第50回日本理学療法学術大会

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分科学会 シンポジウム

日本スポーツ理学療法学会 分科学会 シンポジウム3

スポーツと理学療法―これまでのあゆみと新たなる可能性への挑戦―

Fri. Jun 5, 2015 4:00 PM - 5:50 PM 第1会場 (ホールA)

座長:坂本雅昭(群馬大学大学院 保健学研究科), 片寄正樹(札幌医科大学 保健医療学部理学療法学第二講座)

[S-03-4] スポーツ分野への理学療法士の将来性

川野哲英 (はちすばクリニック)

本シンポジウムのテーマはスポーツ分野の方達と,理学療法士(以下,PT)の立場では大きく異なる。それは現状でのPT教育や社会制度(資格制度)が大きく影響し,スポーツに関わるPTの混乱を招いているからであろう。
PTからみると本テーマは「スポーツ分野におけるPTの役割とは?」と感じられるが,スポーツ領域の人からの印象はどうであろうか。実際にスポーツに関わる方達に聞いてみると「PTは病院のリハビリの先生」との回答が圧倒的に多い。では次に「理学療法とは何?」と聞いてみると明快な回答は得られず,「温めたり,電気をしたり,マッサージのこと」,「リハビリの手段」というイメージが多く,理学療法という言葉には漠然とした回答が多い。このことはスポーツ領域に関わらず理学療法の意味とPTの専門性が多くの人からは解りづらい一面をもっているからだろう。今後PTがスポーツ領域での理学療法のあり方を吟味検討し,その専門性の高さが具体的に認められ浸透したときに理学療法への期待が高まろう。具体的な方法については在来の理学療法の知識と技術を発展させ,スポーツ分野で有効性を理解されるような方策が必要である。筆者は競技動作を主眼に置き機能的な見方を重視した新たなる手法を発表してきた。その一部は日本体育協会認定のアスレティックトレーナーの教育にも応用されている。それは目的が「競技復帰」であり,「後遺症対策」,「コンディショニング」等を含め,必要な手法を探してきたからに他ならない。いわゆる一般のROM拡大や筋力回復,動作獲得を見直し,さらに競技を念頭とした動作への取り組みから生まれた方法である。その一部を紹介するが,皆様のお役に立てれば幸甚である。
なおスポーツは競技,愛好,健康の各分野に加え障害者スポーツがあるが,長年関わってきた競技スポーツへの今後のPTの関わり方について私信を具体的に述べていきたい。