第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター17

運動器/脊椎

Sun. Jun 7, 2015 10:50 AM - 11:50 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0855] 脊椎固定術後に隣接椎体の骨折を繰り返し胸椎の後弯と脊髄症を生じたが理学療法により歩行可能となった1症例

南島大輔1, 堀田緒留人2, 冬賀秀一1 (1.東京警察病院リハビリテーション科, 2.東京警察病院整形外科)

Keywords:脊椎後弯, 脊椎固定術, 隣接椎障害

【目的】脊椎固定術には,術後隣接椎障害が発生する報告がある。今回,脊椎固定術後に上位椎体骨折を繰り返し胸椎の後弯と脊髄症を生じたが,両杖歩行にて自宅退院となった症例の理学療法を経験したので報告する。
【症例提示】74歳女性
【経過と考察】2013年11月に腰椎辷り症に対してL3/4 4/5の後方椎体間固定術施行。術後理学療法を介入し,25日目にT字杖屋外歩行獲得し自宅退院となった。しかし,2週後より隣接するL2椎体骨折の出現に伴う腰痛と右下肢痛が出現した。2014年1月にTh8~L3の後方固定術を追加した。術後4日より理学療法を開始し,MMTは右股関節屈曲2,膝伸展3さらに表在感覚,位置覚鈍麻を認めた。術後48日にはMMTは右股屈曲3,膝伸展3,表在覚や位置覚改善し,T字杖歩行で自宅退院となった。
術後2か月間は良好であったが,5月になり隣接するTh7椎体骨折と同高位での局所後弯に伴う脊髄不全損傷による歩行障害が出現した。そこでハローベストを用いて可及的な後弯矯正を行い,5月下旬にTh2~8の後方固定術を追加した。術後のMMTは右股屈曲1,膝伸展2であり,右下肢の表在感覚と位置覚鈍麻を認め,術後3日より理学療法を開始した。しかし,術後6日より抗生剤投与に伴う偽膜性腸炎を併発したため,積極的な理学療法は中断となった。下痢や食思低下のため著しい体重減少を認めたが7月初旬に腸炎は軽快し体重の回復に伴って筋力も増強した。8月下旬には両T字杖屋外歩行可能となり,9月下旬に自宅退院となった。
本症例は,隣接椎体骨折を繰り返したため,結果的にTh2~L5の広範囲に後方固定術が行われた。胸椎の後弯が強調されバランス低下を認めたが,頚椎と股関節が代償することで可動性を獲得し歩行自立に至ったと考えられる。理学療法では隣接椎障害を予防するために筋カトレーニングなどを通して隣接椎に対する負荷を軽減することが重要であると考える。