第50回日本理学療法学術大会

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ポスター3

支援工学理学療法2

2015年6月7日(日) 10:50 〜 11:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-1103] 神戸における「装具療法地域連携ミーティング」の歩みと,当院での装具療法にもたらした変化

帶刀聖司, 好地紅子, 塩谷美奈子, 鹿子木美鈴, 栄健一郎 (適寿リハビリテーション病院)

キーワード:装具, 装具療法, 地域連携

【はじめに,目的】

平成24年5月より当院を中心にして,神戸では「装具療法地域連携ミーティング」が月に1回開催されている。ミーティングへの参加を通して,参加企業間のやり取り,参加職種間のやり取り,参加個人のやり取りから学ぶことが多い。同時期に当院でも「装具チーム」を結成し,当院での装具療法の現状,今後の方向性を検討している。今回,「装具療法地域連携ミーティング」への参加からもたらされた気付きと当院に起こりつつある変化を報告したい。

【方法】

「装具療法地域連携ミーティング」の流れと当院での変化を時系列に沿ってまとめる。

【結果】

「ミーティング初期」

開始当初の参加は2病院(急性期・回復期)と義肢装具製作所・装具関連会社3社であった。参加職種・人数は理学療法士・3人,義肢装具士・4人,関連メーカー担当者・1人の3職種8人であった。それぞれの地域圏域は重なっているものの今までに一堂に会することはなかったメンバーである。

「当院初期の変化」

当院ではそれまで,担当理学療法士・(上位理学療法士)・当番義肢装具士の3者のみで装具の検討がなされてきた現状にある。ミーティングの開催と同時期に当院でも装具チームが立ち上がり,それぞれの関係性の中で病院見学や製作所見学を行う機会に恵まれ,現状での装具療法に関しての知識の少なさ,先進的に進めている病院から学ぶこと,実際の製作所の見学から学び意見交換会から気付かされたことなど様々な事柄を発見できた。

「ミーティング現状」

現在ミーティングの参加メンバーは5病院10人前後(急性期病院;2回復期リハ病院;4)義肢装具関連会社は5社10人前後の計20名程である。時間・場所は,平日の夜間2時間ほど集まり,ミーティングの場所は当初は当院で行われていたが,現在は参加者の施設での持ち回りとしている。最近では地域で装具療法について先進的取り組みをされているリハビリテーション専門医の参加や,東北地方から見学に来られたり,中部地区へ研修に呼ばれ地域の立学療法士と意見交換をするなどの活動もしている。

「当院現状」

装具検討会を行うようになり,1人の患者に対して入院初期からの関わりを持ち装具必要性の有無から複数人の理学療法士・義肢装具士等が関わるようにしている。また,義肢装具士の来院時間を時間予約制とし,相談できる時間をしっかりと取れるようにした。評価用装具の活用を図ることで経験の少ない理学療法士にも装具の評価を行いやすいものにしている。また,患者・家族にとっても実際の物品に触れることで効果が実感しやすいものとなっていると感じる。

【考察】

神戸「装具療法地域連携ミーティング」は「装具で困っている人をなんとかしたい,装具療法についてそれぞれの立場で考えていることをぶつけてみよう」という思いのもと集まった座談会のようなものから始まった。装具療法の形がはっきりとは見えない中で,メンバーが定期的に集まり意見交換ができていることはそれぞれの立場で大きな力となっていると考える。

【理学療法学研究としての意義】

脳卒中患者に処方されることの多い装具を題材に,理学療法士・義肢装具士が縦のつながり・横のつながりを越えて顔を合わせた。地域の事を考える機会は滅多にないものとなっている。互いの連携を密に取ること,それぞれがどのようなスタンスで日々働いているのかを相互理解することは非常に重要である。