第50回日本理学療法学術大会

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口述

参加型症例研究ディスカッション 口述9

高次脳機能障害

Sat. Jun 6, 2015 5:30 PM - 6:30 PM 第6会場 (ホールD7)

座長:杉本諭(東京医療学院大学), 土山裕之(神奈川リハビリテーション病院 リハビリテーション局理学療法科)

[O-0570] 重度右片麻痺,半側空間無視を呈した症例に対する生体傾斜角練習装置を用いた座位練習の効果

川口沙織1, 加藤宗規2 (1.医療法人社団千葉秀心会東船橋病院, 2.了德寺大学健康科学部理学療法学科)

Keywords:片麻痺, 座位保持, バイオフィードバック

【目的】生体傾斜角練習装置を用いた座位練習が半側空間無視を有する重度右片麻痺患者の座位保持,トイレ動作に及ぼす影響について検討した。
【症例提示】左被殻出血,右片麻痺重度の70歳代女性。7病日でのStroke Impairment assessment set(以下;SIAS)は運動,感覚機能とも0点,合計21/76点であった。半側空間無視が著明で常に左を向いており,Albert線分末梢試験は左側の2列以外見落とし,Catherine Bergego Scale(以下;CBS)は最重度30点であった。機能的自立度評価法は36点であり,基本動作は全て全介助,立位・歩行やトイレ動作に関しては2人介助であった。7病日に理学療法を開始し,座位は前後に倒れ13病日時点でも不変であった。トイレ座位を目標に生体傾斜角練習装置(MA-200:アニマ社製)を用いた3段階の練習を設定した。段階①は後方傾斜,②は前方傾斜,③は便座での前方傾斜の改善とした。装置は15°傾くとブザー音が鳴るように設定した。その他の先行刺激として,足底に10cm台を置き,段階②,③では左側へ遮断壁を置き半側空間無視に対応した。3分間の座位保持練習前には前後3回ずつ体幹修正練習を行った。後続刺激として,修正可能数と失敗数を記録し,口頭とグラフで提示し,改善があれば大腿への身体接触を伴う賞賛を行った。失敗0回で次の段階へと移行した。
【経過と考察】段階①は介入11日目で獲得し,段階②は介入6日,段階③は初日から失敗回数がないまま動作の定着を図ることができた。その後,トイレでは上肢の支持がない状態でも座位が可能となった。24病日におけるSIASの運動感覚項目,CBSは初期と変化なかった。
今回の介入による座位姿勢の学習は有効であり,日常生活動作に般化したことが考えられる。