[P1-C-0292] MNA-SF(Mini Nutritional Assessment-short form)を用いた在宅における栄養状態の把握
キーワード:栄養状態, 訪問リハビリテーション, 高齢者
【はじめに,目的】
栄養障害をもつ頻度は在宅診療を受けている高齢者の約35%と報告されている。当訪問看護ステーションの利用者のうち約69%が65歳以上の高齢者である。葛谷らは要介護認定を受けた要介護高齢者では低栄養は20%~60%と高率に存在するとし,また吉田らは栄養障害は要介護や年齢との関係が高いと報告しており,栄養障害は高齢者にとって大きな問題である。リハビリテーションを実施する上でも栄養状態を把握して実施しなければ衰弱を進める可能性がある。そこで,今回の目的は当訪問看護ステーションで関わる利用者の栄養状態を把握し,栄養アセスメントとして用いられるBMIや要介護度・年齢との関係性を明らかにすることである。
【方法】
調査期間は平成26年8月1日~8月31日とした。対象は本調査の趣向を説明し同意を得られた,当訪問看護ステーションを利用している要介護者28名(男性13名・女性15名,平均年齢74.9±7.5歳,平均介護度2.1±1.2)とした。栄養評価は簡易栄養状態評価法Mini Nutritional Assessment-short form(以下MNA-SF)を用い,栄養障害の状態を低栄養(0~7点)・低栄養のおそれあり(8~11点)・栄養障害なし(12~14点)の3つに分類した。栄養評価は,担当スタッフに検査方法を十分に説明し実施した。BMIの算出は宮澤らの膝高から身長を測定する推定身長とした。年齢区分は前期高齢者(65~74歳)14名,後期高齢者(75~84歳)11名,超高齢者(85歳以上)3名とした。統計解析はMNA-SF値と要介護度・BMI・年齢区分でPearsonの相関係数を用いて検討し有意水準5%未満とした。
【結果】
MNA-SF評価結果は栄養状態良好10名,低栄養のおそれあり14名,低栄養4名,平均点10.3±2.3であった。BMIは平均22.8±4.1であった。MNA-SFとBMIとは中等度の相関関係を認めた(r=0.58,p<0.01)。MNA-SFと年齢・要介護度に有意な差は認められなかった。
【考察】
在宅における栄養状態の把握をMNA-SFを用い,要介護度・BMI・年齢と比較した。MNA-SFと年齢・要介護度の相関はみられなかったが,BMIとの相関は認められた。MNA-SFの結果より対象者の約半数が何らかの栄養障害を抱えている事が明らかとなった。
雨海らは,MNA-SFの特徴は低栄養の階層化における低栄養のおそれありというグレーゾーンが設定されていることであり,低栄養のおそれありと判定された約半数は低栄養となる可能性があると報告している。その為,対象者の約半数はこのままの生活を続けていくと低栄養になる可能性が考えられた。以上のことから低栄養のおそれあり群では定期的なMNA-SFやBMI評価を行う必要がある。低栄養群では,適切な対応の出来る職種との連携や,栄養に対する知識をリハビリテーションの中で提供することにより低栄養の進行を予防する可能性が考えられた。
吉田らは要介護度・年齢が上昇するにつれMNA-SF評価点数は低下すると報告している。しかし今回の調査では,年齢・要介護度はMNA-SFとの関係は認められなかった。これは平均要介護度や年齢が厚生労働省の算出した平均より若干低いことが一因として考えられる。
今後は対象者を増やし,リハビリテーション介入時の疾患やより客観的な指標として血液データを交えた方法で栄養状態の把握を行う必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
高齢者における栄養状態は健康に多大な影響を与える事が明らかにされている。低栄養のリスクを早期に発見することにより,適切な介入を行い高齢者の身体活動機能,日常生活動作を維持・改善できる可能性が高く,在宅高齢者の生活の一助となると考える。
栄養障害をもつ頻度は在宅診療を受けている高齢者の約35%と報告されている。当訪問看護ステーションの利用者のうち約69%が65歳以上の高齢者である。葛谷らは要介護認定を受けた要介護高齢者では低栄養は20%~60%と高率に存在するとし,また吉田らは栄養障害は要介護や年齢との関係が高いと報告しており,栄養障害は高齢者にとって大きな問題である。リハビリテーションを実施する上でも栄養状態を把握して実施しなければ衰弱を進める可能性がある。そこで,今回の目的は当訪問看護ステーションで関わる利用者の栄養状態を把握し,栄養アセスメントとして用いられるBMIや要介護度・年齢との関係性を明らかにすることである。
【方法】
調査期間は平成26年8月1日~8月31日とした。対象は本調査の趣向を説明し同意を得られた,当訪問看護ステーションを利用している要介護者28名(男性13名・女性15名,平均年齢74.9±7.5歳,平均介護度2.1±1.2)とした。栄養評価は簡易栄養状態評価法Mini Nutritional Assessment-short form(以下MNA-SF)を用い,栄養障害の状態を低栄養(0~7点)・低栄養のおそれあり(8~11点)・栄養障害なし(12~14点)の3つに分類した。栄養評価は,担当スタッフに検査方法を十分に説明し実施した。BMIの算出は宮澤らの膝高から身長を測定する推定身長とした。年齢区分は前期高齢者(65~74歳)14名,後期高齢者(75~84歳)11名,超高齢者(85歳以上)3名とした。統計解析はMNA-SF値と要介護度・BMI・年齢区分でPearsonの相関係数を用いて検討し有意水準5%未満とした。
【結果】
MNA-SF評価結果は栄養状態良好10名,低栄養のおそれあり14名,低栄養4名,平均点10.3±2.3であった。BMIは平均22.8±4.1であった。MNA-SFとBMIとは中等度の相関関係を認めた(r=0.58,p<0.01)。MNA-SFと年齢・要介護度に有意な差は認められなかった。
【考察】
在宅における栄養状態の把握をMNA-SFを用い,要介護度・BMI・年齢と比較した。MNA-SFと年齢・要介護度の相関はみられなかったが,BMIとの相関は認められた。MNA-SFの結果より対象者の約半数が何らかの栄養障害を抱えている事が明らかとなった。
雨海らは,MNA-SFの特徴は低栄養の階層化における低栄養のおそれありというグレーゾーンが設定されていることであり,低栄養のおそれありと判定された約半数は低栄養となる可能性があると報告している。その為,対象者の約半数はこのままの生活を続けていくと低栄養になる可能性が考えられた。以上のことから低栄養のおそれあり群では定期的なMNA-SFやBMI評価を行う必要がある。低栄養群では,適切な対応の出来る職種との連携や,栄養に対する知識をリハビリテーションの中で提供することにより低栄養の進行を予防する可能性が考えられた。
吉田らは要介護度・年齢が上昇するにつれMNA-SF評価点数は低下すると報告している。しかし今回の調査では,年齢・要介護度はMNA-SFとの関係は認められなかった。これは平均要介護度や年齢が厚生労働省の算出した平均より若干低いことが一因として考えられる。
今後は対象者を増やし,リハビリテーション介入時の疾患やより客観的な指標として血液データを交えた方法で栄養状態の把握を行う必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
高齢者における栄養状態は健康に多大な影響を与える事が明らかにされている。低栄養のリスクを早期に発見することにより,適切な介入を行い高齢者の身体活動機能,日常生活動作を維持・改善できる可能性が高く,在宅高齢者の生活の一助となると考える。