第49回日本理学療法学術大会

講演情報

発表演題 ポスター » 教育・管理理学療法 ポスター

管理運営系1

2014年5月31日(土) 14:50 〜 15:40 ポスター会場 (教育・管理)

座長:浅野信一(つくばセントラル病院総合リハビリテーションセンター)

教育・管理 ポスター

[1120] 当院におけるリハビリテーション算定疾患外の患者様に対するリハビリテーション科の関わり

高野利彦 (熊谷総合病院)

キーワード:他職種連携, 離床, チーム医療

【はじめに,目的】
平成18年の診療報酬改定から疾患別リハビリテーションが導入され7年が経過している。当院でも脳血管疾患等リハビリテーション料I,運動器リハビリテーション料I,呼吸器リハビリテーション料Iを算定している。しかし入院している患者の中で,算定できる疾患以外の患者様でもリハビリテーション科が関わる必要性があることは現場で勤務するリハスタッフや看護師等のスタッフでも感じていることであると考えられる。当院では埼玉県理学療法学会でも報告したように,離床チームを他職種で構築し,活動している。その中で疾患別リハビリテーション算定外の患者様への関わりが必要とされたため報告する。
【方法】
当院では平成25年8月より,看護部とリハビリテーション科を中心に離床チームを編成し,チーム医療としての離床への取り組みを開始した。離床チームでは,病棟毎にラウンド日を指定し,離床への援助が必要とされる患者を抽出している。ラウンドにより援助が必要とされた患者に対しては,その後,離床目標の設定およびケア方法を病棟看護師主体で設定を行っている。内容としては,リハビリテーション科スタッフとカンファレンスのもと,離床プログラムおよびケア方法を設定し,日々のスケジュールに組み込みながらADLの向上を目指す形となっている。また,当リハビリテーション科ではPT,OT,STを混合し3班に分けており,筆者はその中の1班の班長として活動している。当班は2つの病棟との連携担当であり,離床チームのラウンドと会議によりリハビリテーション科スタッフが関わる必要があるとされた場合や病棟からの依頼があった場合に関わりをもった。
【倫理的配慮,説明と同意】
当院倫理委員会の承認を得た。
【結果】
当班が関わった事例を以下に述べる。1.入院中のリハビリテーション算定疾患外の患者様に対し,病棟看護師でも行える運動を教えてほしい。2.入院中のリハビリテーション算定疾患外の患者様に対し,離床アセスメントを行ってほしい。3.入院中のリハビリテーション算定疾患外の患者様に対し,嚥下機能評価を行ってほしい。4.入院中のリハビリテーション算定疾患外の羸痩状態の患者様への褥瘡予防方法を教えてほしい。5.入院中のリハビリテーション算定疾患外の患者様で脳梗塞の既往があり,今回急性胃潰瘍で入院し,病前ADLが不明な患者のポジショニングと離床アセスメントを行ってほしい。
【考察】
現在までの取り組みの中で,他職種からリハビリテーション算定疾患外の患者様への関わりを求められ,また必要であることがわかった。チームアプローチは以前から重要であるとされていたが,疾患別リハビリテーション料での関わりだけでは,今回のような関わりは持てない。コスト面のみを考えると行えない取り組みではあるが,今後の医療では2025年に向けてさらに入院期間の減少と在宅での生活へのシフトが必要となるため,病院全体へのリハビリテーション科の関わりが重要であると考えられる。今回は報告のみであるため,エビデンスはないが,リハビリテーション室のみでのリハビリテーションのみではリハビリテーション科スタッフの役割は不十分であることを再認識できた。リハビリテーション三協会が厚生労働省に提出した要望書にも急性期一般病棟における理学療法士等の専従配置加算が含まれており,病棟にリハビリテーションスタッフがいることでの効果をそれぞれの病院や施設で示していくことが必要と考える。また脳血管疾患等リハビリテーション料の対象に嚥下障害を追記することも要望しており,今回の相談事例にもみられた内容であり,効果を示していくべきと考える。リハビリテーション科スタッフが現在の状況に満足することなく,診療報酬や今後の日本の医療,福祉の動向に目を向けながら変化していくことが重要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】
今後の病院内でのリハビリテーション科の必要性,重要性について認識できた点で意義があると考える。