第50回日本理学療法学術大会

Presentation information

ポスター

症例研究 ポスター17

運動器/脊椎

Sun. Jun 7, 2015 10:50 AM - 11:50 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0858] 腰部骨盤帯のリアライメントと可動性の改善により神経症状が改善した腰部脊柱管狭窄症の一症例

東山学史, 増井健二 (大阪回生病院)

Keywords:腰部脊柱管狭窄症, 椎間孔狭窄, 症例報告

【目的】
右腰殿部痛を呈した症例を担当した。姿勢・動作観察と画像所見に基づき理学療法を実施した。経過に考察を加え報告する。
【症例提示】
81歳女性。腰部脊柱管狭窄症,変形性側弯症。70歳頃から両膝痛と腰殿部痛を認め両変形性膝関節症にて74歳に左,78歳に右人工膝関節全置換術を施行。2014年6月腰殿部痛が増悪し,他院にて内服治療・物理療法・硬膜外ブロック注射を受けるも効果を認めず7月当院受診,9月外来理学療法開始。
右腰殿部痛を認め,胸椎左側屈位を呈しており,右椎間孔狭窄による神経根圧迫からの疼痛回避姿勢を呈していると考えた。画像所見では腰椎右側屈位,L4すべりとL4/5椎間板後方膨隆による脊柱管狭窄,右椎間孔の狭小化・右椎間関節圧縮位を認めた。
【経過と考察】
歩行・起居動作時に右腰殿部Numerical Rating Scale(NRS)7~10/10の痛みを認めた。立位は上前腸骨棘より上後腸骨棘が頭側に3横指高く,腰椎前弯・骨盤前傾し,右股関節軽度屈曲位を呈していた。歩行時は腰椎右側屈・胸椎左側屈位を呈し,6分間歩行距離は360m。自動運動は体幹前屈55°,後屈20°,側屈 右25°左35°,回旋 右20°左45°。股関節伸展可動域は右10°。modified Oswestry Disability Index(mODI)は21/50。また右下肢が1cm長い脚長差を認めた。脚長差や変形性膝関節症の影響で腰椎右側屈位が右椎間孔狭小・右椎間関節変性を起こし,脊柱管と椎間孔狭窄による神経根圧迫の原因と考えた。治療は腰椎右椎間孔開大肢位,腰背部軟部組織の徒手療法を中心に施行。結果,理学療法開始1ヶ月後,右腰殿部痛NRS4~8/10。立位にて上前腸骨棘に比べ上後腸骨棘が2横指となり腰椎前弯増強と骨盤前傾は軽度改善。歩行時の胸腰椎側屈と胸椎側屈も改善し,6分間歩行距離は420mに改善。mODIは16/50と改善。
腰椎前弯・右側屈位により脊柱管や右椎間孔が狭小し,神経圧迫症状を呈していたと考え治療を実施した結果,腰椎前弯と右側屈位が改善し脊柱管・椎間孔が開大し症状が改善したものと考えた。