[P1-B-0285] 大分県における訪問リハビリテーションの効果検証
Keywords:訪問リハビリテーション, 効果検証, 統一した評価表
【はじめに,目的】
(公社)大分県理学療法士協会(以下,当協会)では,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の効果検証を目的に,当協会が作成した統一した評価表を用いて検討を行った。
【方法】
対象は大分県内の当協会員理学療法士が従事する訪問リハ実施施設のうち同意が得られた30施設で,平成26年5月から同年7月までの新規利用者22名(男性10名,女性12名,平均年齢80.3±9.8歳)を登録した。評価方法は,当協会が作成した訪問リハ評価表を用い,訪問リハ開始時(退院時),開始後1ヶ月毎3ヶ月間(期間中利用終了となれば終了時)に評価を行うこととした。評価項目は,利用者の基本的情報(年齢,性別,主病名など),日常生活自立度,認知症老人の日常生活自立度,訪問リハの実施回数(週),目標,理学療法評価(筋力,関節可動域など心身機能の評価),理学療法内容,日常生活動作(以下,ADL),(Barthel Index,以下BI),手段的日常生活動作(以下,IADL)とした。特にIADLの評価項目は地域ケア会議と連動した生活機能評価表をもとに作成した(10項目,50点満点)。
【結果】
病院退院直後の利用者は13名で,訪問リハ開始までの期間は23±30.3日であった。主病名は,脳血管障害9名(40.9%),骨関節疾患7名(31.9%),筋萎縮性側索硬化症1名(4.5%),パーキンソン病1名(4.5%),肺癌1名(4.5%),その他3名(13.7%)であり,介護保険における要介護認定は要支援1:1名(4.55%),要支援2:2名(9.0%),要介護1:7名(31.8%),要介護2:7名(31.8%),要介護3:2名(9.0%),要介護4:2名(9.0%),要介護5:1名(4.55%)であった。訪問リハの平均利用回数は週1.6回で,期間中の訪問リハ終了者は7名(31.8%)であり,目標達成での終了者は5名(22.7%)であった。
訪問リハの初期時目標は,移動能力の向上(屋内)に関する項目7名(31.8%),ADL能力の維持・向上に関する項目7名(31.8%),IADL能力の維持・向上に関する項目5名(22.7%),移動能力の向上(屋外)に関する項目4名(18.1%),転倒予防に関する項目4名(18.1%),その他の順に設定しており,期間中に目標を上方修正した者は7名(31.8%),変更なしが15名(68.2%),下方修正者は0名(0%)であった。
心身機能の評価についてはMMT,Brunnstrom recovery stage,歩行耐久性テスト,片脚立位テスト,疼痛テスト,関節可動域測定,握力などの項目が評価され,改善8名(36.4%),維持13名(59.1%),低下0名(0%),評価困難1名(4.5%)であった。理学療法内容は,歩行練習16名(72.7%),筋力増強運動11名(50%),ADL練習6名(27.3%),基本的動作練習5名(22.7%),バランス練習5名(22.7%),環境調整・補助具検討5名(22.7%),関節可動域運動4名(18.2%),その他の順に多く実施しており,11名(50%)は適宜変更を行っていた。ADLは,初期時BI平均70.2±20.4点で改善11名(50%),維持10名(45.5%),低下0名(0%),評価困難1名(4.5%)であった。IADLは,初期時平均16.0±13.2点で改善10名(45.5%),維持11名(50%),低下0名(0%),評価困難2名(4.5%)であった。なお,ADL,IADL改善者の内,9名(69.2%)が病院退院直後者であった。
【考察】
今回,各訪問リハ事業所における新規利用者に対する3ヶ月間という短期間の限定的な効果検証において,ADLで50%およびIADLで45.5%の改善(内,退院直後者69.2%),さらに目標達成での終了者22.7%という状況は効果的な訪問リハが実施されていると考える。先行研究において齋藤らは,BI改善の要因の一つとして医療機関退院後の「生活混乱期」にある方への介入を上げている。このような視点からも,退院早期に訪問リハが介入し,生活機能の再建を図ることは有効と考える。
目標の大半はADLやIADL能力の維持・向上としているのに対して,理学療法内容のとしてはADLやIADLへの関わりは少なく,筋力増強運動やバランス練習,関節可動域運動と心身機能への介入が多かった。しかし,歩行練習72.7%の中には,「食堂,仏間への移動」,「玄関上り框の昇り降り」,「自宅周辺での散歩目的」,などの練習も行われおり,活動や参加を意識した関わりが行えていたと考える。在宅における生活機能の再建が必要とされる訪問リハにおいては,活動および参加を的確に評価できる項目を評価用紙にさらに取り入れることで,心身機能面だけでなく,活動や参加に対してもバランスよく介入することが可能となると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】
訪問リハの効果検証を行った。今後さらに訪問リハの効果を示す適切な評価項目や尺度を検討の検討に繋がる。
(公社)大分県理学療法士協会(以下,当協会)では,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の効果検証を目的に,当協会が作成した統一した評価表を用いて検討を行った。
【方法】
対象は大分県内の当協会員理学療法士が従事する訪問リハ実施施設のうち同意が得られた30施設で,平成26年5月から同年7月までの新規利用者22名(男性10名,女性12名,平均年齢80.3±9.8歳)を登録した。評価方法は,当協会が作成した訪問リハ評価表を用い,訪問リハ開始時(退院時),開始後1ヶ月毎3ヶ月間(期間中利用終了となれば終了時)に評価を行うこととした。評価項目は,利用者の基本的情報(年齢,性別,主病名など),日常生活自立度,認知症老人の日常生活自立度,訪問リハの実施回数(週),目標,理学療法評価(筋力,関節可動域など心身機能の評価),理学療法内容,日常生活動作(以下,ADL),(Barthel Index,以下BI),手段的日常生活動作(以下,IADL)とした。特にIADLの評価項目は地域ケア会議と連動した生活機能評価表をもとに作成した(10項目,50点満点)。
【結果】
病院退院直後の利用者は13名で,訪問リハ開始までの期間は23±30.3日であった。主病名は,脳血管障害9名(40.9%),骨関節疾患7名(31.9%),筋萎縮性側索硬化症1名(4.5%),パーキンソン病1名(4.5%),肺癌1名(4.5%),その他3名(13.7%)であり,介護保険における要介護認定は要支援1:1名(4.55%),要支援2:2名(9.0%),要介護1:7名(31.8%),要介護2:7名(31.8%),要介護3:2名(9.0%),要介護4:2名(9.0%),要介護5:1名(4.55%)であった。訪問リハの平均利用回数は週1.6回で,期間中の訪問リハ終了者は7名(31.8%)であり,目標達成での終了者は5名(22.7%)であった。
訪問リハの初期時目標は,移動能力の向上(屋内)に関する項目7名(31.8%),ADL能力の維持・向上に関する項目7名(31.8%),IADL能力の維持・向上に関する項目5名(22.7%),移動能力の向上(屋外)に関する項目4名(18.1%),転倒予防に関する項目4名(18.1%),その他の順に設定しており,期間中に目標を上方修正した者は7名(31.8%),変更なしが15名(68.2%),下方修正者は0名(0%)であった。
心身機能の評価についてはMMT,Brunnstrom recovery stage,歩行耐久性テスト,片脚立位テスト,疼痛テスト,関節可動域測定,握力などの項目が評価され,改善8名(36.4%),維持13名(59.1%),低下0名(0%),評価困難1名(4.5%)であった。理学療法内容は,歩行練習16名(72.7%),筋力増強運動11名(50%),ADL練習6名(27.3%),基本的動作練習5名(22.7%),バランス練習5名(22.7%),環境調整・補助具検討5名(22.7%),関節可動域運動4名(18.2%),その他の順に多く実施しており,11名(50%)は適宜変更を行っていた。ADLは,初期時BI平均70.2±20.4点で改善11名(50%),維持10名(45.5%),低下0名(0%),評価困難1名(4.5%)であった。IADLは,初期時平均16.0±13.2点で改善10名(45.5%),維持11名(50%),低下0名(0%),評価困難2名(4.5%)であった。なお,ADL,IADL改善者の内,9名(69.2%)が病院退院直後者であった。
【考察】
今回,各訪問リハ事業所における新規利用者に対する3ヶ月間という短期間の限定的な効果検証において,ADLで50%およびIADLで45.5%の改善(内,退院直後者69.2%),さらに目標達成での終了者22.7%という状況は効果的な訪問リハが実施されていると考える。先行研究において齋藤らは,BI改善の要因の一つとして医療機関退院後の「生活混乱期」にある方への介入を上げている。このような視点からも,退院早期に訪問リハが介入し,生活機能の再建を図ることは有効と考える。
目標の大半はADLやIADL能力の維持・向上としているのに対して,理学療法内容のとしてはADLやIADLへの関わりは少なく,筋力増強運動やバランス練習,関節可動域運動と心身機能への介入が多かった。しかし,歩行練習72.7%の中には,「食堂,仏間への移動」,「玄関上り框の昇り降り」,「自宅周辺での散歩目的」,などの練習も行われおり,活動や参加を意識した関わりが行えていたと考える。在宅における生活機能の再建が必要とされる訪問リハにおいては,活動および参加を的確に評価できる項目を評価用紙にさらに取り入れることで,心身機能面だけでなく,活動や参加に対してもバランスよく介入することが可能となると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】
訪問リハの効果検証を行った。今後さらに訪問リハの効果を示す適切な評価項目や尺度を検討の検討に繋がる。