[1303] 当院における膝前十字靭帯再建術後の症例に対するアンケート調査の実施
キーワード:膝前十字靭帯, 復帰率, 満足度
【はじめに】
当院理学療法部門は多くの膝前十字靭帯(ACL)再建術後の症例に対して理学療法を実施しており,その目標の一つとして運動復帰が挙げられる。しかし,フォローをした症例が実際にどの程度運動復帰を果たせているのか,どの程度満足しているのか,十分な把握が困難であるのが現状である。加えて,ACL再建術後の運動復帰について,過去に運動復帰率や満足度を検証している報告は非常に少ない。そこで今回,ACL再建術後の症例に対してアンケート調査を実施し,当院での対外試合を含めた運動復帰許可後,最終フォロー時である術後10ヶ月以降の満足度,運動復帰度,運動復帰率を検討し,運動復帰できていない原因の分析を行った。
【方法】
対象は当院スポーツ整形外科でACL再建術を施行し術後10ヶ月以上経過した症例のうち,2012年12月6日から2013年11月13日に同科を外来通院した症例である。対象には外来通院時にアンケート調査を実施した。調査項目は以下の4つである。
1)満足度
2)運動復帰度
3)試合を含めた練習に参加できているかの可否
4)運動復帰ができていない原因
満足度・運動復帰度はVisual Analog Scale(VAS)を用いた。VASは紙面上に記載された100mmの線分を用い,アンケート調査実施時のスポーツ活動に対する満足度とACL損傷前のスポーツパフォーマンスを比較した運動復帰度を,それぞれ程度にあった位置に縦線でマークしてもらった。試合を含めた練習に参加できているかの可否については集計を行い,運動復帰率を算出した。運動復帰ができていない原因については複数回答してもらい,ア)疼痛の要素,イ)不安などの精神面の要素,ウ)引退や転勤などの環境の要素,エ)受験などの理由による繁忙の要素,オ)筋力回復の遅延の要素,カ)その他の6項目に分類し,各グループ内で集計した。
【倫理的配慮】
本研究は事前に対象者にアンケートの記入を同意とすることを十分に説明し,了承を得た上でアンケート調査を実施した。
【結果】
有効回答数は219例(男性:109例,25.2±10.2歳。女性:110例,29.4±12.2歳)であった(有効回答率95.5%,無効回答7例)。満足度の平均は73.1±22.7mm,運動復帰度の平均は69.4±24.5mm,運動復帰率74.9%であった。運動復帰ができていない原因について回答者数に対する割合は,ア)10.0%,イ)43.6%,ウ)10.4%,エ)13.7%,オ)13.7%,カ)8.5%であった。
【考察】
ACL再建術後の運動復帰について,過去に運動復帰率や満足度を検証している報告は少ない。また,「運動復帰の定義」は各施設によって異なり明確なものがない。今回の調査では当科での運動復帰の定義を「試合を含めた練習に参加できている」として検証した。これらの背景を考慮すると,今回のアンケート調査によって得られた運動復帰率や満足度は今後の一つの指標となると考える。今後は今回の結果に加え,時期毎に比較した術後経過による変化の検証や,運動レベルや筋力など客観的なデータを考慮した検証をし,多角的に分析していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
今回のアンケート調査によって得られたACL再建術後の運動復帰率や満足度は今後の一つの指標となると考える。
当院理学療法部門は多くの膝前十字靭帯(ACL)再建術後の症例に対して理学療法を実施しており,その目標の一つとして運動復帰が挙げられる。しかし,フォローをした症例が実際にどの程度運動復帰を果たせているのか,どの程度満足しているのか,十分な把握が困難であるのが現状である。加えて,ACL再建術後の運動復帰について,過去に運動復帰率や満足度を検証している報告は非常に少ない。そこで今回,ACL再建術後の症例に対してアンケート調査を実施し,当院での対外試合を含めた運動復帰許可後,最終フォロー時である術後10ヶ月以降の満足度,運動復帰度,運動復帰率を検討し,運動復帰できていない原因の分析を行った。
【方法】
対象は当院スポーツ整形外科でACL再建術を施行し術後10ヶ月以上経過した症例のうち,2012年12月6日から2013年11月13日に同科を外来通院した症例である。対象には外来通院時にアンケート調査を実施した。調査項目は以下の4つである。
1)満足度
2)運動復帰度
3)試合を含めた練習に参加できているかの可否
4)運動復帰ができていない原因
満足度・運動復帰度はVisual Analog Scale(VAS)を用いた。VASは紙面上に記載された100mmの線分を用い,アンケート調査実施時のスポーツ活動に対する満足度とACL損傷前のスポーツパフォーマンスを比較した運動復帰度を,それぞれ程度にあった位置に縦線でマークしてもらった。試合を含めた練習に参加できているかの可否については集計を行い,運動復帰率を算出した。運動復帰ができていない原因については複数回答してもらい,ア)疼痛の要素,イ)不安などの精神面の要素,ウ)引退や転勤などの環境の要素,エ)受験などの理由による繁忙の要素,オ)筋力回復の遅延の要素,カ)その他の6項目に分類し,各グループ内で集計した。
【倫理的配慮】
本研究は事前に対象者にアンケートの記入を同意とすることを十分に説明し,了承を得た上でアンケート調査を実施した。
【結果】
有効回答数は219例(男性:109例,25.2±10.2歳。女性:110例,29.4±12.2歳)であった(有効回答率95.5%,無効回答7例)。満足度の平均は73.1±22.7mm,運動復帰度の平均は69.4±24.5mm,運動復帰率74.9%であった。運動復帰ができていない原因について回答者数に対する割合は,ア)10.0%,イ)43.6%,ウ)10.4%,エ)13.7%,オ)13.7%,カ)8.5%であった。
【考察】
ACL再建術後の運動復帰について,過去に運動復帰率や満足度を検証している報告は少ない。また,「運動復帰の定義」は各施設によって異なり明確なものがない。今回の調査では当科での運動復帰の定義を「試合を含めた練習に参加できている」として検証した。これらの背景を考慮すると,今回のアンケート調査によって得られた運動復帰率や満足度は今後の一つの指標となると考える。今後は今回の結果に加え,時期毎に比較した術後経過による変化の検証や,運動レベルや筋力など客観的なデータを考慮した検証をし,多角的に分析していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
今回のアンケート調査によって得られたACL再建術後の運動復帰率や満足度は今後の一つの指標となると考える。