第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

ポスター3

がん その他1

Sun. Jun 7, 2015 1:10 PM - 2:10 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-C-1117] 白血病患者の栄養状態が理学療法に及ぼす影響

矢木健太郎1, 泉清徳1, 井手睦2 (1.社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院, 2.社会医療法人雪の聖母会ヘルスケアセンター)

Keywords:がん, 栄養, 理学療法

【はじめに,目的】
今回,理学療法を実施した白血病患者の栄養状態がADL能力の向上に影響するかについて検討した。
【方法】
主病名に白血病があり,理学療法を3週間以上実施した患者(1ヶ月以内の最終評価時点で死亡の患者を除く)75名を対象とした後方視的研究を行った。評価はリハビリ介入時と1ヶ月後に行い,カルテ情報を基にBerthel index(以下BI値),WBC値,CRP値,Hb値,TP・Alb値,摂取カロリー数,簡易必要エネルギー数(理想体重IBW×25)を出した。また簡易必要エネルギー数に対する実際の摂取カロリー数の割合を必要エネルギー摂取%とし,最終時のBI値から初期時のBI値を引いた値をADL改善値とした。統計は対応のあるt検定,Wilcoxon符号付順位検定,Spearmanの順位相関係数を用い,有意水準は5%未満とした。

【結果】
対象者は,急性骨髄性白血病72%,成人T細胞性白血病15%,急性リンパ性白血病4%,その他5%であり,入院の目的は移植が24%,その他は主に化学療法目的であった。リハビリ介入後,BI値は82.9±18.7点から89.5±12.1点へと有意に改善していた。その他の値で有意差のあった項目はWBC値(6057.3±11626.8から3071.6±2733.4)であり,値は低下していた。ADL改善値(6.59±18.9点)は1ヵ月後の必要エネルギー摂取%(97.6±25.7%)と正の相関を示し,相関係数は0.34であった。

【考察】
白血病で入院治療している患者は1ヵ月後のADL能力は理学療法実施にともない向上するが,1ヵ月後の栄養摂取状況が不良な患者ほどADL能力向上が少ないことが示唆された。

【理学療法学研究としての意義】
白血病患者の理学療法実施上,栄養摂取状況把握は予後予測因子の一つとして重要であることが考えられた。