[P2-A-0630] 哺乳評価表に基づいた哺乳不良を招く要因の検討
Keywords:新生児, 哺乳評価, 哺乳不良
【目的】
哺乳不良は,新生児集中治療室では多く見られる障害のひとつで,その原因は未熟性,中枢性,呼吸循環状態,口腔咽頭疾患などがあげられる。今回,当院で使用している哺乳評価表に基づき,在胎週数,出生体重,疾患での,探索,吸啜,嚥下,哺乳協調性の比較検討を行った。
【方法】
対象は当院新生児科に入院し,リハビリテーション科に哺乳評価を受けた209例とし,対象を3つの比較群に分けて検討した。検討1では,早産児(在胎37週未満出生)群85例と正期産児(在胎37週以上出生)群124例,検討2では,評価時体重2500g未満児群86例と2500g以上児群123例,検討3では,脳血管疾患(早産児群15例と正期産児群17例),循環器疾患(早産児群7例と正期産児群11例),口腔形態異常(早産児群5例と正期産児群15例)に分類した。各群で哺乳評価の結果を比較した。哺乳評価の項目は,項目1)ミルクを湿らせた綿棒を口唇・口角にあてる(探索反射の有無),項目2)ミルクを湿らせた綿棒を口に含ませる(吸啜の有無),項目3)シリンジからミルクを0.1mlずつ口に含ませる(1回嚥下量の評価),項目4)空乳首を口に含ませてミルクを1.0mlずつ乳首に注ぐ(吸啜・嚥下・呼吸の協調性評価)である。
【結果】
検討1:正期産児群と早産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群6例:正期産児群8例(以下同),有で79例:114例,項目2)吸啜反射無で2例:5例,有で81例:113例,項目3)1回嚥下反射無で0例:3例,有で85例:113例,0.1ml嚥下不可で31例:27例,可で54例:89例,0.2ml嚥下不可で17例:31例,可で7例:35例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で59例:69例,良好で16例:17例であった。項目3)の1回嚥下量の評価の1回嚥下量0.1ml(p<0.05),0.2ml(p<0.05)で有意差が見られた。検討2:評価時体重2500g未満児群と2500g以上児群の比較では,項目1)探索反射無で評価時体重2500g未満児群4例:2500g以上児群9例(以下同),有で82例:112例,項目2)吸啜反射無で1例:5例,有で82例:114例,項目3)嚥下反射無で0例:3例,有で86例:114例,0.1ml嚥下不可で33例:25例,可で53例:90例,0.2ml嚥下不可で24例:29例,可で10例:33例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で65例:71例,良好で13例:24例であった。項目3)の1回嚥下量の評価の,1回嚥下量0.1ml(p<0.03),0.2ml(p<0.03)で有意差が見られた。検討3:脳血管疾患の早産児群と正期産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群3例:正期産児群3例(以下同),有で12例:14例,項目2)吸啜反射無で1例:1例,有で14例:16例,項目3)嚥下反射無で0:1例,有で12例:16例,0.1ml嚥下不可で7例:4例,可で8例:11例,0.2ml嚥下不可で5例:9例,可で1例:4例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で6例:8例,良好で3例:3例であった。循環器疾患の早産児群と正期産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群0例:正期産児群0例(以下同)有で7例:11例,項目2)吸啜反射無で0例:0例,有で7例:10例,項目3)嚥下反射無で0例:0例,有で7例:11例,0.1ml嚥下不可で3例:2例,可で4例:9例,0.2ml嚥下不可で1例:3例,可で2例:2例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で5例:9例,良好で2例:2例であった。口腔形態異常の早産児群と正期産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群0例:正期産児群2例(以下同),有で5例:13例,項目2)吸啜反射無で0例:1例,有で5例:14例,項目3)嚥下反射無で0:1例,有で5例:14例,0.1ml嚥下不可で2例:5例,可で3例:8例,0.2ml嚥下不可で3例:0例,可で1例:2例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で5例:7例,良好で0例:1例であった。
【考察】
結果より,早産児群と正期産児群,評価時体重2500g未満児群と2500g以上児群で,1回嚥下量評価の1回嚥下量0.1mと0.2mlで有意差が見られた。在胎週数が早い,評価時体重が小さいと1回嚥下量が少ない。また,早産児群と正期産児群,評価時体重2500g未満児群と2500g以上児群の全群で,吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良の症例が多かった。哺乳不良では,吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良の症例が多く,1回嚥下量の違いが,さらに哺乳障害をきたしている可能性が高い。疾患別では,探索,吸啜,嚥下,哺乳協調性の個別性が大きく,明確な傾向はなかったため,より慎重に評価分析・介入が必要と思われた。
【理学療法学研究としての意義】
哺乳不良が起きやすい疾患及び病態が明らかになることで効果的な介入が可能となる。
哺乳不良は,新生児集中治療室では多く見られる障害のひとつで,その原因は未熟性,中枢性,呼吸循環状態,口腔咽頭疾患などがあげられる。今回,当院で使用している哺乳評価表に基づき,在胎週数,出生体重,疾患での,探索,吸啜,嚥下,哺乳協調性の比較検討を行った。
【方法】
対象は当院新生児科に入院し,リハビリテーション科に哺乳評価を受けた209例とし,対象を3つの比較群に分けて検討した。検討1では,早産児(在胎37週未満出生)群85例と正期産児(在胎37週以上出生)群124例,検討2では,評価時体重2500g未満児群86例と2500g以上児群123例,検討3では,脳血管疾患(早産児群15例と正期産児群17例),循環器疾患(早産児群7例と正期産児群11例),口腔形態異常(早産児群5例と正期産児群15例)に分類した。各群で哺乳評価の結果を比較した。哺乳評価の項目は,項目1)ミルクを湿らせた綿棒を口唇・口角にあてる(探索反射の有無),項目2)ミルクを湿らせた綿棒を口に含ませる(吸啜の有無),項目3)シリンジからミルクを0.1mlずつ口に含ませる(1回嚥下量の評価),項目4)空乳首を口に含ませてミルクを1.0mlずつ乳首に注ぐ(吸啜・嚥下・呼吸の協調性評価)である。
【結果】
検討1:正期産児群と早産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群6例:正期産児群8例(以下同),有で79例:114例,項目2)吸啜反射無で2例:5例,有で81例:113例,項目3)1回嚥下反射無で0例:3例,有で85例:113例,0.1ml嚥下不可で31例:27例,可で54例:89例,0.2ml嚥下不可で17例:31例,可で7例:35例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で59例:69例,良好で16例:17例であった。項目3)の1回嚥下量の評価の1回嚥下量0.1ml(p<0.05),0.2ml(p<0.05)で有意差が見られた。検討2:評価時体重2500g未満児群と2500g以上児群の比較では,項目1)探索反射無で評価時体重2500g未満児群4例:2500g以上児群9例(以下同),有で82例:112例,項目2)吸啜反射無で1例:5例,有で82例:114例,項目3)嚥下反射無で0例:3例,有で86例:114例,0.1ml嚥下不可で33例:25例,可で53例:90例,0.2ml嚥下不可で24例:29例,可で10例:33例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で65例:71例,良好で13例:24例であった。項目3)の1回嚥下量の評価の,1回嚥下量0.1ml(p<0.03),0.2ml(p<0.03)で有意差が見られた。検討3:脳血管疾患の早産児群と正期産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群3例:正期産児群3例(以下同),有で12例:14例,項目2)吸啜反射無で1例:1例,有で14例:16例,項目3)嚥下反射無で0:1例,有で12例:16例,0.1ml嚥下不可で7例:4例,可で8例:11例,0.2ml嚥下不可で5例:9例,可で1例:4例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で6例:8例,良好で3例:3例であった。循環器疾患の早産児群と正期産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群0例:正期産児群0例(以下同)有で7例:11例,項目2)吸啜反射無で0例:0例,有で7例:10例,項目3)嚥下反射無で0例:0例,有で7例:11例,0.1ml嚥下不可で3例:2例,可で4例:9例,0.2ml嚥下不可で1例:3例,可で2例:2例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で5例:9例,良好で2例:2例であった。口腔形態異常の早産児群と正期産児群の比較では,項目1)探索反射無で早産児群0例:正期産児群2例(以下同),有で5例:13例,項目2)吸啜反射無で0例:1例,有で5例:14例,項目3)嚥下反射無で0:1例,有で5例:14例,0.1ml嚥下不可で2例:5例,可で3例:8例,0.2ml嚥下不可で3例:0例,可で1例:2例,項目4)吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良で5例:7例,良好で0例:1例であった。
【考察】
結果より,早産児群と正期産児群,評価時体重2500g未満児群と2500g以上児群で,1回嚥下量評価の1回嚥下量0.1mと0.2mlで有意差が見られた。在胎週数が早い,評価時体重が小さいと1回嚥下量が少ない。また,早産児群と正期産児群,評価時体重2500g未満児群と2500g以上児群の全群で,吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良の症例が多かった。哺乳不良では,吸啜・嚥下・呼吸の協調性不良の症例が多く,1回嚥下量の違いが,さらに哺乳障害をきたしている可能性が高い。疾患別では,探索,吸啜,嚥下,哺乳協調性の個別性が大きく,明確な傾向はなかったため,より慎重に評価分析・介入が必要と思われた。
【理学療法学研究としての意義】
哺乳不良が起きやすい疾患及び病態が明らかになることで効果的な介入が可能となる。