○岡徹1, 古川泰三2
(1.京都警察病院理学療法室, 2.京都警察病院整形外科)
キーワード:足舟状骨骨折, ハードル競技, 髄内釘固定術後
【目的】足舟状骨骨折は比較的珍しいとされる。今回,我々は外傷により舟状骨骨折を生じた高校ハードル選手の1例を経験したので評価・治療内容を報告する。【症例紹介】17歳男性,陸上ハードル試合中に右足内背側に痛みが出現する。他院にて治療するが歩行時の疼痛が改善せず,受傷から4ヶ月後に当院を受診し右足舟状骨骨折(Sangeorzan分類・Type2:完全骨折,骨片転位なし)と診断され手術となる。手術手技はスクリューを使用して観血的整復固定術が施行され,術後は下腿シーネ固定をした。【経過と考察】理学療法としては術直後より患部外筋力強化練習,超音波治療をおこない,術後3週より足部内在筋強化運動とROM運動を開始した。荷重は術後2週間シーネ固定での完全免荷,3週より足底板挿入した部分荷重,6週で全荷重独歩とバランス練習を開始した。12週でジョギング,16週でランニングを許可した。ハードル復帰は抜釘後の術後7ヶ月であった。評価項目は歩行時痛(以下:NRS),日本足の外科学会中足部判定基準(以下JSSFスコア),片脚立位保持時間などの各評価を術前,術後4週,8,12および24週で評価した。結果は歩行時痛は術前5/10が術後4週の部分荷重時より改善した。JSSFスコアは術前22点が,術後8,12週で85,98点と向上した。片脚立位保持時間は術前10秒が,術後12週で痛みなく30秒以上の保持が可能となった。足舟状骨骨折の受傷機転としては,足関節底屈位で足部長軸方向への外力や同時に前足部に捻転が加わった際に生じるとされる。本症例もハードル走行中の右片脚着地時に足関節底屈位で前足部長軸方向への外力が加わり発症したと推測される。術後の足機能は良好な回復となった。これは術部へのストレス軽減のため,早期より足底板を使用したことや足部内在筋強化運動が有効であったと考える。