[P3-C-1123] 急性期廃用症候群リハビリテーション患者に対するADLを用いた臨床指標作成の試み
Keywords:臨床指標(Clinical Indicator), 日常生活活動, 廃用症候群リハビリテーション
【はじめに,目的】
臨床指標(Clinical Indicator以下:CI)の導入によるベンチマーキングは,質の確保・向上のための有用な手法である。急性期リハビリテーションにおいて,リハシステムの構築が重要であり,CIの導入と活用が推奨されている。しかし,急性期廃用症候群リハビリテーション(以下廃用症候群リハ)の基準に関する報告は少ない。今回,当院における廃用症候群リハ患者の1日当たりのリハビリテーション実施単位数(以下リハ実施単位数),リハビリテーション開始病日(以下リハ開始病日)とADL改善に関する関係性を分析したので報告する。
【方法】
《対象》2014年6月~8月における当院入院の脳血管疾患等リハビリテーション料廃用症候群算定患者118名中,在宅復帰した90名。ICD-10に準拠した分類にて,新生物:22名,消化器系の疾患(以下消化器系疾患):20名,内分泌・栄養及び代謝疾患(以下代謝疾患):11名,呼吸器系の疾患(以下呼吸器疾患):11名,循環器系の疾患:10名,耳及び乳様突起の疾患:4名,神経系の疾患:3名,腎尿路生殖系の疾患:4名,皮膚及び皮下組織の疾患:2名,筋骨格系及び結合組織の疾患:1名,精神及び行動の障害:1名,損傷・中毒及びその他の外因の影響:1名。疾患分類よりパレート分析のA群(新生物,消化器疾患,代謝疾患,呼吸器疾患)を分析対象とした。
《方法》調査項目は,①リハ実施単位数(リハ実施単位/リハ実施日数)②リハ開始病日③リハ開始時ADL④退院時ADL⑤ADL改善度。なお,ADL評価項目はBarthel Index(以下BI)にて評価。ADL改善度は退院時BI値と入院時BI値の差とする。統計処理はExcel(2010)を使用し,重回帰モデルを求め,⑥リハ開始日とADL改善度の偏相関係数,⑦1日当たりのリハ実施単位数とADL改善度の偏相関係数,⑪BI改善度の予測値(⑧1日当たりのリハ単位数とADL改善度の重回帰係数,⑨リハ開始日とADL改善度の重回帰係数,⑩定数)を求めた。なお,偏相関係数の有意水準は5%未満とした。
【結果】
新生物:①5.4±0.8単位②5.1±3.2日③25.5±19.1点④86.7±22.3点⑤61.1±24.9点⑥0.21⑦0.50⑧16.5⑨1.42⑩-35.16⑪実施単位数×16.5+リハ開始日×1.42-35.16。
消化器疾患:①5.2±0.6単位②4.1±2.6日③49.8±19.7点④82.8±20.3点⑤33.0±15.6点⑥-0.15⑦0.0002⑧0.005⑨-0.96⑩36.8⑪実施単位数×0.005+リハ開始日×-0.96+36.8。
代謝疾患:①4.5±1.4単位②2.5±1.6日③58.6±12.6点④84.5±17.0点⑤25.9±13.8点⑥0.43⑦-0.24⑧-2.25⑨3.64⑩27.0⑪実施単位数×-2.25+リハ開始日×3.64+27.0。
呼吸器疾患:①5.3±1.3単位②3.3±2.1日③37.3±27.7点④74.5±22.9点⑤37.3±21.3点⑥0.092⑦-0.35⑧-5.84⑨0.92⑩65.4⑪実施単位数×-5.84+リハ開始日×0.92+65.4。
【考察】
廃用症候群リハにおいて,リハ実施単位数とADL改善度の偏相関係数とリハ開始病日とADL改善度の偏相関係数を比較すると,新生物はリハ実施単位数とADL改善度は有意水準(0.42)を超える値となり有意に関係性があり,リハビリテーションの効果が認められることが示唆された。その他,消化器疾患,代謝疾患,呼吸器疾患においては有意水準を下回る数値であった。病前ADL低下と入院時ADL点数のばらつきや入院が多岐にわたるケースがあった。その為,入院後の劇的なADL改善が困難である。しかし,臥床を強いられることによりADL低下が予測されるため,早期リハビリテーションの必要性は高い。廃用症候群リハ患者の疾患を細分化し,データ集積していくことにより,リハビリテーションの基準が構築され,CIを用いることにより1日当たりのリハ実施単位数が明確化されていくのではないか。
【理学療法学研究としての意義】
今後,CI導入と活用に向けて,消化器疾患,代謝疾患,呼吸器疾患においては統計上ADL改善に結びつくかは現状の統計結果からは述べられないが,今後データ集積を基盤とした妥当性の検証が必要である。結果,疾患別リハの基準が構築され,CIを用いることにより,質の高い医療が提供されていくのではないか。
臨床指標(Clinical Indicator以下:CI)の導入によるベンチマーキングは,質の確保・向上のための有用な手法である。急性期リハビリテーションにおいて,リハシステムの構築が重要であり,CIの導入と活用が推奨されている。しかし,急性期廃用症候群リハビリテーション(以下廃用症候群リハ)の基準に関する報告は少ない。今回,当院における廃用症候群リハ患者の1日当たりのリハビリテーション実施単位数(以下リハ実施単位数),リハビリテーション開始病日(以下リハ開始病日)とADL改善に関する関係性を分析したので報告する。
【方法】
《対象》2014年6月~8月における当院入院の脳血管疾患等リハビリテーション料廃用症候群算定患者118名中,在宅復帰した90名。ICD-10に準拠した分類にて,新生物:22名,消化器系の疾患(以下消化器系疾患):20名,内分泌・栄養及び代謝疾患(以下代謝疾患):11名,呼吸器系の疾患(以下呼吸器疾患):11名,循環器系の疾患:10名,耳及び乳様突起の疾患:4名,神経系の疾患:3名,腎尿路生殖系の疾患:4名,皮膚及び皮下組織の疾患:2名,筋骨格系及び結合組織の疾患:1名,精神及び行動の障害:1名,損傷・中毒及びその他の外因の影響:1名。疾患分類よりパレート分析のA群(新生物,消化器疾患,代謝疾患,呼吸器疾患)を分析対象とした。
《方法》調査項目は,①リハ実施単位数(リハ実施単位/リハ実施日数)②リハ開始病日③リハ開始時ADL④退院時ADL⑤ADL改善度。なお,ADL評価項目はBarthel Index(以下BI)にて評価。ADL改善度は退院時BI値と入院時BI値の差とする。統計処理はExcel(2010)を使用し,重回帰モデルを求め,⑥リハ開始日とADL改善度の偏相関係数,⑦1日当たりのリハ実施単位数とADL改善度の偏相関係数,⑪BI改善度の予測値(⑧1日当たりのリハ単位数とADL改善度の重回帰係数,⑨リハ開始日とADL改善度の重回帰係数,⑩定数)を求めた。なお,偏相関係数の有意水準は5%未満とした。
【結果】
新生物:①5.4±0.8単位②5.1±3.2日③25.5±19.1点④86.7±22.3点⑤61.1±24.9点⑥0.21⑦0.50⑧16.5⑨1.42⑩-35.16⑪実施単位数×16.5+リハ開始日×1.42-35.16。
消化器疾患:①5.2±0.6単位②4.1±2.6日③49.8±19.7点④82.8±20.3点⑤33.0±15.6点⑥-0.15⑦0.0002⑧0.005⑨-0.96⑩36.8⑪実施単位数×0.005+リハ開始日×-0.96+36.8。
代謝疾患:①4.5±1.4単位②2.5±1.6日③58.6±12.6点④84.5±17.0点⑤25.9±13.8点⑥0.43⑦-0.24⑧-2.25⑨3.64⑩27.0⑪実施単位数×-2.25+リハ開始日×3.64+27.0。
呼吸器疾患:①5.3±1.3単位②3.3±2.1日③37.3±27.7点④74.5±22.9点⑤37.3±21.3点⑥0.092⑦-0.35⑧-5.84⑨0.92⑩65.4⑪実施単位数×-5.84+リハ開始日×0.92+65.4。
【考察】
廃用症候群リハにおいて,リハ実施単位数とADL改善度の偏相関係数とリハ開始病日とADL改善度の偏相関係数を比較すると,新生物はリハ実施単位数とADL改善度は有意水準(0.42)を超える値となり有意に関係性があり,リハビリテーションの効果が認められることが示唆された。その他,消化器疾患,代謝疾患,呼吸器疾患においては有意水準を下回る数値であった。病前ADL低下と入院時ADL点数のばらつきや入院が多岐にわたるケースがあった。その為,入院後の劇的なADL改善が困難である。しかし,臥床を強いられることによりADL低下が予測されるため,早期リハビリテーションの必要性は高い。廃用症候群リハ患者の疾患を細分化し,データ集積していくことにより,リハビリテーションの基準が構築され,CIを用いることにより1日当たりのリハ実施単位数が明確化されていくのではないか。
【理学療法学研究としての意義】
今後,CI導入と活用に向けて,消化器疾患,代謝疾患,呼吸器疾患においては統計上ADL改善に結びつくかは現状の統計結果からは述べられないが,今後データ集積を基盤とした妥当性の検証が必要である。結果,疾患別リハの基準が構築され,CIを用いることにより,質の高い医療が提供されていくのではないか。