[1497] 足関節用リアライン・バランスシューズを用いたトレーニングが中・高校生女子バレーボール選手のパフォーマンス改善に及ぼす効果:無作為化対照研究
キーワード:足関節捻挫, 足関節用リアラインバランスシューズ, バレーボール
【はじめに,目的】
バレーボールの競技特性からジャンプ力の向上は勝敗を左右するとともに,選手としての生命線ともいえる。したがって足関節受傷後のジャンプ力向上は選手にとって重要な課題となる。また,パフォーマンスの向上と臨床症状の改善は密接な関係にあると考えられるが,足関節捻挫後に長く症状が残存する例においては,症状消失とパフォーマンス向上の両方を実現する介入が必要である。我々は足関節の捻挫予防・リハビリテーションのため,リアライン・バランスシューズ(以下RBS)足関節用(GLAB社)を用いた15分間の足関節外傷予防プログラムを考案した。そこで本研究では,中・高校生女子バレーボール選手を対象にRBS足関節用を用いた運動プログラムがバレーボールパフォーマンスと足関節機能に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は健常な中・高生女子バレーボール選手とした。研究デザインは無作為化対照試験とし,対象者をRBS群(以下B群),コントロール群(以下C群)の2群に割り付けた。それぞれの介入内容は,B群は足部のモビライゼーションを目的とした竹踏み,距腿関節内旋のモビライゼーションを目的としてニーアウトスクワットを行った後,RBS足関節用を使用した荷重位での運動を行った。コントロール群(以下C群)は,従来の捻挫後の後療法に広く実施されているチューブを利用した足関節周囲筋の筋力トレーニング,バランスディスクを用いたバランストレーニングを行った後,RBS足関節用を装着しない状態でB群と同様の荷重位での運動を行った。荷重トレーニングにおいては理学療法士により定期的にレベルアップ指導を行った。2群ともに1回15分の介入時間で,最低週3回,4週間継続した。介入状況は日誌により管理した。測定項目はバレーボールパフォーマンスの測定として10mダッシュ,垂直跳び,スパイクジャンプ,反復横跳び,足関節機能テストとしてDochertyらが用いている片脚飛び,8の字ホップテスト,サイドホップテストを観察因子とした。測定は4週間の運動介入の前後に行った。統計学的分析として反復測定2元配置分散分析,Tukey検定にて4週間の運動プログラム前後の比較を行った。有意水準としてα=0.05を採用した。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき,貞松病院倫理委員会の承認を得た後,研究内容を説明して同意を得られた者を対象とした。
【結果】
B群60名,C群60名の同意が得られた。介入回数は,B群20.1±4.8回,C群19.7±5.3回であった。B群では,スパイクジャンプおよび左右の片脚飛びにおいて介入前後で群内での有意な向上が得られた。一方C群では,介入前後で左右の片脚飛びのみ郡内での有意な向上が得られた。
【考察】
我々が考案したRBS足関節用を用いた足関節外傷予防プログラムは,短時間,短期間で足関節機能の向上のみでなく,スポーツパフォーマンスの向上をもたらした。その要因として,RBS足関節用は,その底面に距骨下関節の運動軸に一致した突出部(バランス軸)を備えている。これを足部に装着して体重をかけると,小指側が床についてしまう。これに対して,小指側を床から離し,RBS足関節用を水平に保とうとすることにより,腓骨筋には強い活動が要求される。すなわち,RBS足関節用を装着して水平に保って立つことにより,距骨下関節が中間位に保持され,さらにそのために必要な腓骨筋の強い筋活動を誘発される。さらに,従来の足関節捻挫後の後療法に用いられるチューブトレーニングはOKCによるトレーニングであるのに対し,足関節用RBSを用いた荷重トレーニングはスポーツパフォーマンスに近いCKCによるトレーニングとなる。したがって,パフォーマンスの向上に直接的に影響を及ぼすことが予想される。本研究では,研究デザインとして無作為化対照研究を採用し,注意深く選択バイアスの除去を行った。また,介入運動の高いコンプライアンスが両群ともに得られたことも研究結果の信頼性を高めることに貢献した。本研究の限界として,足関節捻挫後のリハビリテーション効果や足関節捻挫発予防効果については不明であることが挙げられる。したがって今後は捻挫後の後療法としての効果や足関節捻挫再発に関しても調査していきたい。
【理学療法学研究としての意義】
スポーツ現場などにおいて外傷の予防や外傷からの早期復帰は重要な課題である。足関節捻挫後の運動介入の効果をみた先行研究では,介入時間の長さや,スポーツパフォーマンスに及ぼす影響が不明であった。今回我々が考案したRBS足関節用を用いた足関節外傷予防プログラムは,短時間,短期間で足関節機能の向上のみでなく,スポーツパフォーマンスの向上をもたらしたことから両方に効果的であることが期待できる。
バレーボールの競技特性からジャンプ力の向上は勝敗を左右するとともに,選手としての生命線ともいえる。したがって足関節受傷後のジャンプ力向上は選手にとって重要な課題となる。また,パフォーマンスの向上と臨床症状の改善は密接な関係にあると考えられるが,足関節捻挫後に長く症状が残存する例においては,症状消失とパフォーマンス向上の両方を実現する介入が必要である。我々は足関節の捻挫予防・リハビリテーションのため,リアライン・バランスシューズ(以下RBS)足関節用(GLAB社)を用いた15分間の足関節外傷予防プログラムを考案した。そこで本研究では,中・高校生女子バレーボール選手を対象にRBS足関節用を用いた運動プログラムがバレーボールパフォーマンスと足関節機能に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は健常な中・高生女子バレーボール選手とした。研究デザインは無作為化対照試験とし,対象者をRBS群(以下B群),コントロール群(以下C群)の2群に割り付けた。それぞれの介入内容は,B群は足部のモビライゼーションを目的とした竹踏み,距腿関節内旋のモビライゼーションを目的としてニーアウトスクワットを行った後,RBS足関節用を使用した荷重位での運動を行った。コントロール群(以下C群)は,従来の捻挫後の後療法に広く実施されているチューブを利用した足関節周囲筋の筋力トレーニング,バランスディスクを用いたバランストレーニングを行った後,RBS足関節用を装着しない状態でB群と同様の荷重位での運動を行った。荷重トレーニングにおいては理学療法士により定期的にレベルアップ指導を行った。2群ともに1回15分の介入時間で,最低週3回,4週間継続した。介入状況は日誌により管理した。測定項目はバレーボールパフォーマンスの測定として10mダッシュ,垂直跳び,スパイクジャンプ,反復横跳び,足関節機能テストとしてDochertyらが用いている片脚飛び,8の字ホップテスト,サイドホップテストを観察因子とした。測定は4週間の運動介入の前後に行った。統計学的分析として反復測定2元配置分散分析,Tukey検定にて4週間の運動プログラム前後の比較を行った。有意水準としてα=0.05を採用した。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき,貞松病院倫理委員会の承認を得た後,研究内容を説明して同意を得られた者を対象とした。
【結果】
B群60名,C群60名の同意が得られた。介入回数は,B群20.1±4.8回,C群19.7±5.3回であった。B群では,スパイクジャンプおよび左右の片脚飛びにおいて介入前後で群内での有意な向上が得られた。一方C群では,介入前後で左右の片脚飛びのみ郡内での有意な向上が得られた。
【考察】
我々が考案したRBS足関節用を用いた足関節外傷予防プログラムは,短時間,短期間で足関節機能の向上のみでなく,スポーツパフォーマンスの向上をもたらした。その要因として,RBS足関節用は,その底面に距骨下関節の運動軸に一致した突出部(バランス軸)を備えている。これを足部に装着して体重をかけると,小指側が床についてしまう。これに対して,小指側を床から離し,RBS足関節用を水平に保とうとすることにより,腓骨筋には強い活動が要求される。すなわち,RBS足関節用を装着して水平に保って立つことにより,距骨下関節が中間位に保持され,さらにそのために必要な腓骨筋の強い筋活動を誘発される。さらに,従来の足関節捻挫後の後療法に用いられるチューブトレーニングはOKCによるトレーニングであるのに対し,足関節用RBSを用いた荷重トレーニングはスポーツパフォーマンスに近いCKCによるトレーニングとなる。したがって,パフォーマンスの向上に直接的に影響を及ぼすことが予想される。本研究では,研究デザインとして無作為化対照研究を採用し,注意深く選択バイアスの除去を行った。また,介入運動の高いコンプライアンスが両群ともに得られたことも研究結果の信頼性を高めることに貢献した。本研究の限界として,足関節捻挫後のリハビリテーション効果や足関節捻挫発予防効果については不明であることが挙げられる。したがって今後は捻挫後の後療法としての効果や足関節捻挫再発に関しても調査していきたい。
【理学療法学研究としての意義】
スポーツ現場などにおいて外傷の予防や外傷からの早期復帰は重要な課題である。足関節捻挫後の運動介入の効果をみた先行研究では,介入時間の長さや,スポーツパフォーマンスに及ぼす影響が不明であった。今回我々が考案したRBS足関節用を用いた足関節外傷予防プログラムは,短時間,短期間で足関節機能の向上のみでなく,スポーツパフォーマンスの向上をもたらしたことから両方に効果的であることが期待できる。