[P1-A-0041] アフォーダンスを用いたPusher現象へのアプローチ
~座位保持獲得に着目して~
キーワード:プッシャー症候群, アフォーダンス, 座位
【目的】
今回,高次脳機能障害を呈した症例を担当し,座位保持を目標に理学療法行い姿勢の改善がみられ,若干の知見を得たのでここに報告する。
【症例提示】
80歳代女性,右被殻出血の診断。
Br.stage左上肢,手指,下肢共にII,感覚は表在・深部共に重度鈍麻。高次脳機能障害はPusher現象,注意障害,動作維持困難,左半側空間無視を認めた。Pusher現象はSCP6点,その他の評価を試みるも指示入力と姿勢,動作維持困難で信憑性は見られなかった。
座位保持は全介助レベル。車椅子座位では近くのものを掴んだりと自力行動が強く姿勢保持が困難で転落の危険性が高い状態であった。
【経過と考察】
初期では鏡や紐を用いた視覚的アプローチを中心に行なったが,注意障害の影響が強く鏡を持続して見ることが困難であった。そこで,アフォーダンス理論に基づき右肩を壁付けして右手で壁や左上下肢を触ることで周囲の探索活動を行い能動的な感覚入力を図った。Pusher現象の軽減後は後方へ押す動作が著明に出現し,右側壁付けの状態から輪を使用して前方リーチ動作を中心に行った。
アプローチ後5週目には座位姿勢はPusher現象や後方へ押す動作は軽減し端坐位は軽介助,車椅子座位は監視となり日中は車椅子で過ごす事が増えた。SCPは2点に改善した。
本症例は注意障害や様々な高次脳機能障害の影響により視覚的アプローチが困難であり,アフォーダンスに着目した。周囲の環境調整を行い,外部の探索活動を行った結果,右側で垂直の壁を知覚し,身体と環境の相互作用を認知することで垂直判断が出来たのではないかと考える。また,後方へ押す動作は前方への恐怖心や前庭脊髄路の亢進等を要因と考え伸展パターン動作を抑制した事で改善が図れたと考える。今回実施した理学療法アプローチにより座位姿勢の改善がみられたが,自然回復による改善の可能性も否定できない為,有効性については更なる検証が必要であると考える。
今回,高次脳機能障害を呈した症例を担当し,座位保持を目標に理学療法行い姿勢の改善がみられ,若干の知見を得たのでここに報告する。
【症例提示】
80歳代女性,右被殻出血の診断。
Br.stage左上肢,手指,下肢共にII,感覚は表在・深部共に重度鈍麻。高次脳機能障害はPusher現象,注意障害,動作維持困難,左半側空間無視を認めた。Pusher現象はSCP6点,その他の評価を試みるも指示入力と姿勢,動作維持困難で信憑性は見られなかった。
座位保持は全介助レベル。車椅子座位では近くのものを掴んだりと自力行動が強く姿勢保持が困難で転落の危険性が高い状態であった。
【経過と考察】
初期では鏡や紐を用いた視覚的アプローチを中心に行なったが,注意障害の影響が強く鏡を持続して見ることが困難であった。そこで,アフォーダンス理論に基づき右肩を壁付けして右手で壁や左上下肢を触ることで周囲の探索活動を行い能動的な感覚入力を図った。Pusher現象の軽減後は後方へ押す動作が著明に出現し,右側壁付けの状態から輪を使用して前方リーチ動作を中心に行った。
アプローチ後5週目には座位姿勢はPusher現象や後方へ押す動作は軽減し端坐位は軽介助,車椅子座位は監視となり日中は車椅子で過ごす事が増えた。SCPは2点に改善した。
本症例は注意障害や様々な高次脳機能障害の影響により視覚的アプローチが困難であり,アフォーダンスに着目した。周囲の環境調整を行い,外部の探索活動を行った結果,右側で垂直の壁を知覚し,身体と環境の相互作用を認知することで垂直判断が出来たのではないかと考える。また,後方へ押す動作は前方への恐怖心や前庭脊髄路の亢進等を要因と考え伸展パターン動作を抑制した事で改善が図れたと考える。今回実施した理学療法アプローチにより座位姿勢の改善がみられたが,自然回復による改善の可能性も否定できない為,有効性については更なる検証が必要であると考える。