第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター17

運動器/脊椎

Sun. Jun 7, 2015 10:50 AM - 11:50 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0852] 再発した環軸椎回旋位固定の一症例

山本泰司 (市立伊丹病院医療技術部医療技術室リハビリテーション担当)

Keywords:環軸椎回旋位固定, 関節の潤滑, Fielding分類

【目的】
環軸椎回旋位固定により入院加療し,退院となった2年半後に再発した小児の症例を経験した。初回の入院では得られなかった両親からの情報を基に,本症例の再発の成因を考察するとともに治療に用いた用手操作の効果を報告する。
【症例提示】
初回入院5歳,女児。特に誘因なく頚部痛,斜頚を呈した。発症31日後入院,牽引療法を試みたが,疼痛が強く啼泣して暴れるため実施できなかった。入院後翌日より理学療法開始。30度左側屈し,顔面は右方を向いていた。頭頂部から足部に向く重力軸に対し圧を加え,椎間関節の潤滑を再獲得しようと試みたが拒否が強かった。疼痛なく治療することを認識させるためウォーターバック上に寝かせて水圧を利用した潤滑圧を頚部に加えた。入院5日目,再度,頭部からの加圧を施行。同8日目,自発的に正中位を越え頚部左回旋が可能となった。同29日目,自動右側屈はやや制限があるが疼痛なく自動運動が可能となり退院となった。
2年半後,8歳。発熱し解熱後,頚部痛,斜頚を呈した。発症2日後に入院し牽引療法を開始した。入院後翌日より理学療法開始。30度左側屈,顔面は右向きで,Fielding分類はtypeIIであった。前回と同じ技法を施行したところ背臥位では若干後頚部に張り感は残存するが固定肢位は解除され頚椎左回旋が可能となり牽引療法は中止された。入院5日目,座位,立位にて回旋に問題なく,同10日目退院となった。
【経過と考察】
その後,2年間半以上再発はなく通学している。再発時の入院では発熱時,患児は日常では取らない「うつ伏せで」就寝しており初回入院時も同じ体位であったと両親より情報を得た。小児の場合,環軸関節の関節包が緩く,関節面の水平化によって骨性安定性が低い。患児の就寝体位により長時間過剰回旋が強要され,環軸関節が回旋変形した位置で固定されたのではないかと考える。また患児に施行した技法は安全に良好な結果を得ることができた。