[O-0162] 退院後における訪問リハビリテーションの評価指標に関して
Keywords:訪問リハビリテーション, 評価指標, 外出支援
【はじめに,目的】2025年に向けた地域包括ケアシステム構築の中で在宅医療・介護連携の推進や生活支援サービスの充実・強化が示され,退院後の安定した在宅生活支援を行う為に訪問リハビリテーション(訪問リハ)を利用する事も重要であると考えられている。本研究の目的は,退院後より訪問リハを利用された利用者の評価・経過から効果内容を検証する事である。
【方法】2012年4月~2014年9月の期間において退院後1ヶ月以内に当院での訪問リハを開始した利用者25名を対象とした。検証内容は基本的ADLをFunctional Independence Measure(FIM)にて,IADLを老研式活動能力指標Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology Index of Competence(TMIG)にて,生活空間・範囲をLife Space Assessment(LSA)にて測定した結果を後方視的に調査した。統計学的解析では,FIM合計(運動・認知)・LSA合計(生活空間レベル別)を対応のあるT検定にて,TMIG,FIM下位項目をWilcoxonの符号付順位和検定を用いて開始時と開始より3ヶ月経過時点での有意差を比較検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果】対象者の平均年齢は71.3±10.2歳,疾患は脳血管疾患15名,運動器疾患7名,その他(廃用症候群,脊髄損傷)3名であった。介護度は要支援2が2名,要介護1が8名,要介護2が8名,要介護3が2名,要介護4が2名,要介護5が3名であった。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準では,非該当が9名,Iが7名,IIが6名,IIIが2名,IVが1名であった。発症・受傷日から退院までの平均期間は127日±47.9日で,退院から訪問リハ開始までの期間は8.6日±6.3日であった。訪問頻度は平均で週2.0±0.7日であった。開始時(3ヶ月経過時)FIM平均値は合計92.2±23.9(94.0±25.0)点,運動項目61.7±18.1(63.6±20.1)点,認知項目30.5±6.8(30.8±6.7)点であった。FIM合計(t値=2.5,P<0.05),運動項目(t値=2.3,P<0.05)にて有意な改善を認めた。FIM下位項目別では階段の項目(z=2.4,P<0.05)のみ有意な改善を認めた。TMIG中央値は合計3(4)点,手段的ADL項目0(0)点,知的ADL項目2(2)点,社会的ADL項目1(1)点であった。TMIG合計(z=2.8,P<0.01),手段的ADL項目(z=2.1,P<0.05),社会的ADL項目(z=2.0,P<0.05)で有意な改善を認めた。LSA平均値は合計24.3±11.7(30.3±14.7)点で,生活空間レベル1(居室内)5.4±1.8(5.5±1.8)点,生活空間レベル2(敷地内)6.1±5.0(7.2±4.8)点,生活空間レベル3(近隣)5.6±3.9(6.6±4.4)点,生活空間レベル4(町内)5.8±3.8(7.0±4.0)点,生活空間レベル5(町外)1.4±2.3(4.0±4.8)点であった。LSAでは合計(t値=3.0,P<0.01),生活空間レベル4(t値=2.1,P<0.05)レベル5(t値=2.6,P<0.05)で有意な改善を認めた。
【考察】LSA生活空間の町内・外やFIM階段等,主として自宅外の生活状態改善を認めた事から,在宅退院後は外出や通所等の屋外生活範囲の拡大支援に向け訪問リハを利用する事も有効と考えられる。本研究では要支援2~要介護2までの利用者が多い事から,自宅外での生活項目の改善が認められたとも考えられ,要介護度の重度な利用者では退院後の訪問リハの評価指標として,FIM等の他に屋内生活空間(Home-based LSA)や基本動作(Bed side Mobility Scale),Zarit介護負担尺度等の評価も必要ではないかと考えられた。またその人らしい生活を支援する上で,対象者に応じて個別に評価指標を選択する過程を検証する事も今後の課題と考えられた。
【理学療法学研究としての意義】訪問リハの評価指標を検討,評価結果を継続的に提示する事は,訪問リハを利用される利用者や介護支援専門員により効果的なサービスの選択・利用及び,モニタリング指標として有用である。また今後,データベースの蓄積を進め訪問リハスタッフの教育・質の向上を検討する一助となる。
【方法】2012年4月~2014年9月の期間において退院後1ヶ月以内に当院での訪問リハを開始した利用者25名を対象とした。検証内容は基本的ADLをFunctional Independence Measure(FIM)にて,IADLを老研式活動能力指標Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology Index of Competence(TMIG)にて,生活空間・範囲をLife Space Assessment(LSA)にて測定した結果を後方視的に調査した。統計学的解析では,FIM合計(運動・認知)・LSA合計(生活空間レベル別)を対応のあるT検定にて,TMIG,FIM下位項目をWilcoxonの符号付順位和検定を用いて開始時と開始より3ヶ月経過時点での有意差を比較検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果】対象者の平均年齢は71.3±10.2歳,疾患は脳血管疾患15名,運動器疾患7名,その他(廃用症候群,脊髄損傷)3名であった。介護度は要支援2が2名,要介護1が8名,要介護2が8名,要介護3が2名,要介護4が2名,要介護5が3名であった。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準では,非該当が9名,Iが7名,IIが6名,IIIが2名,IVが1名であった。発症・受傷日から退院までの平均期間は127日±47.9日で,退院から訪問リハ開始までの期間は8.6日±6.3日であった。訪問頻度は平均で週2.0±0.7日であった。開始時(3ヶ月経過時)FIM平均値は合計92.2±23.9(94.0±25.0)点,運動項目61.7±18.1(63.6±20.1)点,認知項目30.5±6.8(30.8±6.7)点であった。FIM合計(t値=2.5,P<0.05),運動項目(t値=2.3,P<0.05)にて有意な改善を認めた。FIM下位項目別では階段の項目(z=2.4,P<0.05)のみ有意な改善を認めた。TMIG中央値は合計3(4)点,手段的ADL項目0(0)点,知的ADL項目2(2)点,社会的ADL項目1(1)点であった。TMIG合計(z=2.8,P<0.01),手段的ADL項目(z=2.1,P<0.05),社会的ADL項目(z=2.0,P<0.05)で有意な改善を認めた。LSA平均値は合計24.3±11.7(30.3±14.7)点で,生活空間レベル1(居室内)5.4±1.8(5.5±1.8)点,生活空間レベル2(敷地内)6.1±5.0(7.2±4.8)点,生活空間レベル3(近隣)5.6±3.9(6.6±4.4)点,生活空間レベル4(町内)5.8±3.8(7.0±4.0)点,生活空間レベル5(町外)1.4±2.3(4.0±4.8)点であった。LSAでは合計(t値=3.0,P<0.01),生活空間レベル4(t値=2.1,P<0.05)レベル5(t値=2.6,P<0.05)で有意な改善を認めた。
【考察】LSA生活空間の町内・外やFIM階段等,主として自宅外の生活状態改善を認めた事から,在宅退院後は外出や通所等の屋外生活範囲の拡大支援に向け訪問リハを利用する事も有効と考えられる。本研究では要支援2~要介護2までの利用者が多い事から,自宅外での生活項目の改善が認められたとも考えられ,要介護度の重度な利用者では退院後の訪問リハの評価指標として,FIM等の他に屋内生活空間(Home-based LSA)や基本動作(Bed side Mobility Scale),Zarit介護負担尺度等の評価も必要ではないかと考えられた。またその人らしい生活を支援する上で,対象者に応じて個別に評価指標を選択する過程を検証する事も今後の課題と考えられた。
【理学療法学研究としての意義】訪問リハの評価指標を検討,評価結果を継続的に提示する事は,訪問リハを利用される利用者や介護支援専門員により効果的なサービスの選択・利用及び,モニタリング指標として有用である。また今後,データベースの蓄積を進め訪問リハスタッフの教育・質の向上を検討する一助となる。