第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

都道府県士会などの活動研究報告 ポスター9

地域包括ケア

Sat. Jun 6, 2015 1:50 PM - 2:50 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:秋田裕(公益社団法人神奈川県理学療法士会事務所)

[P2-0391] 奈良県健康長寿共同事業を通じた市町村介護予防事業へのアプローチと地域包括ケアシステム構築に向けての先進的取り組み

高取克彦1,4,5, 松本大輔1,4,5, 西田宗幹2,4,5, 松下真一郎3,4 (1.畿央大学健康科学部理学療法学科, 2.秋津鴻池病院リハビリテーション部, 3.奈良県言語聴覚士会, 4.奈良県健康長寿共同事業実行委員会, 5.(公社)奈良県理学療法士協会)

Keywords:介護予防, 地域在住高齢者, 地域包括ケアシステム

【目的】本報告は奈良県健康長寿共同事業における理学療法士としての活動と地域包括ケアシステムにおける役割および方向性をまとめたものである。
【活動報告】本事業は平成23年に県と後期高齢者広域連合の共同事業として設立されたものである。事業は地域巡回指導と取り組み方策研究事業に分けられ,地域巡回指導は運動指導,歯科健診等を地域の実状に合わせた形で巡回指導を行うものであり,運動指導には多数の理学療法士も参加している。平成25年度では県内27市町村において合計3,550名の地域高齢者に対して指導を実施した。理学療法士の参加は奈良県士会主催により実施した介護予防推進セミナー参加者を中心とした「奈良県介護予防ネットワーク」から募る形式を取っている。取り組み方策研究事業では,転倒予防・口腔機能向上を目的とした体操「誤嚥にナラん!体操」を開発した。体操は県士会公開講座での普及啓発や地域高齢者への導入により一定の身体機能向上効果を示している。現在は,地域のサロンやコミュニティカフェ,施設入所者への導入も開始している。今後は地域包括ケアのキーワードである自助・互助の仕組みづくりにも活用するため,介護予防サポーター・体操指導者育成を平成26年度内に実施する予定である。
【考察】地域巡回やオリジナル体操導入を通じて,多くの市町村と連携を進めていくことは,同時に地域課題を解決していく事にも繋がるため,行政との話し合いが地域ケア会議に発展する場合もある。「地域づくり」「街づくり」という側面からも理学療法士が介入する意義は大きく,県士会支援の下での活動は,理学療法士の社会的認知度や貢献度を高めるものと考えられる。
【結論】地域包括ケアの中で介護予防は重要な役割を担うものであり,「生き甲斐づくり」が強調されている。今後は地域高齢者への運動指導や評価だけでなく,行政と連携して地域課題の解決に向けて働きけていくことが重要である。