[P2-A-0422] 頸髄損傷者における車いすシーティングにより後頸部痛を生じた一症例
三次元動作解析装置から頭部・体幹に着目して
キーワード:頸髄損傷者, シーティング, 三次元動作解析装置
【目的】頸髄損傷者に車いすシーティングを実施し,車いす走行が向上したが,経過の中で後頸部痛が出現した。今回,三次元動作解析装置を用いて客観的に評価し検討したので報告する。
【症例提示】対象は,頚髄損傷者(四肢麻痺),男性,年齢は38歳。障害は,C5以下の運動・知覚障害があり,フランケル分類B,Hoffer座位能力分類2,職業は事務職でスポーツを行っている。
【経過と考察】シーティング前(以下BS)からシーティング後(以下AS)のバックサポートは,布張りからJ2バッグへ,クッションは,ロホクッションからJ2クッションで,骨盤後傾を制御するように設定し,動作解析装置にて計測した。ASの車いすを日常使用したが,3日後に後頸部痛の訴えがあったため,BSの車いすへ戻した。計測方法は,シーティング前後で助走3m,実測7mの距離を至適速度で各3回走行。標点を身体(頭部3点,両側の肩峰,肘・手関節,大腿)と車いす(車軸,車輪,バックサポート,座面)に貼付し,頭部と体幹の相対的な角度を算出した(以下HTA)。また,ハンドリムの駆動開始から次の駆動開始までを1周期とし,さらに駆動期と惰走期に分け,計6周期から走行速度やHTAの平均を算出した。至適走行速度の結果は,BS:89.4±3.2m/min,AS:97.0±2.4m/minであった。動作の特徴としては駆動期後半から惰走期初期に頭部が最大伸展位となっており,この時期のBSでは頭部伸展に伴い体幹伸展が起こっていた。また,ASでは頭部伸展時に体幹が屈曲していた。HTAは,BSで最大伸展3.04±2.4度,ASで最大伸展8.82±1.6度であった。シーティングの効果として至適走行が向上したが,駆動期後半から惰走初期で動作が変化し,体幹に対しての頭部の相対角度が約6度増していた。このことが後頸部痛の訴えに繋がった可能性があるため,シーティングをする際には,姿勢や動作の改善のみならず,身体と車いすの適合を経時的に診る必要性が示唆された。
【症例提示】対象は,頚髄損傷者(四肢麻痺),男性,年齢は38歳。障害は,C5以下の運動・知覚障害があり,フランケル分類B,Hoffer座位能力分類2,職業は事務職でスポーツを行っている。
【経過と考察】シーティング前(以下BS)からシーティング後(以下AS)のバックサポートは,布張りからJ2バッグへ,クッションは,ロホクッションからJ2クッションで,骨盤後傾を制御するように設定し,動作解析装置にて計測した。ASの車いすを日常使用したが,3日後に後頸部痛の訴えがあったため,BSの車いすへ戻した。計測方法は,シーティング前後で助走3m,実測7mの距離を至適速度で各3回走行。標点を身体(頭部3点,両側の肩峰,肘・手関節,大腿)と車いす(車軸,車輪,バックサポート,座面)に貼付し,頭部と体幹の相対的な角度を算出した(以下HTA)。また,ハンドリムの駆動開始から次の駆動開始までを1周期とし,さらに駆動期と惰走期に分け,計6周期から走行速度やHTAの平均を算出した。至適走行速度の結果は,BS:89.4±3.2m/min,AS:97.0±2.4m/minであった。動作の特徴としては駆動期後半から惰走期初期に頭部が最大伸展位となっており,この時期のBSでは頭部伸展に伴い体幹伸展が起こっていた。また,ASでは頭部伸展時に体幹が屈曲していた。HTAは,BSで最大伸展3.04±2.4度,ASで最大伸展8.82±1.6度であった。シーティングの効果として至適走行が向上したが,駆動期後半から惰走初期で動作が変化し,体幹に対しての頭部の相対角度が約6度増していた。このことが後頸部痛の訴えに繋がった可能性があるため,シーティングをする際には,姿勢や動作の改善のみならず,身体と車いすの適合を経時的に診る必要性が示唆された。