[O-0351] 大動脈弁狭窄症を合併した大腿骨転子部骨折に対し術前から立位を試みた症例
Keywords:早期離床, Tilt table, 突然死
【目的】
大腿骨頚部骨折に対する治療の原則は,早期手術・早期離床である。今回,術前中止薬を服薬している事で,受傷から手術までの期間に臥床を強いられた,大腿骨転子部骨折症例に対し,術前から患肢免荷での立位を試み,比較的早期に自宅復帰が可能となったため報告する。
【症例提示】
症例は85歳の女性。自宅でトイレに行く際に転倒し左大腿骨転子部骨折(Evans分類:type1)を受傷した。右大腿骨転子部骨折の既往があり,糖尿病,高血圧,高脂血症を合併していた。受傷前は一人暮らしでADLが自立していた。術前検査で大動脈弁狭窄症と診断され,医師より運動時心拍数の上限は110bpmとされた。またアスピリンを服薬していたため,手術は受傷1週間後となり,理学療法は受傷後3日から開始した。術前の理学療法は背臥位での四肢関節運動に加え,Tilt tableを用い患肢を免荷した状態での立位を実施した。バイタルサインや身体所見は経時的に確認した。
【経過と考察】
左大腿骨転子部骨折に対し観血的骨接合術が施行され,手術翌日より平行棒内歩行を開始した。受傷後24日でT-cane歩行が自立した。その後,その他のADL動作も自立し,受傷後40日で自宅退院となった。術前・術後を通し,バイタルサインは安定しており,心不全所見も認めなかった。術前合併症を有する大腿骨頚部骨折症例では在院日数が長期化すると報告がある。また,大動脈弁狭窄症は,心筋肥大から生じる胸痛,左心不全,失神,突然死のリスクもあるため,積極的な運動負荷が困難とされている。
したがって本症例は術後に高負荷運動を実施する事が不可能であり,術前の臥床期間で生じる身体機能低下が移動能力の再獲得を阻害する可能性があった。そこで術前から四肢関節運動による運動負荷,さらに患肢を免荷した立位で重力負荷を加えた。よって,受傷時の身体的機能を維持・向上する事が出来た結果,比較的早期にADLが自立し,自宅退院が可能となったと考える。
大腿骨頚部骨折に対する治療の原則は,早期手術・早期離床である。今回,術前中止薬を服薬している事で,受傷から手術までの期間に臥床を強いられた,大腿骨転子部骨折症例に対し,術前から患肢免荷での立位を試み,比較的早期に自宅復帰が可能となったため報告する。
【症例提示】
症例は85歳の女性。自宅でトイレに行く際に転倒し左大腿骨転子部骨折(Evans分類:type1)を受傷した。右大腿骨転子部骨折の既往があり,糖尿病,高血圧,高脂血症を合併していた。受傷前は一人暮らしでADLが自立していた。術前検査で大動脈弁狭窄症と診断され,医師より運動時心拍数の上限は110bpmとされた。またアスピリンを服薬していたため,手術は受傷1週間後となり,理学療法は受傷後3日から開始した。術前の理学療法は背臥位での四肢関節運動に加え,Tilt tableを用い患肢を免荷した状態での立位を実施した。バイタルサインや身体所見は経時的に確認した。
【経過と考察】
左大腿骨転子部骨折に対し観血的骨接合術が施行され,手術翌日より平行棒内歩行を開始した。受傷後24日でT-cane歩行が自立した。その後,その他のADL動作も自立し,受傷後40日で自宅退院となった。術前・術後を通し,バイタルサインは安定しており,心不全所見も認めなかった。術前合併症を有する大腿骨頚部骨折症例では在院日数が長期化すると報告がある。また,大動脈弁狭窄症は,心筋肥大から生じる胸痛,左心不全,失神,突然死のリスクもあるため,積極的な運動負荷が困難とされている。
したがって本症例は術後に高負荷運動を実施する事が不可能であり,術前の臥床期間で生じる身体機能低下が移動能力の再獲得を阻害する可能性があった。そこで術前から四肢関節運動による運動負荷,さらに患肢を免荷した立位で重力負荷を加えた。よって,受傷時の身体的機能を維持・向上する事が出来た結果,比較的早期にADLが自立し,自宅退院が可能となったと考える。