[O-0352] 大腿骨頚部骨折に誤嚥性肺炎を併発した超高齢者の理学療法に対する一考察
Keywords:誤嚥性肺炎, 大腿骨頚部骨折, 超高齢者
【目的】
2011年に肺炎が日本の死因の第3位に上昇し,加齢に伴いその割合が増加している。2025年に高齢者人口は約3500万人に達すると推計され,誤嚥性肺炎も増加すると予想される。今回,大腿骨頚部骨折に誤嚥性肺炎を併発した超高齢者に対する急性期理学療法を施行し,今後検討すべき課題を討議していただきたく症例を提示した。
【症例提示】
症例は40歳代で肺癌にて右上葉を切除した90歳代男性で,自宅で妻と二人暮らしであった。自宅で転倒後に左大腿骨頚部骨折を受傷し,手術目的で他院に入院したが,術前に嘔吐,誤嚥し右下葉の無気肺と右胸水貯留,肺炎症状を認め,当院に転院した。難聴あり意思疎通は筆談のみ可能で,他院では尿道カテーテルの自己抜去等の不穏があった。
【経過と考察】
大腿骨頚部骨折に対しては,誤嚥性肺炎を発症した時点で家族は手術による積極的治療を希望せず保存的治療の方針となった。誤嚥性肺炎に対しては,抗菌薬の投与と気管支鏡による吸引,理学療法を介入した。介入当初は右下肺野の呼吸音が減弱し,咳嗽力も弱く自己喀痰困難であった。喀痰促進のため理学療法は1日に2回介入し,咳嗽力の確保と不穏の軽減も兼ね疼痛の状態に応じ坐位保持練習を施行した。結果,右無気肺は改善し自己喀痰も坐位にて何とか可能となり,入院時に比し炎症値は改善したが,炎症値自体は抗菌薬を中止する度に再燃を繰り返した。経口摂取のみでの栄養管理が困難で中心静脈栄養が必要であったことと,家族の介護力や意向もあり,療養型病院への転院となった。入院早期からの理学療法介入が誤嚥性肺炎の症状軽快の一因と考えられたが,在宅復帰には至らなかった。来る超高齢化社会を考えると,2025年からの地域包括ケアシステムの枠組みの中で,誤嚥性肺炎に対し理学療法士が予防的介入も含め,どのような効果的な介入をすべきかを考えさせられる症例であった。
2011年に肺炎が日本の死因の第3位に上昇し,加齢に伴いその割合が増加している。2025年に高齢者人口は約3500万人に達すると推計され,誤嚥性肺炎も増加すると予想される。今回,大腿骨頚部骨折に誤嚥性肺炎を併発した超高齢者に対する急性期理学療法を施行し,今後検討すべき課題を討議していただきたく症例を提示した。
【症例提示】
症例は40歳代で肺癌にて右上葉を切除した90歳代男性で,自宅で妻と二人暮らしであった。自宅で転倒後に左大腿骨頚部骨折を受傷し,手術目的で他院に入院したが,術前に嘔吐,誤嚥し右下葉の無気肺と右胸水貯留,肺炎症状を認め,当院に転院した。難聴あり意思疎通は筆談のみ可能で,他院では尿道カテーテルの自己抜去等の不穏があった。
【経過と考察】
大腿骨頚部骨折に対しては,誤嚥性肺炎を発症した時点で家族は手術による積極的治療を希望せず保存的治療の方針となった。誤嚥性肺炎に対しては,抗菌薬の投与と気管支鏡による吸引,理学療法を介入した。介入当初は右下肺野の呼吸音が減弱し,咳嗽力も弱く自己喀痰困難であった。喀痰促進のため理学療法は1日に2回介入し,咳嗽力の確保と不穏の軽減も兼ね疼痛の状態に応じ坐位保持練習を施行した。結果,右無気肺は改善し自己喀痰も坐位にて何とか可能となり,入院時に比し炎症値は改善したが,炎症値自体は抗菌薬を中止する度に再燃を繰り返した。経口摂取のみでの栄養管理が困難で中心静脈栄養が必要であったことと,家族の介護力や意向もあり,療養型病院への転院となった。入院早期からの理学療法介入が誤嚥性肺炎の症状軽快の一因と考えられたが,在宅復帰には至らなかった。来る超高齢化社会を考えると,2025年からの地域包括ケアシステムの枠組みの中で,誤嚥性肺炎に対し理学療法士が予防的介入も含め,どのような効果的な介入をすべきかを考えさせられる症例であった。