,介入群72.±10.1歳,未介入群74.3±12.3歳。①利用保険,介護保険が介入群10名(66.7%)未介入群12名(22.2%),医療保険が介入群5名(33.3%)未介入群42名(77.8%)。②医療機器の装着,有が介入群6名(60.0%)未介入群29名(53.7%)無が介入群9名(40.0%)未介入群25名(46.3%)。③オピオイドの使用,有が介入群5名(33.3%),未介入群24名(44.4%),無が介入群10名(66.7%),未介入群30名(55.6%)。④化学療法などの治療中は,有が介入群4名(26.7%)未介入群5名(9.3%)無が介入群11名(73.3%)未介入群49名(90.7%)。⑤PSGrade,Grade1が介入群1名(6.7%)未介入群3名(5.6%),Grade2が介入群6名(40.0%)未介入群10名(18.5%),Grade3が介入群5名(33.3%)未介入群13名(24.1%),Grade4が介入群3名(20.0%)未介入群28名(51.9%)。①~⑤に対しχ2検定を行うと,介入群は未介入群に比べ,利用保険は介護保険の割合が有意に多く,PSGrade4の割合が有意に少なかった(P<0.05)。また,医療機器の装着・オピオイドの使用・化学療法などの治療中の有無とPSGrade1~3においては,両群の間に有意な差があるとはいえなかった。転帰は,入院・死亡が,介入群10名(66.7%)未介入群46名(85.2%),家族希望が,介入群0名(0.0%)未介入群4名(7.4%),他サービスへ移行が,介入群2名(11.3%)未介入群0名(0.0%)。継続が,介入群3名(20.0%)未介入群4名(7.4%)で,転帰が入院・死亡者の訪問期間の中央値は,介入群133.5(83.3-304.0)日,未介入群30.5(7.8-58.5)日であり,Mann-Whitneyのu検定を行うと,未介入群に比べ介入群の訪問期間が長く有意な差が認められた(p<0.05)。また,これらの利用者の訪問期間をターミナル前期(30日以上)とターミナル中期~直前(29日以下)に分類しχ2検定を行うと,ターミナル前期は介入群9名(90.0%)未介入群23名(50.0%),ターミナル中期~直前は介入群1名(10.0%)未介入群23名(50.0%)であり,介入群は未介入群に比べターミナル前期の割合が有意に多かった(P<0.05)。
【考察】分析結果より,セラピストが介入したがんの利用者の特徴は,開始時の利用保険は介護保険が多く,日常生活動作のレベルはPSGrade4が少なく,転帰が入院・死亡者の訪問期間は長く,ターミナル前期の利用者が多いことが示された。介護保険の割合が多かったことから,現行制度の算定用件よりコメディカルによる頻回な訪問が不要で比較的,状態が安定している利用者へセラピストは訪問を開始していたと示唆された。日常生活動作のレベルではPSGrade4の割合が少なかったことから,終日就床の利用者に対しセラピストは訪問を開始することは少ないといえ,そのため,ADL関連のアプローチが求められると考えられた。転帰が入院・死亡者の訪問期間が長かったことは,ターミナルステージが,ターミナル前期の利用者にセラピストは訪問を開始していたためと示唆された。そのため,セラピストは日々変化する身体症状や利用者の主訴・要望に留意し,ターミナルステージに応じたサービスを行う必要があると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】訪問看護のセラピストが介入したがんの利用者の特徴を明らかにすることで,訪問を行うセラピストが対象とするがん患者への,セラセラピストの活動への資料とすることができる。
【方法】対象は,平成22年4月~平成25年3月末までの当事業所の新規利用者201名のうち,主病名が悪性新生物の利用者69名である。方法はカルテからの遡及的分析で,調査期間は平成25年9月1日~30日。調査内容は,基本属性,開始時の①利用保険②医療機器の装着③オピオイドの使用④化学療法などの治療中の有無,日常生活動作のレベルとして⑤Performance Status(以下PS),および転帰,訪問期間である。対象者をセラピスト介入者(以下,介入群)と未介入者(以下,未介入群)に分類し分析を行った。統計処理は,単純集計,Pearsonのχ2検定およびMann-Whitneyのu検定を用い有意水準は5%未満とした。統計ソフトはSPSS11.OJを使用した。
【倫理的配慮,説明と同意】事業所の倫理規定に基づき,個人が特定されないよう個人情報の保護に配慮し実施した。
【結果】対象者は,介入群15名(21.7%)未介入群54名(78.3%)であった。性別,男性が介入群7名(46.7%)未介入群28名(51.9%),女性が介入群8名(53.3%)未介入群26名(48.1%)。年齢の平均,介入群72.±10.1歳,未介入群74.3±12.3歳。①利用保険,介護保険が介入群10名(66.7%)未介入群12名(22.2%),医療保険が介入群5名(33.3%)未介入群42名(77.8%)。②医療機器の装着,有が介入群6名(60.0%)未介入群29名(53.7%)無が介入群9名(40.0%)未介入群25名(46.3%)。③オピオイドの使用,有が介入群5名(33.3%),未介入群24名(44.4%),無が介入群10名(66.7%),未介入群30名(55.6%)。④化学療法などの治療中は,有が介入群4名(26.7%)未介入群5名(9.3%)無が介入群11名(73.3%)未介入群49名(90.7%)。⑤PSGrade,Grade1が介入群1名(6.7%)未介入群3名(5.6%),Grade2が介入群6名(40.0%)未介入群10名(18.5%),Grade3が介入群5名(33.3%)未介入群13名(24.1%),Grade4が介入群3名(20.0%)未介入群28名(51.9%)。①~⑤に対しχ2検定を行うと,介入群は未介入群に比べ,利用保険は介護保険の割合が有意に多く,PSGrade4の割合が有意に少なかった(P<0.05)。また,医療機器の装着・オピオイドの使用・化学療法などの治療中の有無とPSGrade1~3においては,両群の間に有意な差があるとはいえなかった。転帰は,入院・死亡が,介入群10名(66.7%)未介入群46名(85.2%),家族希望が,介入群0名(0.0%)未介入群4名(7.4%),他サービスへ移行が,介入群2名(11.3%)未介入群0名(0.0%)。継続が,介入群3名(20.0%)未介入群4名(7.4%)で,転帰が入院・死亡者の訪問期間の中央値は,介入群133.5(83.3-304.0)日,未介入群30.5(7.8-58.5)日であり,Mann-Whitneyのu検定を行うと,未介入群に比べ介入群の訪問期間が長く有意な差が認められた(p<0.05)。また,これらの利用者の訪問期間をターミナル前期(30日以上)とターミナル中期~直前(29日以下)に分類しχ2検定を行うと,ターミナル前期は介入群9名(90.0%)未介入群23名(50.0%),ターミナル中期~直前は介入群1名(10.0%)未介入群23名(50.0%)であり,介入群は未介入群に比べターミナル前期の割合が有意に多かった(P<0.05)。
【考察】分析結果より,セラピストが介入したがんの利用者の特徴は,開始時の利用保険は介護保険が多く,日常生活動作のレベルはPSGrade4が少なく,転帰が入院・死亡者の訪問期間は長く,ターミナル前期の利用者が多いことが示された。介護保険の割合が多かったことから,現行制度の算定用件よりコメディカルによる頻回な訪問が不要で比較的,状態が安定している利用者へセラピストは訪問を開始していたと示唆された。日常生活動作のレベルではPSGrade4の割合が少なかったことから,終日就床の利用者に対しセラピストは訪問を開始することは少ないといえ,そのため,ADL関連のアプローチが求められると考えられた。転帰が入院・死亡者の訪問期間が長かったことは,ターミナルステージが,ターミナル前期の利用者にセラピストは訪問を開始していたためと示唆された。そのため,セラピストは日々変化する身体症状や利用者の主訴・要望に留意し,ターミナルステージに応じたサービスを行う必要があると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】訪問看護のセラピストが介入したがんの利用者の特徴を明らかにすることで,訪問を行うセラピストが対象とするがん患者への,セラセラピストの活動への資料とすることができる。