第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

ポスター2

神経難病理学療法

Sat. Jun 6, 2015 1:50 PM - 2:50 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-B-0654] 集団および個別運動療法を併用した外来理学療法がパーキンソン病患者のQOLに与える効果

岡本昌幸1, 鶴田佳世1, 中村潤二1, 喜多頼広1, 大西一輝1, 藤井慎太郎1, 守村麻実1, 谷澤恵美1, 岡田洋平2,3 (1.西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部, 2.畿央大学大学院健康科学研究科, 3.畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター)

Keywords:パーキンソン病, QOL, 集団運動療法

【はじめに,目的】
我が国のパーキンソン病患者数は高齢化に伴い増加傾向にあり,今後リハビリテーションを必要とする患者数も増加すると考えられる。当院では平成21年度より集団および個別運動療法を併用した外来理学療法を実施しており,週1回の介入ながら歩行能力や柔軟性,筋力等における改善を報告した。パーキンソン病は緩徐進行性神経変性疾患であり,平均余命は健常者と大きく変わらず,長期に渡る療養生活を強いられることから,身体機能のみならず,QOLの維持および向上を目指したリハビリテーション介入が重要となる。今回,当院の外来理学療法プログラムがパーキンソン病患者のQOLに与える効果について検証することとした。
【方法】
対象は,平成23年8月から平成26年7月の期間中に当院外来理学療法を受けた地域在住のパーキンソン病患者31名のうち,外来理学療法期間中に投薬変更が無く,自立歩行が可能であり,また重篤な精神疾患および認知機能障害を有さなかった14名(平均年齢70.3±7.6歳,modified Hoehn and Yahr分類stage1:2名,stage2:4名,stage2.5:2名,stage3:6名)とした。介入については,週1回各回90分間の外来理学療法を13週間実施した。外来理学療法では棒体操およびエラスティックバンドを使用した筋力増強運動などで構成される集団運動療法を50分間,標準的な個別運動療法を40分間実施した。また,ホームエクササイズを記載した冊子を配布し運動指導を実施した。評価項目については,QOL評価としてParkinson’s disease questionnaire-39(PDQ-39)を,身体機能評価としてUnified Parkinson’s Disease Rating Scale運動項目(UPDRS motor),10m歩行時間,2分間歩行距離(2MD),Timed Up and Go test(TUG),30秒立ち上がりテスト(CS-30)を外来理学療法の初回と最終回に同時刻,同測定環境にて測定した。統計解析は介入前後の測定結果を比較するためにWilcoxon符号付順位検定を実施し,有意水準は5%未満とした。また,外来最終回に感想および内省報告に関するアンケート調査を実施した。
【結果】
QOLに関しては,介入前後でPDQ-39に統計学的に有意な改善は示さなかった。PDQ-39のうち,Emotional well-beingおよびSocial supportの領域において統計学的に有意な改善は示さなかったが,改善傾向を示した。身体機能に関しては,10m歩行時間,2MD,TUG(P<0.01),CS-30(P<0.05)について統計学的に有意な改善を示した。アンケートについては14名中9名が回答した。感想として,5名は集団運動療法,3名は運動指導を本外来理学療法の良い点として挙げていた。また,9名全員が再度の参加を希望した。
【考察】
本介入により,PDQ-39のEmotional well-beingおよびSocial supportの領域に改善傾向が認められたが,これは定期的な集団運動療法により他者との関わりが増大したことにより,対象者の心理面に影響を与えた可能性があると考えられる。一方,身体機能に関して,多くの項目で統計学的に有意な改善を示したが,PDQ-39のMobilityおよびActivities of daily livingの領域には改善を示さなかった。パーキンソン病患者に対する理学療法の実施にあたり,身体機能のみに着目せず,心理・精神的な面を考慮したプログラムを提供する必要があると考える。
【理学療法学研究としての意義】
パーキンソン病患者に対する理学療法において,疾患の進行過程の特性から,QOLの維持・向上を考慮したプログラムを立案することは重要と考える。その中で身体機能への介入のみならず,心理的・精神的な面へのサポートを含めた介入を立案する必要がある。本研究は,今後のパーキンソン病患者に対する理学療法プログラム構築の一助となると考える。