[P2-A-0442] 立位バランス障害を伴った右大腿骨頚部骨折の一症例
重心動揺検査を用いた立位練習効果の検討
Keywords:大腿骨頚部骨折, 立位バランス, 重心動揺検査
【目的】立位時の重心が患側後方に偏倚した大腿骨頚部骨折症例を経験した。立位安定化を目指し実施した理学療法(以下PT)を重心動揺検査で効果判定すること。
【症例提示】87歳女性,転倒受傷,受傷後3日骨接合術(ハンソンピン)。翌日PT開始(全荷重)。術後3週評価:MMT(右/左)腸腰筋3+/4中殿筋3-/4大腿四頭筋4/4前脛骨筋5/5,起居動作自立,立位保持見守り,体幹前傾し患側後方に不安定,歩行器歩行見守り,右上下肢安静時振戦あり,腱反射軽度亢進,MMSE17点。術後15週歩行器歩行見守りで退院。受傷前は独歩にて屋外自立。
【経過と考察】術後7週までROMex,下肢筋力強化,歩行練習実施。立位安定性改善が乏しく,7週以降,立位で患側中殿筋等尺性収縮の後,健側へ重心移動を促す課題(課題A)を追加,課題前後で重心動揺を5回測定。7~8週,課題A前後で重心安定化は認めなかった。8週,T字杖使用は困難,手つなぎ介助歩行開始。9週以降,課題A継続,立位で棒を挙上し背筋群収縮を促した後,腹筋群を収縮し重心前方移動を促す課題(課題B)を追加。9~10週,課題B前後で測定5回中4回外周面積改善。10週フリーハンド歩行(独歩)開始。11週以降5分間の車いす座位保持(課題C)前後の重心動揺は5回中4回外周面積改善,総軌跡長は5回中5回改善,前後中心は5回とも課題後に後方偏倚。12~13週,全PT実施前後で測定した独歩TUGは改善。術後15週,独歩見守りで15m可も,前方突進し患側へ不安定。家屋内前輪付き歩行器見守りで退院。
課題Aは,明らかな改善を認めず,課題Bは重心安定に即時的効果が得られた。課題Cが最も重心安定が得られたが,前後中心は後方偏倚していた。TUG改善より今回のPTは即時的効果が得られていた。一方,重心動揺測定により経時的改善は得られていないことが判明した。このことは歩行実用性が改善しなかった要因と関連しており,重心動揺での効果判定に意義があるものと思われた。
【症例提示】87歳女性,転倒受傷,受傷後3日骨接合術(ハンソンピン)。翌日PT開始(全荷重)。術後3週評価:MMT(右/左)腸腰筋3+/4中殿筋3-/4大腿四頭筋4/4前脛骨筋5/5,起居動作自立,立位保持見守り,体幹前傾し患側後方に不安定,歩行器歩行見守り,右上下肢安静時振戦あり,腱反射軽度亢進,MMSE17点。術後15週歩行器歩行見守りで退院。受傷前は独歩にて屋外自立。
【経過と考察】術後7週までROMex,下肢筋力強化,歩行練習実施。立位安定性改善が乏しく,7週以降,立位で患側中殿筋等尺性収縮の後,健側へ重心移動を促す課題(課題A)を追加,課題前後で重心動揺を5回測定。7~8週,課題A前後で重心安定化は認めなかった。8週,T字杖使用は困難,手つなぎ介助歩行開始。9週以降,課題A継続,立位で棒を挙上し背筋群収縮を促した後,腹筋群を収縮し重心前方移動を促す課題(課題B)を追加。9~10週,課題B前後で測定5回中4回外周面積改善。10週フリーハンド歩行(独歩)開始。11週以降5分間の車いす座位保持(課題C)前後の重心動揺は5回中4回外周面積改善,総軌跡長は5回中5回改善,前後中心は5回とも課題後に後方偏倚。12~13週,全PT実施前後で測定した独歩TUGは改善。術後15週,独歩見守りで15m可も,前方突進し患側へ不安定。家屋内前輪付き歩行器見守りで退院。
課題Aは,明らかな改善を認めず,課題Bは重心安定に即時的効果が得られた。課題Cが最も重心安定が得られたが,前後中心は後方偏倚していた。TUG改善より今回のPTは即時的効果が得られていた。一方,重心動揺測定により経時的改善は得られていないことが判明した。このことは歩行実用性が改善しなかった要因と関連しており,重心動揺での効果判定に意義があるものと思われた。