[1115] 当院訪問リハビリテーションにおける利用者の満足度調査
キーワード:訪問リハビリテーション, 満足度調査, サービス提供
【はじめに,目的】当院の訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)は,「利用者・家族に元気・安心・生きる力を,その人らしい生活を,地域とのつながりを与えられるように訪問リハを提供する」を理念とし,日々訪問リハサービスを提供している。今回,利用者を対象に訪問リハに対してどのように感じているか現状を把握する目的で満足度調査を行ったので報告する。
【方法】当院の訪問リハ利用者25名を対象に10項目の書面選択及び記述式でアンケート調査した。書面選択式は5段階のリッカート尺度を使用した。調査内容は,サービス内容について①訪問回数,②リハビリ内容,③質問や相談に迅速な対応が出来ているか,接遇について④言葉使い,⑤身だしなみ,⑥何でも相談出来る雰囲気があるか,リハビリ効果について⑦生活環境や福祉用具に関する助言は役に立ったか,⑧訪問リハを利用して日常生活は楽になったか,⑨生活範囲や外出頻度は増えたか,最後に⑩全体的な満足度の10項目とした。
【倫理的配慮,説明と同意】研究にあたり,ヘルシンキ宣言に基づき,調査した内容を研究活動に使用させていただく趣旨を事前に利用者もしくは家族に説明し同意を得た。
【結果】アンケート回答者は23名,回収率は92%であった。利用者の平均年齢は74.0±9.4歳,男女比は8:15,介護度は要介護1:3名,要介護2:7名,要介護3:11名,要介護4:2名であった。書面選択式結果では,①訪問回数については満足16名,やや満足5名,普通2名,②リハビリ内容については満足18名,やや満足2名,普通2名,やや不満1名,③質問や相談に迅速な対応が出来ているかは満足19名,やや満足2名,普通1名,やや不満1名,④言葉使いについては満足20名,やや満足2名,普通1名,⑤身だしなみについては満足18名,やや満足1名,普通4名,⑥何でも相談出来る雰囲気があるかは満足18名,普通5名,⑦生活環境や福祉用具に関する助言は役に立ったかは満足16名,やや満足4名,普通3名,⑧訪問リハを利用して日常生活は楽になったかは満足13名,やや満足4名,普通4名,やや不満1名,未回答1名,⑨生活範囲や外出頻度は増えたかは満足6名,やや満足5名,普通10名,やや不満2名,⑩全体的な満足度は満足15名,やや満足5名,普通3名であった。記述結果では,サービス内容に関して,「順調にリハビリが出来,不安がなくなりました」,「家族とスタッフ間で直接話が出来る機会を作ってほしい」等であった。接遇に関して,「やさしい言葉遣いで心身共に安心して任せられる」,「訪問リハによって状態をもっと改善したいと家族は考えているがギャップがある」等であった。リハビリ効果に関して,「一人では外に出られないので,リハビリで外に行くのが楽しみです」,「歩くリハビリをしているが,天気の良い日は外で歩く機会も考えてほしい」等であった。全体的な満足度に関して,「よく気が付き,細部にも心配りが感じられて気持ちよくリハビリに専念できる」等であった。
【考察】今回の結果から,サービス内容・接遇については比較的良好な意見が伺えたが,リハビリ効果に関しては,17名(75%)の利用者が満足~やや満足と日常生活が楽になったと意見しているにもかかわらず,生活範囲や外出頻度は増えたかでは12名(52%)の利用者が普通~やや不満との意見があった。また,記述結果では「歩くリハビリをしているが,天気の良い日は外で歩く機会も考えてほしい」との意見もあった。訪問リハの目的は,生活機能の向上とQOLの改善である。小山は,在宅理学療法の効果としてADLの向上や離床時間の増大は示されているものの,客観的検証に関する報告は少ないと述べている。また,村山は技術の伝達だけでなく,介護負担によるストレスや体調不良など,家族や介助者の体調管理も必要で,家族での外出機会を設けるなどの楽しみを持つための提案も必要であると報告している。今回の結果より,利用者のADLは把握出来ているが,一日の生活の流れや余暇の過ごし方を把握しきれていないのではないかと考える。当院の訪問リハの特徴は,当院回復期病棟退院患者のフォローアップである。入院中に獲得した能力を十分に発揮出来るよう,退院直後から支援し安全な在宅生活が送れるようアプローチを行っている。今後は利用者自身や家族の意向はもちろん,他職種との連携を図り,一日の生活の流れや余暇の過ごし方を把握し,生活範囲の拡大や外出頻度の増加に繋げ,更なる質の高いサービスを提供していきたいと考える。
【理学療法学研究としての意義】訪問リハにおける満足度調査を行うことで,現状把握だけでなく今後のサービス提供の在り方も見直すことが出来た。今回報告することにより,生活期における訪問リハサービスの重要性を訴えていきたい。
【方法】当院の訪問リハ利用者25名を対象に10項目の書面選択及び記述式でアンケート調査した。書面選択式は5段階のリッカート尺度を使用した。調査内容は,サービス内容について①訪問回数,②リハビリ内容,③質問や相談に迅速な対応が出来ているか,接遇について④言葉使い,⑤身だしなみ,⑥何でも相談出来る雰囲気があるか,リハビリ効果について⑦生活環境や福祉用具に関する助言は役に立ったか,⑧訪問リハを利用して日常生活は楽になったか,⑨生活範囲や外出頻度は増えたか,最後に⑩全体的な満足度の10項目とした。
【倫理的配慮,説明と同意】研究にあたり,ヘルシンキ宣言に基づき,調査した内容を研究活動に使用させていただく趣旨を事前に利用者もしくは家族に説明し同意を得た。
【結果】アンケート回答者は23名,回収率は92%であった。利用者の平均年齢は74.0±9.4歳,男女比は8:15,介護度は要介護1:3名,要介護2:7名,要介護3:11名,要介護4:2名であった。書面選択式結果では,①訪問回数については満足16名,やや満足5名,普通2名,②リハビリ内容については満足18名,やや満足2名,普通2名,やや不満1名,③質問や相談に迅速な対応が出来ているかは満足19名,やや満足2名,普通1名,やや不満1名,④言葉使いについては満足20名,やや満足2名,普通1名,⑤身だしなみについては満足18名,やや満足1名,普通4名,⑥何でも相談出来る雰囲気があるかは満足18名,普通5名,⑦生活環境や福祉用具に関する助言は役に立ったかは満足16名,やや満足4名,普通3名,⑧訪問リハを利用して日常生活は楽になったかは満足13名,やや満足4名,普通4名,やや不満1名,未回答1名,⑨生活範囲や外出頻度は増えたかは満足6名,やや満足5名,普通10名,やや不満2名,⑩全体的な満足度は満足15名,やや満足5名,普通3名であった。記述結果では,サービス内容に関して,「順調にリハビリが出来,不安がなくなりました」,「家族とスタッフ間で直接話が出来る機会を作ってほしい」等であった。接遇に関して,「やさしい言葉遣いで心身共に安心して任せられる」,「訪問リハによって状態をもっと改善したいと家族は考えているがギャップがある」等であった。リハビリ効果に関して,「一人では外に出られないので,リハビリで外に行くのが楽しみです」,「歩くリハビリをしているが,天気の良い日は外で歩く機会も考えてほしい」等であった。全体的な満足度に関して,「よく気が付き,細部にも心配りが感じられて気持ちよくリハビリに専念できる」等であった。
【考察】今回の結果から,サービス内容・接遇については比較的良好な意見が伺えたが,リハビリ効果に関しては,17名(75%)の利用者が満足~やや満足と日常生活が楽になったと意見しているにもかかわらず,生活範囲や外出頻度は増えたかでは12名(52%)の利用者が普通~やや不満との意見があった。また,記述結果では「歩くリハビリをしているが,天気の良い日は外で歩く機会も考えてほしい」との意見もあった。訪問リハの目的は,生活機能の向上とQOLの改善である。小山は,在宅理学療法の効果としてADLの向上や離床時間の増大は示されているものの,客観的検証に関する報告は少ないと述べている。また,村山は技術の伝達だけでなく,介護負担によるストレスや体調不良など,家族や介助者の体調管理も必要で,家族での外出機会を設けるなどの楽しみを持つための提案も必要であると報告している。今回の結果より,利用者のADLは把握出来ているが,一日の生活の流れや余暇の過ごし方を把握しきれていないのではないかと考える。当院の訪問リハの特徴は,当院回復期病棟退院患者のフォローアップである。入院中に獲得した能力を十分に発揮出来るよう,退院直後から支援し安全な在宅生活が送れるようアプローチを行っている。今後は利用者自身や家族の意向はもちろん,他職種との連携を図り,一日の生活の流れや余暇の過ごし方を把握し,生活範囲の拡大や外出頻度の増加に繋げ,更なる質の高いサービスを提供していきたいと考える。
【理学療法学研究としての意義】訪問リハにおける満足度調査を行うことで,現状把握だけでなく今後のサービス提供の在り方も見直すことが出来た。今回報告することにより,生活期における訪問リハサービスの重要性を訴えていきたい。