[O-0694] ノルディックウォークをとり入れた呼吸リハビリと通常の呼吸リハビリの効果の違いについて
キーワード:呼吸リハビリ, ノルディックウォーク, リハ効果
【はじめに】
ノルディクウォーク(NW)は,ポールを使用することで通常歩行よりも高い運動負荷が加わることなどから,適当な呼吸リハビリと考える。Breyer(2010)らはCOPD患者に対してランダム化比較試験を実施し,NWを導入した群において有意に身体活動量,6分間歩行テスト,QOLが有意に改善したことを報告した。しかし,この報告では対照群に運動療法の介入が全くなされてないことから,NWの効果を強く示すものではないと考える。そこで今回の研究の目的は,NWをとり入れた呼吸リハと通常の呼吸リハの効果の違いについて比較検討することである。
【方法】
対象は,2週間の包括的呼吸リハ目的で入院した独歩可能なCOPD患者。NWを導入していない2011年以前で呼吸リハを実施した23名を対照群(通常呼吸リハ群)とした。NWを導入した2012以降で呼吸リハにおいてNWを実施した13名を介入群(NW呼吸リハ群)とした。
通常呼吸リハ群の患者背景因子は,年齢74.03±5.1歳,BMI21.6±5.1kg/m2,FVC2.7±0.8L,%FVC90.2±20%,FEV1.0:1.3±0.4 L,FEV1.0%:51.6±13.1% %FEV1.0:59.1±21%であった。NW呼吸リハ群の患者背景因子は,年齢72±8.6歳歳,BMI22.1±4.8 kg/m2,FVC3.3±0.3L,%FVC85.1±8%,FEV1.0:1.2±0.6 L,FEV1.0%:53.6±14.1% %FEV1.0:59.0±18.0%であった。通常呼吸リハ群のリハビリ内容は,上下肢の筋力トレーニング,呼吸法,エルゴメーター,歩行練習である。NW呼吸リハ群のリハビリプログラムは通常呼吸リハビリ群の歩行練習にNWを取り入れたものである。リハ実施頻度は両群とも入院中に週6回で12回実施,退院後は週1回で4回実施した。効果判定としての評価項目は,6分間歩行テスト(6MWT),膝伸展筋力(WBI),健康関連QOL(SGRQ),身体活動量とした。評価は入院前1ヶ月と退院後1ヶ月に行った。また,身体活動量の評価は,スズケン社製の多メモリー加速度計測装置付き歩数計(ライフコーダー)を用いて計測した。計測値は,入院前1か月間と退院後1か月間の起床から就寝までの平均歩数とした。各評価の入院前1ヶ月の値を100%として退院後1ヶ月の値を改善率として求めた。統計学分析は,2群間の患者背景因子をt検定を用いて,各群の入院前1ヶ月と退院後1ヶ月の比較をWilcoxonの符号付順位和検定を用いて,2群間の改善率の比較をMann-WhitneyのU検定を用いて検討した。
【結果】両群間の患者背景因子に有意な差は無かった。通常呼吸リハ群の改善率は,6MWTが113.9%,WBIが134.7%,SGROが91.6%,身体活動量が141.1%と入院前1ヶ月より有意に改善した(P<0.01)。NW呼吸リハ群の改善率は,6MWTが144.9%,WBIが141.8%,SGROが77.9%,身体活動量が169.0%と入院前1ヶ月より有意に改善した(P<0.01)。通常呼吸リハ群とNW呼吸リハ群の改善率の比較では,NW呼吸リハ群の6MWT,SGRQ,身体活動量が有意に高かった(P<0.05)。
【考察】両群共に,入院前1ヶ月より退院1ヶ月後の方が6MWT,WBI,SGRQ,身体活動量が改善した。これはCOPDに対する呼吸リハの高いエビデンスを証明するものである。
NW呼吸リハ群の方が,通常呼吸リハ群より6MWT,健康関連QOL,身体活動量の改善率が有意に増大した。NWは通常歩行に比べて同じ歩行速度であっても心拍数が高い,酸素摂取量が多い。そして,上肢の筋活動が多くエネルギー消費が多いが,主観的強度に差がないなど,高い運動効果が多くの報告されている。このことからNW呼吸リハ群が有意な改善率を示した理由と考える。また,退院後に身体活動量が増大した理由として,NWという新しいリハビリプログラムが刺激統制法の役割なしたと考える。Andrianpouos(2014)らは,歩行練習,筋力トレーニング,サイクリングの従来型の呼吸リハビリに対して,代替え型の呼吸プログラムとして,水泳,エアロビクスに加えNWを挙げている。NWはポールの使用方法を変えることで運動強度を低強度から高強度と患者の状態に合わせて運動することが可能であるため,適当な呼吸リハビリである。
【理学療法学研究としての意義】COPD患者におけるNWの効果を明らかにした。今回の結果は,多数ある呼吸リハプログラムの中に,NWが新しい構成要因になりうることに本研究の意義がある。
ノルディクウォーク(NW)は,ポールを使用することで通常歩行よりも高い運動負荷が加わることなどから,適当な呼吸リハビリと考える。Breyer(2010)らはCOPD患者に対してランダム化比較試験を実施し,NWを導入した群において有意に身体活動量,6分間歩行テスト,QOLが有意に改善したことを報告した。しかし,この報告では対照群に運動療法の介入が全くなされてないことから,NWの効果を強く示すものではないと考える。そこで今回の研究の目的は,NWをとり入れた呼吸リハと通常の呼吸リハの効果の違いについて比較検討することである。
【方法】
対象は,2週間の包括的呼吸リハ目的で入院した独歩可能なCOPD患者。NWを導入していない2011年以前で呼吸リハを実施した23名を対照群(通常呼吸リハ群)とした。NWを導入した2012以降で呼吸リハにおいてNWを実施した13名を介入群(NW呼吸リハ群)とした。
通常呼吸リハ群の患者背景因子は,年齢74.03±5.1歳,BMI21.6±5.1kg/m2,FVC2.7±0.8L,%FVC90.2±20%,FEV1.0:1.3±0.4 L,FEV1.0%:51.6±13.1% %FEV1.0:59.1±21%であった。NW呼吸リハ群の患者背景因子は,年齢72±8.6歳歳,BMI22.1±4.8 kg/m2,FVC3.3±0.3L,%FVC85.1±8%,FEV1.0:1.2±0.6 L,FEV1.0%:53.6±14.1% %FEV1.0:59.0±18.0%であった。通常呼吸リハ群のリハビリ内容は,上下肢の筋力トレーニング,呼吸法,エルゴメーター,歩行練習である。NW呼吸リハ群のリハビリプログラムは通常呼吸リハビリ群の歩行練習にNWを取り入れたものである。リハ実施頻度は両群とも入院中に週6回で12回実施,退院後は週1回で4回実施した。効果判定としての評価項目は,6分間歩行テスト(6MWT),膝伸展筋力(WBI),健康関連QOL(SGRQ),身体活動量とした。評価は入院前1ヶ月と退院後1ヶ月に行った。また,身体活動量の評価は,スズケン社製の多メモリー加速度計測装置付き歩数計(ライフコーダー)を用いて計測した。計測値は,入院前1か月間と退院後1か月間の起床から就寝までの平均歩数とした。各評価の入院前1ヶ月の値を100%として退院後1ヶ月の値を改善率として求めた。統計学分析は,2群間の患者背景因子をt検定を用いて,各群の入院前1ヶ月と退院後1ヶ月の比較をWilcoxonの符号付順位和検定を用いて,2群間の改善率の比較をMann-WhitneyのU検定を用いて検討した。
【結果】両群間の患者背景因子に有意な差は無かった。通常呼吸リハ群の改善率は,6MWTが113.9%,WBIが134.7%,SGROが91.6%,身体活動量が141.1%と入院前1ヶ月より有意に改善した(P<0.01)。NW呼吸リハ群の改善率は,6MWTが144.9%,WBIが141.8%,SGROが77.9%,身体活動量が169.0%と入院前1ヶ月より有意に改善した(P<0.01)。通常呼吸リハ群とNW呼吸リハ群の改善率の比較では,NW呼吸リハ群の6MWT,SGRQ,身体活動量が有意に高かった(P<0.05)。
【考察】両群共に,入院前1ヶ月より退院1ヶ月後の方が6MWT,WBI,SGRQ,身体活動量が改善した。これはCOPDに対する呼吸リハの高いエビデンスを証明するものである。
NW呼吸リハ群の方が,通常呼吸リハ群より6MWT,健康関連QOL,身体活動量の改善率が有意に増大した。NWは通常歩行に比べて同じ歩行速度であっても心拍数が高い,酸素摂取量が多い。そして,上肢の筋活動が多くエネルギー消費が多いが,主観的強度に差がないなど,高い運動効果が多くの報告されている。このことからNW呼吸リハ群が有意な改善率を示した理由と考える。また,退院後に身体活動量が増大した理由として,NWという新しいリハビリプログラムが刺激統制法の役割なしたと考える。Andrianpouos(2014)らは,歩行練習,筋力トレーニング,サイクリングの従来型の呼吸リハビリに対して,代替え型の呼吸プログラムとして,水泳,エアロビクスに加えNWを挙げている。NWはポールの使用方法を変えることで運動強度を低強度から高強度と患者の状態に合わせて運動することが可能であるため,適当な呼吸リハビリである。
【理学療法学研究としての意義】COPD患者におけるNWの効果を明らかにした。今回の結果は,多数ある呼吸リハプログラムの中に,NWが新しい構成要因になりうることに本研究の意義がある。