[P2-A-0693] 医療と介護の連携を高めるための症例検討会によって得られた効果と課題
キーワード:地域包括ケアシステム, 連携, 介護サービス
【はじめに,目的】
高齢化が進み地域包括ケアシステムの構築が進められる中で,高齢者が疾病を患い入院しても,早期に在宅へ戻り地域で安心・安全に生活することが推進される。当院には急性期および回復期リハビリテーション病棟,通所リハビリテーションおよび訪問リハビリテーション事業所がある。今回我々は,リハビリテーション科職員が医療と介護の連携の在り方を考えることを目的として症例検討会を行い,その有効性と今後の課題が得られたので報告する。
【方法】
当科職員で参加可能だった41名を対象に,症例検討会とその後のアンケート調査を行った。参加者41名を経験年数の短い職員で構成した3グループ(平均経験年数4.1±2.3年)と経験年数の長い職員で構成した3グループ(平均経験年数8.4±4.0年)の6グループに分けた。当科職員は急性期・回復期・通所・訪問チームに分かれており,各グループには各々のチームと,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が混在するようにした。症例は,退院を控えた入院中の高齢者を想定した3症例とし,それぞれを経験年数の短い職員で構成したグループと経験年数の長い職員で構成したグループに割り振った。グループ内では,割り振られた1症例について①退院後の生活目標,②在宅生活での課題,③課題を解決するための方法(どのようなサービスが必要か)の3点をポイントに議論し,最後に議論の成果の発表を行った。その後のアンケートは,①経験年数,②所属チーム(急性期・回復期・通所・訪問),③症例とグループ,④在宅生活におけるサービスの取り入れ方についての理解度(4件法にて取り組み前と比べて,1.変わらなかった,2.少しわかるようになった,3.まあまあ分かるようになった,4.とてもよく分かるようになった,とした),⑤取り組みに対しての感想や興味をもった意見・考えさせられたこと(自由記載)の5項目について実施した。
【結果】
アンケート配布数41枚に対し,回収数は34件(回収率82.9%)だった。在宅サービスの取り入れ方の理解度は,とてもよく分かるようになった1件,まあまあ分かるようになった13件,少しわかるようになった17件,変わらなかった3件だった。理解度には経験年数(1年目~15年目)や所属チーム,症例間での差は認められなかった。自由記載欄に関しては,「ケアマネジャーとの連携の重要性を感じた」「様々な意見が聞けて視野や観点が変化した」「各チームで在宅生活のイメージやサービス介入の考え方が違うと感じた」「自立支援の視点に立ったサービスの利用が大切だと思った」「もっと議論したかった」「経験年数の短い職員は長期的な視点を持った方が良いと思った」「医療分野チームはもう少し介護サービスについて理解が深まるといいと思った」等の意見が挙げられた。議論の内容ついては,経験年数の短い職員で構成されたグループに比べて経験年数の長い職員で構成されたグループの方が,高齢者の自立支援の視点にたったサービスの取り入れ方を考える特徴が認められた。
【考察】
アンケートの結果から,今回の症例検討会を通して,在宅サービスの取り入れ方に関する理解が深まるきっかけになったと考えられる。また,他のチームの意見が聞けたことで,それぞれに理解度や考え方の相違があることに気付けた。さらに,経験年数の短い職員には自分の考えを深めるきっかけとなり経験年数の長い職員からの意見を聞くことで,考え方の成熟が早期に期待できると考えられる。経験年数の長い職員は短い職員への指導のポイントを絞る事に繋がったと考える。今後も,各チームの情報交換を日頃から密に行い,このような症例検討会を定期的に行っていきたいと考える。そして,科内での医療と介護の連携を円滑にして地域へ拡げていく事で,地域の高齢者の自立支援へと繋げ,地域包括ケアシステムの一翼を担うことを期待したい。
【理学療法学研究としての意義】
今回症例検討会を行い,当科職員において医療と介護の連携の在り方を考えるきっかけとなった。このことは,疾病を患った高齢者が入院しても,また在宅に戻って安心して生活する上で必要なリハビリテーションの質を高める一助となる。
高齢化が進み地域包括ケアシステムの構築が進められる中で,高齢者が疾病を患い入院しても,早期に在宅へ戻り地域で安心・安全に生活することが推進される。当院には急性期および回復期リハビリテーション病棟,通所リハビリテーションおよび訪問リハビリテーション事業所がある。今回我々は,リハビリテーション科職員が医療と介護の連携の在り方を考えることを目的として症例検討会を行い,その有効性と今後の課題が得られたので報告する。
【方法】
当科職員で参加可能だった41名を対象に,症例検討会とその後のアンケート調査を行った。参加者41名を経験年数の短い職員で構成した3グループ(平均経験年数4.1±2.3年)と経験年数の長い職員で構成した3グループ(平均経験年数8.4±4.0年)の6グループに分けた。当科職員は急性期・回復期・通所・訪問チームに分かれており,各グループには各々のチームと,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が混在するようにした。症例は,退院を控えた入院中の高齢者を想定した3症例とし,それぞれを経験年数の短い職員で構成したグループと経験年数の長い職員で構成したグループに割り振った。グループ内では,割り振られた1症例について①退院後の生活目標,②在宅生活での課題,③課題を解決するための方法(どのようなサービスが必要か)の3点をポイントに議論し,最後に議論の成果の発表を行った。その後のアンケートは,①経験年数,②所属チーム(急性期・回復期・通所・訪問),③症例とグループ,④在宅生活におけるサービスの取り入れ方についての理解度(4件法にて取り組み前と比べて,1.変わらなかった,2.少しわかるようになった,3.まあまあ分かるようになった,4.とてもよく分かるようになった,とした),⑤取り組みに対しての感想や興味をもった意見・考えさせられたこと(自由記載)の5項目について実施した。
【結果】
アンケート配布数41枚に対し,回収数は34件(回収率82.9%)だった。在宅サービスの取り入れ方の理解度は,とてもよく分かるようになった1件,まあまあ分かるようになった13件,少しわかるようになった17件,変わらなかった3件だった。理解度には経験年数(1年目~15年目)や所属チーム,症例間での差は認められなかった。自由記載欄に関しては,「ケアマネジャーとの連携の重要性を感じた」「様々な意見が聞けて視野や観点が変化した」「各チームで在宅生活のイメージやサービス介入の考え方が違うと感じた」「自立支援の視点に立ったサービスの利用が大切だと思った」「もっと議論したかった」「経験年数の短い職員は長期的な視点を持った方が良いと思った」「医療分野チームはもう少し介護サービスについて理解が深まるといいと思った」等の意見が挙げられた。議論の内容ついては,経験年数の短い職員で構成されたグループに比べて経験年数の長い職員で構成されたグループの方が,高齢者の自立支援の視点にたったサービスの取り入れ方を考える特徴が認められた。
【考察】
アンケートの結果から,今回の症例検討会を通して,在宅サービスの取り入れ方に関する理解が深まるきっかけになったと考えられる。また,他のチームの意見が聞けたことで,それぞれに理解度や考え方の相違があることに気付けた。さらに,経験年数の短い職員には自分の考えを深めるきっかけとなり経験年数の長い職員からの意見を聞くことで,考え方の成熟が早期に期待できると考えられる。経験年数の長い職員は短い職員への指導のポイントを絞る事に繋がったと考える。今後も,各チームの情報交換を日頃から密に行い,このような症例検討会を定期的に行っていきたいと考える。そして,科内での医療と介護の連携を円滑にして地域へ拡げていく事で,地域の高齢者の自立支援へと繋げ,地域包括ケアシステムの一翼を担うことを期待したい。
【理学療法学研究としての意義】
今回症例検討会を行い,当科職員において医療と介護の連携の在り方を考えるきっかけとなった。このことは,疾病を患った高齢者が入院しても,また在宅に戻って安心して生活する上で必要なリハビリテーションの質を高める一助となる。