[P1-B-0231] 維持期歩行障害に対する歩行アシストを用いた歩行練習の効果
Keywords:ロボティックリハビリテーション, 維持期, 歩行
【はじめに,目的】
神経筋疾患,脊髄損傷,脳卒中,パーキンソン病など神経系疾患が原因で下肢機能障害を来たすと,日常生活活動能力は著しく低下する。なかでも歩行能力の低下は日常生活活動範囲を制限する要因の一つとなる。本田技研工業が開発した歩行支援ロボット「歩行アシスト」は,股関節角度センサの情報により制御コンピューターがモーターを駆動し最適な歩行サポートが可能なロボット機器である。この歩行アシストを用いた維持期歩行障害に対する歩行練習の効果を報告する。
【方法】
対象はFunctional Ambulance Category(以下,FAC)3以上の維持期歩行障害を有する6例である。症例の内訳は,症例1は腰髄不全損傷,60歳,男性で歩行にはロフストランドクラッチを2本使用しており,FACは5である。症例2は球脊髄性筋萎縮症,46歳,男性で歩行にはT-caneを使用しており,FACは4である。症例3は脊髄小脳変性症,52歳,男性で歩行にはシルバーカーを使用しており,FACは4である。症例4はパーキンソン病,79歳,男性で歩行にはシルバーカーを使用しており,FACは3である。症例5はパーキンソン病,79歳,男性で歩行は杖なし,FACは5である。症例6もパーキンソン病,77歳,男性で歩行は杖なし,FACは5である。
方法は,歩行アシストを装着して歩行練習を1回30分,1週間に2回,計10回施行した。アシスト設定は各症例が歩きやすいと感じた設定とした。評価は10m歩行テストおよび3分間歩行テストを施行し,10回の介入前後で歩行アシストを装着していない歩行速度,歩幅,ケイデンス,3分間歩行距離を比較検討した。統計学的検討は対応のあるt検定を用いて有意水準5%未満とした。
【結果】
10回の介入前後の歩行速度は,介入前47.9±14.3m/分から介入後55.4±17.3m/分となり,有意な改善を認めた(p<0.01)。歩幅は介入前47.3±16.9cmから介入後53.8±18.1cmとなり有意な改善を認めた(p<0.01)。ケイデンスは,介入前103.2±8.4歩/分から介入後104.0±3.5歩/分となり有意な改善を認めなかった。3分間歩行テストは,介入前110.0±37.3mから介入後122.7m±44.4mとなり有意な改善を認めた(p<0.05)。
【考察】
本研究において,10回の介入前後で歩行速度,歩幅,3分間歩行距離の有意な改善を認め,歩行アシストを用いた歩行練習の効果が得られた。歩行アシストは股関節屈曲/伸展方向のアシストが可能であり,歩幅の拡大やケイデンスの増加が期待できる。今回の介入では歩行アシスト装着でのケイデンスの増加は認めなかったが,歩幅の拡大を認めた。介入前後のケイデンスは,ほぼ同程度であったため,歩行速度の向上は,歩幅の拡大が要因であると思われる。また,3分間歩行距離の延長は歩行速度の向上によるものと思われる。本研究において,歩行アシスト装着よる歩行練習を繰り返しは,歩行アシストを装着していない時にも装着時の歩容が定着し効果が得られたと思われる。さらに,症例を集積し,歩行アシストを用いた歩行練習の効果を追試する必要性があると思われた。
【理学療法学研究としての意義】
維持期の歩行障害では機能的な回復は期待しがたく,通常のリハビリテーションでは維持的なアプローチが主体となる。歩行アシストを用いた歩行練習により歩行能力の向上が得られることが証明されれば,維持期リハビリテーションにおける有用な歩行練習法の一つとして期待できる。
神経筋疾患,脊髄損傷,脳卒中,パーキンソン病など神経系疾患が原因で下肢機能障害を来たすと,日常生活活動能力は著しく低下する。なかでも歩行能力の低下は日常生活活動範囲を制限する要因の一つとなる。本田技研工業が開発した歩行支援ロボット「歩行アシスト」は,股関節角度センサの情報により制御コンピューターがモーターを駆動し最適な歩行サポートが可能なロボット機器である。この歩行アシストを用いた維持期歩行障害に対する歩行練習の効果を報告する。
【方法】
対象はFunctional Ambulance Category(以下,FAC)3以上の維持期歩行障害を有する6例である。症例の内訳は,症例1は腰髄不全損傷,60歳,男性で歩行にはロフストランドクラッチを2本使用しており,FACは5である。症例2は球脊髄性筋萎縮症,46歳,男性で歩行にはT-caneを使用しており,FACは4である。症例3は脊髄小脳変性症,52歳,男性で歩行にはシルバーカーを使用しており,FACは4である。症例4はパーキンソン病,79歳,男性で歩行にはシルバーカーを使用しており,FACは3である。症例5はパーキンソン病,79歳,男性で歩行は杖なし,FACは5である。症例6もパーキンソン病,77歳,男性で歩行は杖なし,FACは5である。
方法は,歩行アシストを装着して歩行練習を1回30分,1週間に2回,計10回施行した。アシスト設定は各症例が歩きやすいと感じた設定とした。評価は10m歩行テストおよび3分間歩行テストを施行し,10回の介入前後で歩行アシストを装着していない歩行速度,歩幅,ケイデンス,3分間歩行距離を比較検討した。統計学的検討は対応のあるt検定を用いて有意水準5%未満とした。
【結果】
10回の介入前後の歩行速度は,介入前47.9±14.3m/分から介入後55.4±17.3m/分となり,有意な改善を認めた(p<0.01)。歩幅は介入前47.3±16.9cmから介入後53.8±18.1cmとなり有意な改善を認めた(p<0.01)。ケイデンスは,介入前103.2±8.4歩/分から介入後104.0±3.5歩/分となり有意な改善を認めなかった。3分間歩行テストは,介入前110.0±37.3mから介入後122.7m±44.4mとなり有意な改善を認めた(p<0.05)。
【考察】
本研究において,10回の介入前後で歩行速度,歩幅,3分間歩行距離の有意な改善を認め,歩行アシストを用いた歩行練習の効果が得られた。歩行アシストは股関節屈曲/伸展方向のアシストが可能であり,歩幅の拡大やケイデンスの増加が期待できる。今回の介入では歩行アシスト装着でのケイデンスの増加は認めなかったが,歩幅の拡大を認めた。介入前後のケイデンスは,ほぼ同程度であったため,歩行速度の向上は,歩幅の拡大が要因であると思われる。また,3分間歩行距離の延長は歩行速度の向上によるものと思われる。本研究において,歩行アシスト装着よる歩行練習を繰り返しは,歩行アシストを装着していない時にも装着時の歩容が定着し効果が得られたと思われる。さらに,症例を集積し,歩行アシストを用いた歩行練習の効果を追試する必要性があると思われた。
【理学療法学研究としての意義】
維持期の歩行障害では機能的な回復は期待しがたく,通常のリハビリテーションでは維持的なアプローチが主体となる。歩行アシストを用いた歩行練習により歩行能力の向上が得られることが証明されれば,維持期リハビリテーションにおける有用な歩行練習法の一つとして期待できる。